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卒業を祝して 答辞への答辞

春うららかな、と言うには少し季節が後戻りしたでしょうか。
それでもユスラウメのつぼみは膨らんで、花を咲かせる日を今か今かと待っているかのようです。

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
初めての制服に袖を通して、学校までの坂を登った入学式。
あれから3年が過ぎようとしていることに驚きを禁じえません。
あっという間だった、と思う一方で、濃密で充実した3年間だったと思います。

新型コロナウイルス感染症の波は、学校現場も直撃し、さまざまな行事が中止、短縮、見直しを余儀なくされました。
オープンスクールなど、普段の貴方たちの学校生活を目にする機会は少なくなり、「いってきます」と「ただいま」の間の話を聴くことも減りました。

それが成長というものなのでしょう。
中学校の3年間は、心身とも大きくその様子を変化させます。

家族と一緒にいるのが苦になる日もあったでしょう。
自分の部屋に籠もり、スマートフォンを、パソコンを、あるいは本を友にする日もあったでしょう。
朝、家を出る足が重く、早く帰りたかった日もあったはずです。

そんなとき、
「おかえり」
「大丈夫?」
「ゆっくり休んでね」
私たちが掛けられたのは、必ずしもこんな言葉ばかりではなかったと思います。

支えてあげるべきときに支えられたか。
貴方たちが思い悩むのと同様、私たちも保護者として手探りでした。

どう声を掛ければ良いか、あるいはそっとしておこうか。
配慮が良い結果をもたらすとは限りません。
すれ違うこともあったでしょう。

それでも、親として、できる限りのサポートをしてきたつもりです。
抱っこし、手をつないでいた子供も、やがては親の背を抜いていきます。
それに伴って、支え方も少しずつ変わっていくものだと思います。

私の言葉を覚えていてほしいとは言いません。

いつか、貴方たちが卒業式の後ろの席に座るとき、なんとなく思い起こしてもらえれば十分です。


改めまして、ご卒業おめでとう。

貴方たちは、友達に、良い環境に恵まれました。
自分自身の卒業式を思い返しても、それは明らかです。
マーチングバンドで、吹奏楽部で励ましあってきた仲間とも離れ離れになります。

いっぱい頑張ったね。
大切な思い出をつくってくれてありがとう。
貴方たちを応援することができて幸せです。

さぁ、これからは、高校が、大学が、社会が待っています。
貴方たちには限りない可能性があります。

亭々と大きく枝を広げたその足もとには、中学校で育んだ根っこがあります。

やがて、私たちの支えを必要としなくなる日も来るでしょう。
いつまで見守ることができるかも分かりません。

それでも、私たちはいつも気に掛けています。
それが家族というものです。


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