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ググってもでてこない 商用利用とパッションのお話

今日は、ネットでよくググる
"著作権とは?"
とか、
"商用利用とは?”
とは、また別の視点で
このテーマについて、考えてみようと思います。

ググりたい方は、こちらを参考にしてくださいね。

今日は、
パッションのおはなしです。

公式にパクってOKのサービス

当店の生地は、すへて商用利用可能ということは、以前のnoteでお伝えしました。

もう一つ、商用利用可能なもの、
それは、サイトで公開している無料パターンです。

こちらも、ハンドメイド作家さんが自由に使って、作品を作り、販売しても良いことになっています。

一般的には、誰かが作ったパターンを、
勝手に使って、作品にすると、

"パクリだ"

と、揶揄されてしまうことが多い現代ですが、

公式に

"パクってOK"

と、公言しているサービスです。

誤解のないように説明しておくと、

パターンを使って作った作品の販売はOKで、
パターン自体に値段をつけて販売することはNGです。

また、引用元の記載なく、
ご自身の開発したパターンであるかのように、サイトや動画で作り方を紹介することは、ご遠慮いただいています。

商用利用にまつわるお客様と当店スタッフのお悩み


この、商用利用OKのパターンのサービスについて、あるお客様からいただいたお問い合わせがとても印象的で、今でも忘れられません。

ざっくりとご紹介すると、


nunocoto fabric
のパターンを使って作家活動をしていたら、

友人に、
「オリジナルではないパターンを使って作ったものを売る人は、作家とは言わないのでは?」

と言われ、傷ついたという旨のお問い合わせでした。

お問い合わせというより、お悩みを、
当店のお問い合わせフォームからご連絡いただいたというのは、

まじめに、そして一生懸命活動されてきた方なのだと思います。

「いままで、やってきた活動は、作家ではなかったのか?」
というお気持ちから、
親しいご友人にもご相談できず、抱えてこられて、当店にご相談いただいたのではないかと想像します。

この件については、
いただいた頃、お客様の気持ちになって、わたし自身も、ちょっぴり悔しくなったので、すごく印象に残っています。

きっと、お問い合わせくださったお客様は、
パターン開発ではない、生地選びやその組み合わせの部分に、すごく時間を割いて、悩んで作られていたかもしれません。

子育てや家事と、もうひとつ、頑張るなにかが欲しくて、忙しい時間の、合間を縫って、活動を続けていたのかもしれません。

満足のいく作品が完成したのがうれしくて、販売してみようと、当店にたどり着いたのかもしれません。
販売してみたら、喜んで買っていただけたので、
もっと作品を作ってみたいと思ったのかもしれません。

その時、わたしはこんな風に回答しました。

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当店では、◯◯様のように、

配布された型紙を使って販売したい方がいるのではないかと思い、商用利用可能なレシピの紹介をはじめました。

商用利用可能なものであれば、

作る方の自由ですので、

もちろんお使い頂き、出店・委託販売などしていただいて問題はございません。

また、作品は、たくさん作れば作るほど、上達しますし、ここをこんな風にアレンジしたいなと手を動かすと、オリジナルのレシピができることもございます。

確かにオリジナルのレシピを持っているというのは強みであると思います。

ぜひ、その過程を楽しみながら成長いただけたらと思います。
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そして、あるときは、
当店のパターンナーからは、こんな悔しい気持ちも聞きました。

「nunocoto fabricで紹介したパターンを、オリジナルであるかのように、作り方紹介のサイトや動画をアップしている方がいるんです」

これもまた、なんだか悲しい気持ちになるお悩みです。

マネをすることが、悪なのでしょうか?

この2つの話を、少し時間が経った今、
考えてみようと思いました。

1.
モノづくりのスタートは、
模倣からはじまる
という定説

2.
模倣が許されたパターンが存在する
という事実

があるなら、何かを作るときに
マネをすることは、悪ではないです。

さらに、特例として、
nunocoto fabricのパターンにおいては、
断りや、出典元の記載なく、作品にして販売することができるようになっています。

それを、"オリジナルの開発したパターンなんです"
と言ってしまうかどうかは、お客様のお気持ちに委ねられています。

nunocoto fabric
のパターンを使って作った過程を
公開・配信する

これ自体も悪いことではないです。

ただ、こちらについては、
ブランドのルールというより、ブランドの中で、
一生懸命労力をかけて作った開発者のことを思い、

「※こちらのパターンは、nunocoto fabricの作り方を参考にしました」

と記載を入れていただきたいと思っています。

そうしてもらえたら、
当店のパタンナーは、嬉しくて泣いちゃいます。

ルールではなく、
お気持ちなんです。

会社が作ったブランドがお気持ち?
と思われるかもしれませんが、当店は人で成り立っているので、お気持ちの話。


ハンドメイド作家さんの定義とは?

