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2018.9.13 とうとう直木賞作家であるところの島本理生を語る会

朝ごはんとお昼ごはんの合間に、『イノセント』(島本理生、集英社)を一気読みする。恋愛小説……なのか? ひとりのシングルマザーと、カソリックの神父と、イケイケ経営者がどろどろする話(ってざっくりした説明すぎる)。私の頭の中で、この経営者の脳内イメージが初代バチェラーの絵で固まってしまった。自分の経営者イメージって一体……。

先月、島本理生を一気読みキャンペーンをしていて、「も、もうしばらく島本理生はいいや、お腹いっぱいだ……」と思ったとこから少し離れていた。『イノセント』もまぁ島本理生的ではあったのだけど、よかった。なんというか、「キリスト教」という小道具(といったら怒られるかなぁ)を入れたのがよかったように思う。

島本理生はいつも「傷ついた女性」を描く。なんらかの外部からの避けられない暴力(に類する行為)によって、傷がぱっくりと開いてしまった女性。そしてそこにはずっと、「結局、何によって彼女たちはすくわれるのだろう?」という問いが横たわる。恋じゃない。家族でもない。自立でもない。友達でもない。なら、どこに? ……ってのを島本理生はひとつずつ試しているように見えるのだ。

彼女たちの傷跡を埋めるものはどこにあるのだろう? 今回はそこに「キリスト教」が入っていた。

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