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認知心理学・認知科学

行動主義では、ヒトは白紙で生まれて、さまざまな連合によって学習が行えわれると考えている。ところが、チョムスキーは、ここの刺激ー反応についての知識を積み上げていっても、私たちが使用している天文学的に膨大な量の分を理解したり算出したりするというのは不可能であつと指摘した。特に、文法についての知識、日常の会話で使われる予想以上に不完全な文から3歳から5歳くらいの間に母語の文法的知識が獲得される事実を説明するためには、ヒトが生得的に文法獲得を可能にする何らかの装置を想定しない限り困難である。この仮定は、白紙の状態に連合が形成されるとする行動主義の主張の破綻を意味する。
 また、行動主義のSR連合理論において、「精神」は主観的であるという理由で、どこにも位置付けられていない。しかし、1950年代頃から、刺激と反応を媒体する精神を何とか客観的に記述すべきであるという必要性は、チョムスキーのような文法獲得装置を想定する立場以外にもゲシュタルト心理学をはじめとする他の領域から、さらには新行動主義者の中からも訴えられ始めていた。ヒトが白紙の状態で生まれるわけじゃなく、論理的な構造を内在しているとする考え方発達心理学者のビアジェも主張していた。彼はシェマとよぶ子供が外界を認識するための心的枠組みを生得的に仮定し、認知発達を、環境と活発な相互作用を通してシェマを変換させていく過程をとらえた。
 これらの考え方は、同時期のコンピュータ科学の発展とともに、精神活動を脳というハードウェアによる情報処理とみなす立場に受け継がれてきた。情報処置用語は、少なくとも客観的に定義することが可能であるということから、科学性を主張する立場の研究者にも、記述道具として使われるようになった。しかし、実際の精神活動はコンピュータの情報処置とは異なる。それにも関わらず、このアプローチが現在も発展し続けている理由は、情報処置による定義によって認識過程を厳密なモデル記述できるようになったこと、さっらに、ヒトの認識と同じようなコンピュータプログラムを作成しようとする人工知能の発展によって、ヒトとコンピュータプログラムを比較可能になったことだろう。認知行動学は当初はヒトの認識活動を情報処置の用語として記述するというアプローチとして発展したが、広義には、情報処理アプローチは、心理学を、言語学、哲学、脳科学、コンピュータ科学と融合させ、認知科学という新しいプラットホームを生み出している。1950年代からのこの変革は認知革命と呼ばれる。

ここで、中世ヨーロッパの有名な実験。
「言葉を一切教わらなかった赤ちゃんは、どんな言葉を話すようになるのか?」

フリードリヒ2世はこの実験のため、部下に50人の生まれたばかりの赤ちゃんを集めさせ、部屋に隔離しました。
そして乳母たちには、下記の条件で実験を行うように指示しました。

⚫︎赤ちゃんの目を見てはいけない
⚫︎赤ちゃんに笑いかけてはいけない
⚫︎赤ちゃんに話しかけてはいけない
⚫︎赤ちゃんにミルクを与える
⚫︎赤ちゃんをお風呂に入れる
⚫︎赤ちゃんの排泄の処理をする

つまり衣食住、生きるための世話はきちんとするけれど、スキンシップは一切取ってはいけないというものでした。


結果は、3歳までに49人が死亡。
6歳に最後の1人が死亡しました。

基礎から学ぶ心理学・臨床心理学

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