”ハンドメイド作家の定義"というのは難しいところですが、

当店としては、
"商用利用や、著作権のルールに従い、
オリジナリティのある作品作りを目指している人"

だと思っています。

いまは、便利な時代です。

昔よりも労力をかけずに、
誰でも作品を作って簡単に公開できる世の中になりました。

だから、
パターンは、nunocoto fabricのものを使って、
生地選びや、組み合わせのセンスから磨きながら、販売して、
”マーケット感覚を身につける”
これって、素晴らしいことだと思います。

商用利用可能な生地を使って、
オリジナルの形をこだわって生み出して、販売する人も、素晴らしい。

そして、自分のイラストを描いて、それを生地にして、パターンは、nunocoto fabricの無料レシピを活用する、これも素晴らしいことです。

"どこから、力を入れるか"
“何を最大の売りにするか"
はもちろん選べますし、
"どこに需要があるのか?"
をインターネットで公開・販売して試せる時代なんです。

モノづくりと鍛錬の話

もうひとつは、鍛錬の話です。
この、"ワザを習得する"ことを説明するのに、うってつけの話があったので、わたしの習い事の師匠の話をさせてくださいね。

わたしは、ある工場の片隅から、三味線の音色が聴こえてきたのをきっかけに、津軽三味線を習いはじめました。

先生は、50代からはじめ、20年ほど津軽三味線の経験があります。
誰でも3ヶ月で1曲弾けるようになる方法を確立されていて、教え方も腕前も、天下一品です。
三味線とは縁もゆかりもない素人のわたしが、音だけで吸い込まれてしまったほど。

あるとき、
先生の三味線習得までの道のりを聞きました。

「僕ね、実は3つも教室をハシゴしたの」

と笑顔で答えました。

1つめは、
ご近所の作法重視で、茶のみ話などをするフレンドリーな教室だったそうです。

これ以上の上達が難しいと思い、辞めたそうです。

2つめは、
少し遠方の、教室。
雨の日も風の日も、バイクで通い続けたそうですが、あるとき、時間になってもはじまらず、師匠のお家をピンポンすると、寝起きで迎えられたので、辞めたそうです。

3つめは、
有名で、才能ある子供や一流の腕前の奏者が通う本格的な教室。

高齢の自分が、あまり歓迎されない中、無理を承知でお願いし、そちらに移り、猛練習されたそうです。

先生はこれまでの教室で、トップクラスの腕前だったので、自信満々で通いはじめたら、自分の実力を思い知らされた!
と明るく笑っておられました。

この話を聞いて、

「先生に比べたら、1回でこんな素晴らしい師匠に出会えて、わたしはなんてラッキーなんだろう」

という考えもあるでしょう。

だけど、わたしは、こう思いました。

「もうこの時点で、普通に20年、練習しただけでは、先生と同じにはなれない」

そう、熱意が違うんです。

先生は、自営業の方なのですが、いつも傍に三味線があり、どんな場所でも、仕事の昼休みに、人のいない場所をみつけては、練習されたそうです。

わたしなら、1件目のご近所の教室で、満足していたかもしれません。

わたしなら、2件目の遠方の教室に向かう雨の日、心が折れて、自分から通うのを断念していたかもしれません。

わたしなら、3件目の師匠に、入会に難色を示されたときに、心が折れていたかもしれません。

わたしが先生を越えるには、
先生が、教室探しに奔走したパワーを超える熱量で練習しなければいけません。

または、民謡でしっかり基礎を習得した後に、ポップスやダンスミュージックなどの作曲アレンジに全集中したならば、別の活躍方法があるかもしれません。

はたまた、
世界を旅して、まだYouTubeには、上がっていない秘境の地の民族楽器をみつけ、
三味線とコラボレーションしたならば、いろんな国の人に愛される演奏ができるかもしれません。

三味線の演奏技術は?

といえば、
とうてい先生には及ばないでしょう。

簡単にできる方法をみつけたら、
それは、シンプルにラッキーというより、
そこで余った時間を、別の何かに使うことで活躍できる

のではないか?

と思っています。

そして、
作曲アレンジが素晴らしい人や、
秘境から民族楽器をみつけてコラボレーションしている人に、
「技術がイマイチだよね」
なんて、言わなくてもいい時代になっているとも思います。

どこを磨くか?
は自由。

そして、鍛錬の途中に、いつ発表や、公開するか、も自由。

成長過程自体を、公開していく時代になりました。

だから、
成長中の方を、どうかあたたかく見守っていてほしいなと、思うんです。

そして、それは、誰のオリジナルなのか?

については、真実に向き合うお気持ちがほしいなと思います。

それは、いままでたくさんのプロのモノづくりの方がやって来られたことだと思うからです。

そして、nunocoto fabricのモノづくりへの想いは、
着る人の個性を大切にするブランド
『nunocoto wear』の思想にもつながっています。

以上、商用利用とパッションの話でした。

BY nunocoto fabric

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