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フェミニズムに理解のない夫に第二子育児の主体を任せることになったよ

先日第二子が誕生した。
妊娠してから話し合ってきたことなのだけど、今回私は8週間の産後休業をとったあと仕事復帰、その後は保育園に入るまで夫が育児のメインを担っていくことになる(予定)。世の中的にはまだまだイレギュラーなこの選択に至った経緯を書いていきたい。



前回の出産は2020年11月。私は10月から産休をとり、そのまま育休に突入。子が1歳になる頃に保育園に入れたかったけど入れず、2022年4月まで待つことになった。

結果的に1年半近く仕事を休むことになったわけだけど、復帰したときには当然会社は大きく変わっていて、そのとき不足していたポジションに就くことになった。

仕事はそれは楽しくて、水を得た魚のように働いた。なんとなく時短勤務でいくんだろうな〜と思っていたけど、自分の働きたい気持ちを優先して早々にフルタイムに切り替えた。

恵まれたことに、夫はもともと家事をとてもよくやる人だし育児もやるし、私は8割、夫は10割在宅ワークで、保育園は徒歩5分のところにある。

第二子が生まれる前までの1日のスケジュールは以下のような感じ。

朝平均すると5時くらいに娘は起きて夫を起こす。私は6:30くらいまで寝させてもらって、朝ごはん、余裕を持って支度して8時前に家を出て保育園までのんびり歩く。8:30には家に戻って家事の残りをしたり、夕飯の下ごしらえをしたり。9時頃には業務を開始して休憩はろくに取らずに16:30まで仕事。お迎えは17時にはどちらかが行って、夕飯の支度。18時前には夕飯。19:30までにお風呂、夫が主に寝かしつけて20:30までに子が就寝。私はお風呂のあと少し仕事をして22:30頃就寝。

少なくともこの半年くらいこのルーティンを続けている。いやもっとか?子がいない時代には考えられないようなタイムスケジュールかつ、それが永遠繰り返されるので長らく不思議な気分だったが、もうだいぶ染み付いてきた。


第二子をどうするかについては散々悩んだ。

自分たちの場合第一子は体外受精で、そのときの凍結胚を保存してあったので、それを戻せば妊娠する確率は高いだろうと考えていた。

産むなら早いほうがいいというのは一致していた。凍結胚の保存期限も迫っていたので、保存期間を延長するというよりは期限までに戻すか、第二子をやめるかのどちらかだった。

とりあえず子作りトライしてみるか、みたいな状況とはちょっと違うと思われる。

悩みポイントはたぶん多くの人と同じなのであんまり詳細には書かないが、すなわち自分たち(大人)の時間を取るか、もうすこし長期的な見通しを持って2人目を持つ選択をするのかということだ。

結論としては煮え切らないままではあったが、保存期限が切れる3ヶ月前くらいにクリニックにかかり、複数回の通院、タイミングをみてさっと胚を戻して、あれよあれよという間に妊娠した。(当然だけど、たまたまうちは1回目も2回目も順調にいったというだけで体外受精すべてがそうスムーズにいくとは限らないです)

1回目の体外受精の体験談はこちらに書いています↓

私は次はできれば早く仕事復帰したいという気持ちがあった。前回1年半の産休+育休は色んな意味でちょっと長かったし、改めて自分は仕事が好きだということに気がついた。そして自分の特性上母業が少なくとも得意な方ではないということも身をもって知った。

それに、社会的に男性より女性が長く休むことがあまりにも当たり前になっていて、復帰後のキャリアに支障が出るのも女性の方ばかりという状況とか、それを当たり前と思ってしまう無意識的偏見の存在を変えていきたかった。むしろそちらの方が強いかもしれない。

私1人の行動で何かが変わるとは思わないけど、今までの当たり前とは違う事例を少しでも増やしていきたいと思った。


なので夫に相談した。
最初は渋っていた。というより、「え、そんな選択肢あるの?」みたいな感じだったかもしれない。
でもストレートに「前回1年半休んで育児した。私は働きたい。平等にいくなら今回はそっちが主体になってくれてもいいんじゃない?」という話を粘り強くしていくと「それはたしかに…」と納得してくれた。

