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「三秋縋」さんの、切なくも優しい世界

noteでブックマーク代わりにまとめているマガジン「お気に入りの記事」が100件を越えた。その記念に、何か好きなものを紹介する記事が書きたいなと思った時、真っ先に思いついたのが三秋縋さんだった。

そんなわけで、祝お気に入り100件突破。記念すべき第1回でもある今回は、私の大好きな作家さんである「三秋縋」さんの本の中でも、特に気に入っている3冊を紹介しようと思う。

また、記事の最後にリンクを貼っていますので、もし紹介を読んで気になってくれた方がいましたらぜひ。

いたいのいたいの、とんでゆけ

一つ目から何ですが、私がごちゃごちゃあらすじを説明するよりも、作者さんがツイートしたこのつぶやきを見た方が雰囲気を掴めると思うので貼ります。

「いたいのいたいの、とんでゆけ」は私が初めて買った三秋縋さんの本だ。購入に至った理由は表紙とあらすじ。特にあらすじで「これは絶対に面白いぞ」と確信したような記憶がある。

物語の内容はあらすじのように、哀しくも温かい、三秋縋さんらしいお話。少々グロテスクな表現もあったけど、贓物が飛び散るとかそういうタイプでは無いので安心して読める。いや、読み進めていくと安心よりも胸が締め付けられるお話なのだが⋯⋯。

それから、この本に限ったことではないのだけれど、タイトルが本当に、本当に素晴らしい!

何度も読み返しているせいで、カバーの端がボロボロになってしまって、でもブックカバーをかけると表紙が隠れちゃうのがもったいない⋯⋯。

三日間の幸福

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。

あらすじは背表紙から引用。

それにしても、寿命をお金に換えるとは凄いアイディアである。

実際、生活が行き詰まったら売ってしまいそうだなと思ったものの、もし査定価格が高ければ、それはこれから先訪れるはずであった幸福を手放すということだし、この主人公のように査定価格が低ければそれはそれで、この先良いことは何も起きないということになるのだと思うと⋯⋯。査定価格が低い方が、売るのに抵抗がなくなりそうな気がする。

そして二度目になるが、本当に、本当にタイトルが素晴らしい。少し読み進めた時点だと、「だったらなんでこのタイトルなんだろう?」と戸惑うかもしれないけど、最後まで読んだ時、「このタイトルしかない」と分かるタイプのタイトルである。こういった伏線回収が好きな方にもおすすめ。

ちなみに、三秋縋さんの小説には「いたいのいたいの、いたいのとんでゆけ」や「三日間の幸福」しかり、どの話にもちょっとSFめいた設定が出てくることが多いのだけど、その理由に感銘を受けたので載せておく。

あと、読んだことのある方はもう気づいていると思うけれど、今回の見出しで自動販売機のある風景を選んだ理由はこの本にある。未読の方はぜひ、読んでいる最中にこの記事のことを思い出してくれたら嬉しい。

恋する寄生虫

失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、“虫”によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを―。

あらすじはやはり背表紙から引用。

私は普段虫は苦手な方なのだけど、随所に散りばめられた寄生虫の話がとても興味深く、ストーリーと同じぐらい楽しめた。なので、そういった普段知らない知識が出てくる小説を読むのが好きな人には特におすすめしたい。

また、アマゾンなどのレビューを見たところ、この本のラストは賛美両論のようで、感じ方は人それぞれとは言え正直驚いた。私は、ラストの余韻も含めて、とても美しい物語だと思っている。

後書き

以上の3冊が、私の「お気に入りの三秋縋さん」でした。

本当はもっと作中の好きなシーンなども引用したかったのだが、もれなくネタバレとなってしまうので泣く泣くボツに。どれも素敵な場面ばかりなので、ぜひ自分の目で確かめてみて下さい。

以下、今回紹介させて頂いた本のリンクです。


また、「三日間の幸福」と「恋する寄生虫」は漫画版も出ています。良かったらそちらも合わせてお楽しみ下さい!


追記:

「三日間の幸福」の漫画版は、もともと作者さんがWebに上げていた時のタイトルで漫画化したようです。私の説明不足でタイトルを見て「あれ?」となった方がいましたら、すみません。

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この記事は、ブックマーク代わりに使っている「お気に入りの記事まとめ」の記事が100件を越えるたびに更新しているシリーズです。このシリーズでは好きなもの・好きなことから毎回テーマを決めて色々書いているので、よかったら他の記事もこちらからどうぞ。
今回のテーマは「好きな作家」の「三秋縋さん」についてでした。

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