ホームレス大学生の夜遊び


研究室で夜中まで過ごしていると、時折、ガムシャラに駆け出したくなる時がある
そんなときは自前のペニー(ちっさいスケボー)を持ち出して、夜中の大学周辺を

シャーーーーー
シャーーーーーー

と駆け巡る

ああ、風が気持ちいーなあー

シャーーーーー
シャーーーーーー

特になんも考えずにペニーに乗って、夜中の大学周辺を気分のままに駆け巡る

すると、木の影に誰かがうずくまっているのが見えた

「どうしたんですか?」

「うーん、、別にどうもしらいよぉ、、」

酔っ払いである
こんなわかりやすい酔っ払いがこんなところにいるとは
顔を見てみると、なかなかキレイな女性であった
ふむ、これも何かの巡り合わせだ

そう思い、ぼくは近くにあった自販機で水を買ってその人に渡した
「これ、どうぞ。夜も遅いし、最近冷えてきたので酔っ払いもほどほどに、気をつけてくださいね」

紳士だ
千葉の片田舎にこれほどまでにジェントルなホームレスがいるとは

我ながらいつの間にこんな英国式の紳士な対応を身につけたのか、と記憶を探りたくなるような紳士っぷりを発揮した
あれかな? 留学中にスコットランドに遊びに行った時かな?
あのとき街中を歩いてる時に自然と身に付けてしまったのかもしれないな、、恐ろしいまでの異文化交流及び吸収力である

と、自分の紳士力の原点を振り返って悦に浸っているところ、

「ありがとうございますぅ、、お兄さんはここらへんに住んでる方なんですかぁ??」

と、この酔っ払い女が聞いてきた

「まあ、そうですよ。家はありませんけど、住んではいます」

「?? 家なかったら住めなくないですか?」

「ああ、ぼくホームレスなんです」

「えぇ、やばぁ。私こんなに優しいホームレスの方初めてみましたぁ!」
キャハキャハと笑いながら答えた

はあ、そうですか。それでは、また
と、ペニーを漕ぎ出そうとしたとき、後ろから声が聞こえた

「もし、よかったらうち、泊まっていきますぅ??」






みたいな出会いがあればいいなあ ゲヘゲヘ

と、貧相な妄想による低俗な笑みを浮かべながら
深夜の大学構内をペニーで駆け回っているやつがいたら


間違いなく、それはぼくです


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