そのあとも収入が減る(私は育休手当が出るけど夫はフリーランスなので補助が受けられない)とかいろいろ言って渋々していたけど、徐々に覚悟を決めてくれたようだった。(実際家計的には厳しくなるだろう。)

ちなみに私は最初から夫が完全主で自分はすぐ復帰みたいなところまで極端に考えていたわけでもないのだが、夫が覚悟を決めてからは「いやもう俺やるからフルで働いたらいいじゃん(収入のためにも)」と言うので、じゃあ、ということになった次第。


さらに因むと夫はかなりのフェミニストアレルギーがある。私はたぶんいわゆるフェミニストなので、社会の男女格差的なことについて話題に出したりするのだが、夫はたいてい男性擁護的な反応をするか「しらん。どーでもいい。」とシャットアウトする。とりあえず社会の話を持ち出すとまったくもって共感はしてくれない。

それでも家庭の中では家事育児に主体的に参加する。それどころか私よりも掃除・洗い物は得意ですらあるので、私が仕事復帰してからはどちらかに負担が偏るみたいなことが一切なく、お互い様の関係を続けられている。今回の妊娠中も、私の動けなさに痺れを切らしながらも家庭内の仕事の多くを何も言わずにこなしてくれてとても助けられた。

当たり前のように協力的だからこそ男性が責められるように聞こえる言説に納得がいかないというのもあるかもしれない。


そんなこんなで私は早々に仕事復帰することを決めたわけだが、それを会社や周りの人に伝えると、基本驚かれた。

大丈夫なんですかとか、旦那さんすごいですね、とか。

まあ確かに出産のあと1〜2ヶ月くらいは身体も元通りになっていなくて産んだ本人だけの大変さというのもある。けどそれ以降は母乳以外だったら母じゃなきゃいけないなんてことはないんじゃないかな。

それに反対の性別だと当たり前のことを性別が逆転したら「すごい」みたいになるのは、もう単に慣れの問題だと思う。あんまり聞き慣れないから、普通から逸脱していて「すごいね」って反応してしまうだけ。そこを変えていこう。


もちろん夫婦同意のもと女性が主に育児をやって、男性は主に働いてって分業することは全く問題ない。得意不得意だってあるしね。ただ、これまで大多数の女性がたとえ得意じゃなくても家事育児の主体を担ってきたというのはある。まずもってその当たり前は疑って良いはず。そして、互いに見えない領域が増えるとお互いに不満を持ちやすいことは確かなので、選択肢を広く検討してみることは重要だと思う。

私も1人目の育休中は自分の辛い状況を伝えきれないもどかしさ、認識や考えの不一致が表面化しまくってもともと全く喧嘩しなかった2人なのに喧嘩が増えたりと、かなりしんどみがあった。(仕事復帰後はお互いの条件が平等になったこともあり、衝突はかなり減った。)

仮にどちらも「家事育児は全部まかせろ!」というモードではない夫婦の場合で、共働きでかつ2人とも育休手当をもらえる状況ならば、同じ期間だけ仕事を休んで同じだけ育児を経験した上でタイミング合わせて仕事復帰するとか、産後だけ一緒にやったあとは前半後半で担当を分けるとかすれば限りなく不平等感は減らせると思う。認識しているものの不一致が減るだけでコミュニケーションのずれ、夫婦仲の悪化をかなり避けられるはず。

もし女性の側に働きたいという意志があるならば、慣例は無視してどうかどうか100%フラットに考えてほしい。ちょっと譲歩してあげよう、とかじゃなく。

でもそうすると、男性はこれまでと比較して、キャリアの不安定さを享受しなければならなくなるかもしれない。これはかなり耐え難いことに違いない。それに、これまでの前提が変わってくるとなると会社も変わらないといけないから面倒くさい。余計なコストがかかる。女性進出なんてよくないことだらけ…

