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片足突っ込んでないとその魚は掴めない

新規事業はどこの会社も探している

新規事業や新業種への参入を検討している会社は多いと思います。(というかほとんどだと思います)

私自身も社団法人ベンチャー型事業承継のオンラインコミュニティのメンターとして、日々多くの野心系アトツギと接しているのですが、その話題の一番はダントツで新規事業に関してです。

そして、我社ビートソニックも5年後10年語を見据えた時にあと1,2本の事業の柱が必要と考えており、自身の最重要課題は新規事業の展開だと思っています。

僕自身、新規事業を自身で立ち上げた経験が決して豊富なわけではないですが、自分自身の経験や他社の事例などを見てきたことから、一つ確信に近いことがあります。


「片足突っ込んでないとその魚は掴めない」


どういう意味かというと、何かチャンスがあった時に、それに関するビジネスを少なからずやっているか、それともやっていないかはとても大きな差があるということです。

例えば、10年ほど前にガラケーからスマートフォンへの大きな市場変革があったわけですが、そのなかでも最も大きな市場がモバイルゲームだったわけです。スマートフォンという自由度が高いデバイスになったことや統一のアプリ市場ができた事でモバイルゲーム市場が一気に大きくなりました。

その時にいち早くチャンスをモノにしたのは、ガラケーのゲームを作っていたDeNAなどの企業でした。

このように、川の上流から巨大な魚(チャンス)が流れてきた時に、その魚をつかめるのはすでに(片足だけでも)川に足を突っ込んでる人だけだと思います。

川に片足突っ込んでおくことで、業界の最新情報や人材、人脈を得ることができ素早くそのチャンスをものにする体制に移行できるのではないでしょうか。

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Siphon開発のキッカケに隠された秘密


僕自身の経験でいうと、2015年にSiphon(サイフォン)という白熱電球の雰囲気をもったLED電球を開発し、発売しました。

黎明期のMakuakeで1500万円を超える応援購入という実績を得ることができ、その後多くのメディアに取り上げられ、大手流通での取り扱いが始まり、今では(規模は小さいけど)我社の柱として事業が育っています。

実はSiphonを開発できるキッカケはある海外のLED照明メーカーからの情報でした。簡単に言えば、LEDの生産技術が上がって小さな回路で動作するフィラメント上の発光体ができますよ、という最新の業界情報でした。

その情報を得られたおかげで、白熱電球の意匠を持ったLED電球ができるのでは、というアイデアに繋がり、Siphon開発のキッカケになったわけです。

この情報を得られたのにはある秘密があります。
我社はSiphonが最初のLED製品だと思われている事が多いのですが、じつはその3年ほど前からLED電球事業に乗り出していました。

本当のファーストプロダクトは台湾のあるメーカーに製造を依頼して作った「アクア球」と名付けた電球の中に放熱用オイルの入ったLED電球でした。(画期的な製品ではあったと思うのですが)当時は照明業界に関して何も知らない状態、家電製品に関する品質管理や製造管理も経験がなかったので品質も安定せず、売り先も見つからず、在庫と不良品の山を作りました。

簡単に言えば大失敗だったわけです。

↑当時のページがまだありました。


当初、当時の社長(昨年他界した父)が照明業界に参入する際は社内からの賛同は得られず、孤軍奮闘のような形で無理やり人を動かしてようやく事業がスタートしたという感じでした。

それもあって、社内では「やっぱり言わんこっちゃない」、「あれだけ反対したのに」というような空気があったと記憶しています。

しかし、売れないながらも照明事業は継続させ、その後も国内外の照明系のトレードショーを毎回視察し、いくつかの新製品を出し続けました。その間に社内での照明製品の知識や品質管理などの体制も少しづつ備わってきました。

そんなこんなでなんとか月の売上が数十万円~百万円程度になった段階で、この章の冒頭でのSiphon開発のキッカケが訪れたわけです。しかも、その情報をくれたのは全く売れなかった伝説のファーストプロダクト「アクア球」のメーカーの方からでした。

メディアでの取り上げられ方としてはアトツギである僕の手柄のように書かれることの多いSiphonの飛躍ですが、先代(父)の新規事業に対する貪欲さと諦めの悪さがベースにあるのです。

先代が(無理矢理にでも)照明業界という川に片足突っ込んでたおかげで、Siphon開発のキッカケを掴めたというわけです。

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さぁ、川に足を踏み入れる勇気を持とう

よくわからない業界や経験のない事業というのは水面が反射してよく見えない川のようなものだと思います。ただ、どれだけそこに大きな魚(チャンス)がいると思っていても岸辺の縁側から見ているだけでは魚は取れません。

そのことを周りに相談すれば「やめておいたほうが良い」、「時期が良くなるまで待ったほうが良い」と言われるでしょう。

でも、それでも靴下を脱ぎ、片足をつっこんで、水の流れの変化や水温の変化を自分の肌で感じることから始まると思っています。


僕自身も久しぶりに新規事業への意欲が高くなっているので、自分を奮い立たせるためにこんな事書いてみました。


おしまい。


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