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睡眠の栄養学

睡眠の質を上げるために栄養素が関わっていることをご存知でしょうか?良い睡眠を考える上でご自身の栄養状態を振り返ってみることは非常に重要です。

普段のカウンセリングの際に話を聞くと「最近寝付きが悪いんです」といったことや「朝疲れが取れません」というお声を多くお聞きします。今回は、そのような状態がなぜ起こるか?ということをヒトの代謝の観点から見てみたいと思います。

ヒトの睡眠代謝(セトロニン・メラトニン代謝)

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ヒトには上記のように「セロトニン」や「メラトニン」を体内で合成する代謝経路が存在します。ここで重要な要素としては、まずはこの経路は「トリプトファン」という必須アミノ酸から始まるということです。つまり、睡眠にもタンパク質が深く関わります。

【トリプトファン】
トリプトファンとは、必須アミノ酸(タンパク質)のひとつで身体の外から栄養分として摂取しなければならない成分です。多く含まれる食材としては、チーズ、かつお、マグロ、さば、レバー、大豆、卵、カシューナッツなどがあります。

【セロトニン】
太陽光を浴びることなどで、トリプトファンから生成される神経伝達物質(ホルモン)のこと。精神を安定させて、日中の覚醒を促したり、体温調整などにも関与します。ハッピーホルモンとも言われ精神症状と大きく関わります。うつ症の人はセロトニンの産生量が低い傾向がみられます。

【メラトニン】
脳の松果体という部分でセロトニンから作られるホルモンです。夜になると分泌量が上昇します。また、メラトニンの生成にも太陽の光は密接に関わっています。(2,500ルクス以上の光を浴びると産生され14時間後に分泌されると言われています。)メラトニンが分泌されると、体温・脈拍・血圧を下げ眠気を誘発します。

代謝に必要な「ビタミン・ミネラル」

次に重要なのが、代謝の途中に補酵素や補因子として存在しているビタミン・ミネラルです。特に、赤文字の「鉄、マグネシウム、ビタミンB6」はこの経路に非常に重要な働きをしています。

なので、このことからも鉄欠乏性貧血の傾向がある方(特に女性が多い)は、精神状態や睡眠にまで影響してくることがわかります。また、マグネシウムは、睡眠にも影響力の深い栄養素です。不足の影響は睡眠以外にも多岐にわたるため不足させたくない(350mg/日はとりたい)栄養素です。

そのほかにも、光を浴びるということも重要になります。ヒトは古来から朝太陽を浴びることで身体をリセットしています。なので、ずっと家に引きこもるという事も代謝を狂わしてしまう原因となります。また、日光を浴びる事で体内の合成が進む栄養素(ビタミンD)もあります。ビタミンDもこの経路を活性化させる作用がわかってきているそうです。

代謝経路と栄養素から自身に不足するポイントを考える。

代謝やそれに関わる栄養素から、個人にあった栄養アプローチをしていく考え方ができるのが「分子栄養学」です。

このセロトニン・メラトニンの代謝をまわせるとベストなのですが、身体にある事が起こっていると、この代謝が回りづらくなります。トリプトファンが原料だからそれを単体で摂りすぎるのもキケンです。さらに、メラトニンは、睡眠ホルモンだけではなく、ほかにも身体に対して重要な働きを持っています。その辺りは、またの回に・・。

「最近寝付きが悪い」「朝疲れが取れない」といった方は、食事の観点からも見直してみてはいかがでしょうか?

【ポイント】
・セロトニン、メラトニンをしっかり体内合成するには「タンパク質(トリプトファン)、マグネシウム、鉄、カルシウム、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンD」などは重要です。

・身体の中でホルモンを合成できる生活習慣を心がけましょう!


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