そういうことを積み重ねてきた結果、日本は先進国の中でぶっちぎり男女格差が大きいままである。
もちろん、今のポジションは努力や実力で勝ち取ったものであるということは否定しない。けどいままでパートナーが家庭のことを引き受けてくれたから、なんとなくそれが社会の当たり前だったから、男性の場合は結婚しようが子供が産まれようがキャリアの離脱を引き受ける必要がなかった一方で、女性は出産などを期にキャリアの離脱を引き受けてきた人が非常に多いという状況もまちがいなくあるのだ。

ちなみにこういう話を出すと「女性が進んで仕事を辞めている」「そもそも女性で昇進意欲のある人は少ない」などと考える人は多いらしい。仮に仮にそうだったとして、それは決してその女性個人の意志の話だけではないということは理解しておく必要がある。

思い返せば私自身も過去に昇進可能性の話が出た際、「今後子どもを産んで…云々」という近い将来のことを想像して「無理だな」と、手を伸ばそうとしなかったことがあった。そのときは自分も育児と仕事との両立は難しいと無意識に考えてしまっていたのだと思う。おそらくそれは周りからみれば「意欲がない」ということになってしまうのだろうが、本人的には意欲がないわけではなく複雑な想いがあっての判断でもあったのだ。

このあたりの女性×キャリアに関するデータや、働く女性本人とその周りの人の認識のズレについては以下の本が参考になる。


ただ一個気をつけなければならないと思っているのは、夫の方に育児を任せることにしたら、横からあれこれと口を出さないことだ。

私と夫は、育児の方針もかーなーり合わない。それに関してはたくさん衝突もしてお互いに色々と妥協してきた。それでも前回は自分がメインだったので、かなりの部分自分の好き勝手にできたのだが、今回任せるって決めたのに横から茶々を入れたら夫は絶対やる気をなくすに違いない。(夫の性格的に)

意外とここが足枷になるケースがあると思うのだが、女性の側が「自分の方が育児情報をたくさん学んでいて「よりよい」育児をわかっている」とかとか思ってしまいがちかもしれないが、もうそういうのはしまっておくしかない。それはメインを譲ると決めた母側が覚悟すべきことだと思う。

逆に自分なりの育児をやりたい、夫にもそれをやってもらいたいという思いが強いのなら、夫にメインを任せるのはあまり良くはないだろう。もちろん、意見は言ってお互い気持ちよくできるバランスを探っていくのが良いのだが、主体者へのリスペクトは絶対的に必要だと思われる。

逆にこれまで起きがちだったことは、妻の側に任せすぎて、夫が育児に関して完全に二番手に成り下がっているという状況で、夫が「こうしたほうがいいんじゃないの」と言ったとする。すると妻は「お前なんも知らんくせに」となる。これは妻と夫が逆になったとしても同じことだと思う。


男性育休はいろいろと障壁があるだろう。地域の子育ての場に行っても9割女性しかいないなかで肩身の狭い思いをするかもしれない。さっき言ったようにキャリアの支障も出てくるかもしれない。

私もこうした発信をすることに迷いがないわけではない。母親(女性)が育児の主体を担うべきというような価値観が私自身にも少なからず刷り込まれている。
しかし、この選択は決して育児を手放すということではない。むしろ3年弱育児に取り組んでわかったのは、自分自身の心身の健康こそ大事にすべきということだ。
そして、自分の強みを発揮しながら、仲間たちとともに仕事を通じて社会にインパクトをもたらすことが、私の健康にとっては必要だったということだ。それが家族の健康にもつながると信じたい…

こうした選択を取れるようにサポートしてくれる夫には感謝したい。

フラットに選択肢が選べるようになるには、家庭、会社、社会、あらゆるレイヤーでの変化が求められる。まずは「当たり前」は横に置いておき、自分たちはどうしたいか家庭内で話し合うことからだと思う。

うちは幸いこういう選択に至ることができたが、そううまくいかないことも多いと思う。障壁になっていることを知りたいのでぜひコメントやX(ツイッター)等で教えていただけるとありがたいです。

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