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日本人が自分の子を黒人として育てるということ

海外で暮らしていると国際結婚をして子供を育てている日本人女性と知り合う機会が多い。

異なった文化と環境で育った相手と夫婦になり子供を産み育てるという大変さは、日本人同士で結婚して渡米した私の想像を絶するものがあると思う。

黒人の子の母になるということ

その中でも、黒人の男性と結婚して、自分の子供を黒人として育てていく...ということの本当の意味を、Black Lives Matterが起こるまできちんと考えたことがなかった。

娘の学校を通じてこれまでもいろいろなファミリーと付き合ってきて、娘が幼稚園の時の先生は黒人のとっても良い先生でこんな先生に出会えて幸運だと思っていたし、自分が肌の色で差別することはないと思っていた。

私の周囲にも黒人と結婚した日本人女性は何人もいて、ご主人の人柄や仕事や育児の貢献ぷりなどを知っているので、肌の色に関係なくその人柄をみているとも思っていた。

でも、個人的に人種差別をしていないと思っていても、肌の色だけで警察に不当に扱われたり差別の対象となる恐怖について、アメリカという国のシステムが抱えている問題について、歴史について、どれほど真剣に考えていただろう。

アメリカの根深い人種差別とBlack Lives Matter

今アメリカでは人種差別に関する本がよく売れているけれど、それを読んでいる白人たちは、子供に『その発言人種差別だよ!』と言われて読むことが多いという。

差別の問題は、差別されている側から話を聞き、その痛みを知ろうとしない限り外から語るとこはできない。

差別の有無は差別されている側からでしか判断できない。

私も自分は人種差別をしていないと思っているけれど、職業である程度のことを判断していた部分はあったと思う。

その人の仕事を聞けば、育ってきた環境や教育レベルがなんとなくわかる。

でも今のアメリカでは、黒人と白人に同じ教育と就労の機会が与えられていない。

NYTimesによると黒人男性の収入は失業者も含めて総合的にみると白人男性の約半分。これは1950年から変わっていないという。

そんな背景や歴史を鑑みず、たんに個人の教育レベルや職業からその人となりを判断するのは差別ではないのだろうか。

その構造こそ変わっていかなくてはならないんだと思う。

BLMのプロテストが起こる中、いろいろなPodcastを聴き記事を読んだ。

中でも心に残ったのが、今回のPodcastのゲストで、NYのハーレムでシングルマザーとして黒人のパパとの間の男の子を育てている中村あきつさんの書かれたものだった。

あきつさんは、子供の頃から黒人の文化に興味を持っていたそうで、大学卒業後、黒人音楽のレコード会社でデザインの仕事をするようになり、黒人音楽にはまっていく。

その後キューバとブラジルを旅して黒人コミュニティに心地よさを感じ、ニューヨークへ。

不法滞在でハーレムに住み、レストランで働きながら、ハーレム出身の男性と結婚。息子さんを出産。

その後シングルマザーとして息子さんを育ててこられたというけれど、どれほど大変だったろうと思う。

彼女の話を聞いていると、小さい頃から黒人文化にひかれ、世界の黒人コミュニティに心地よさを感じ、黒人文化と歴史を学び、黒人男性との間に子供を授かり...と黒人文化との縁の深さを感じずにはいられない。

前世からのつながりを一つずつたどっていくような人生。

黒人文化やそのコミュニティについて、そして彼らが感じていることを日本語で語られることはあきつさんが持って生まれた役割の一つのような気さえする。

あきつさんが息子さんを黒人として育てることに感じる不安。

黒人の人たちが肌の色だけで疑われ、不当に扱われることに対して日頃感じている恐怖。

たくさんの人に彼女の言葉を聞いてほしい。

日本人女性の体験を知ることで、差別をもっと身近なものとして考えられると思うから。

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