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【読了017】鮎川哲也『黒い白鳥』

 久喜駅手前の線路沿いで屍体が見つかった。身許は東和紡績の社長、死因は銃殺と判明。疑いの目は、経営側と対立する労働組合や、金で繋がる新興宗教に向けられるが、捜査は難航する。そんななか、鬼貫警部は「ある証拠」に着目して九州へ向かう。そこで得たものとは―。本格推理の巨匠・鮎川哲也の記念碑的傑作が蘇る。第十三回日本探偵作家クラブ賞受賞作。

光文社

 鉄道トリックとかアリバイ崩しみたいなものに全く興味がないものだから(頭が精巧に出来てない……というか……パズル的なものとか理屈とか割とどうでもいいと思っちゃう)、その辺りは完全に「ふんふんふん」くらいの斜め読みをしてしまいました。
 でもキャラがなかなか良くてですね。主人公のどこか淡々とした感じとか。最後、犯人の告白をすごく冷静に聞いてて「おっ、いいなこの人」ってなってしまいました。女中さんもかわいかったな!
『沈黙の函』の時も感じたんですが、

 鮎川さんの小説って実は結構キャラクターの描写が上手い? もっとガチガチのトリック重視系なイメージだったんですが、結構人物で読ませてくれるというか。
 足を棒にして……みたいな話は退屈になりがち(私にとっては)なんですが、女中さんとか飛田とか、視点が色々変わってくれるので「退屈だな……」って思うことはほとんどなかったです。
 ただちょっととっ散らかってて散漫としてる感じはあったかな。名作! 絶対オススメ! という読後感ではなかったです。

 次も楽しみになってきました。何読もうかな。


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