【ウクライナ】移住の手引き - 起業ビザ

東欧移住といえばワインの起源で有名なジョージアが人気ですが、国土の広さ・人口の多さ(4000万人超え)・陽気な国民性・EUへのアクセスの良さ・安価な生活コスト(Lvivの場合: 448th out of 507 cities in the world)を兼ね備えたウクライナも全然引けを取らずに魅力的だと個人的には思います。

私はLviv(リヴィウ・ルボブ・リビブ)に訪れた際に街並みと人の良さにベタ惚れしてしまいポーランドでCAに振られたのをきっかけに勢い余ってウクライナにて起業ビザを取得して飲食店を開いてみようとロックダウンの中模索している最中です。

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ウクライナに移住する方法は主に次の3パターン(学生ビザ・就労ビザ・起業ビザ)になるかと思うんですが、僕は起業にチャレンジしてみたいと思ったこともあり現地語も全くできない中無謀ながら起業ビザを取得するに至ったのでその方法をここに記録したいと思います。ウクライナの人はきめ細やかな案内などしないので実際に移住を決断される方にはかなり有益な情報でかなりのコストの削減につながると思います。

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<事前準備>

A. 信頼できる会計士・弁護士
ウクライナにて信用できる人物を探すのは難しいので直接のコネクションを探してください。

B. 定款
定款はウクライナ語にて作成する必要があるので会計士や弁護士に依頼するのが得策です。おそらく自分では作れないかと思います。現地のパートナーと共同で起業する場合は問題ないと思いますが、基本的には依頼するのが良いです。基本的には日本と同じく実行する可能性のある事業はとりあえず記入しておいた方が良いそうです。また不動産関連に関しては記入しておかないとあとで問題が発生することもあるそうなので、必ず入れておくのが良いかと思います。

C. 余裕のある資金
会計士・弁護士によって料金体系は異なると思うので複数社に見積もりをお願いするのが良いかと思います。私の場合は滞在費や食費や渡航費を除いて定款作成・登記・労働許可取得代行・タックスナンバー取得代行・ビザ申請書類の準備・個人/法事用住所取得・3年分の健康保険購入代行・銀行口座開設まででおよそ3000ドルほどかかりました。ウクライナ人のパートナーがいればおそらくもっと安くなると思います。

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では以上の3つはすでに確保できたと仮定して早速実際の起業ビザ取得方法に移ります。

<ウクライナ訪問編>

①定款作成
依頼先の会計士・弁護士にウクライナ訪問前に事前に作成してもらうのが滞在費など掛からずスムーズにことが運ぶのでお勧めです。事前に弁護士としっかり打ち合わせをしてください。この時点ではディレクター(いわゆる代表取締役)をウクライナにて住所を有する内国人に設定する必要があるので弁護士にディレクターを指定して定款を作成してもらいます。

②法人登録
定款が出来上がっていればウクライナ到着後すぐに公証人役場にて法人登録ができます。私は一泊二日の滞在で登記まで完了させてすぐにポーランドむけて出国しました。ウクライナを訪問しなくとも法人の登記はできるのですが、アポスティーユ関連書類など必要書類が煩雑になるのと移住するつもりであれば日本に帰らずとも移住プロセスを完結させることができるのでサポスティーユを準備するくらいなら訪問してしまう方が楽です。

<ポーランド訪問編>

③必要書類の受取
ポーランド以外でもウクライナの大使館・領事館がある国であればどこでもビザ申請可能なんですが滞在コストや渡航費、申請受理のスピード(1日で発行してもらえる)を考慮するとポーランドのクラクフが一番良いかと思います。パブクロールとアウシュビッツツアーで有名な場所なのでついでに観光するのも良いと思います。ビザ申請の際に法人関連書類及び労働許可証(労働許可証は登記が完了すれば弁護士が労働許可証を取得してくれます。おそらく自分でもできると思いますが、腐敗の多い国なので専門家に依頼するのが良いかと思います)が必要になるんですが、これらの書類は受け取ってからウクライナを出国しても、出国してから郵便で受け取っても差はないので都合の良い方を選択すればいいと思います。

④領事館訪問
書類を受け取れば書類情報を元にこのサイトの申請フォームに必要事項を入力して訪問日時の予約をとります。実際の訪問の前に30,000ユーロを保証してもらえる旅行保険に加入する必要があります。どの保険でも良いのですが、英語で書類を発行してもらえないと相手には何の書類かわからないので気をつけてください。ビザの有効日をサイトにて記入する必要があるのですが、領事館訪問日の翌日に設定しておくとスムーズです。また領事館につくと大体長蛇の列がありますが、予約を取っていると伝えれば列を無視して中に入れます。この時発行してもらえるのが3ヶ月ウクライナに滞在できるDビザになります。ビザなしで入国できる国に3ヶ月だけのビザを発行してもらうのは変な感じがしますが、手続き上そういうプロセスになるそうで不可避みたいです。

<ウクライナ移住編>

⑤SIMカードと宿の準備
Dビザを取得したらウクライナにDビザを使って再入国します。入国できたらどこのキオスクや直売店でもいいのですぐにSIMカードを購入(500円程度)してください。前回の訪問時に購入していた場合はそれをそのまま使用しても問題ないです。期限が切れて使えなくなっていても街中のターミナルにてすぐにチャージしてまた使えるようになります。色々と申請時にSMSを送るために番号を教えてくれと言われるので番号は覚えるようにしておいてください。またこの時に限り宿はホテルやホステルではなくAirBnBがお勧めです。というのも身分証を申請した際に役人が本当に本人がウクライナにいるのかまれに確認しに来ることがあるそうで、ホテルやホステルだと拒否されることもあるみたいです。大体2、3週間宿を取れば良いかと思います。Olgaさんのサービスを利用するならキエフにて申請することになるのでObolonあたりに宿をとりましょう。中心街よりかは幾分か安く住宅街なので治安も良く、キエフの住民になった気分が味わえます。キエフにずっと住む予定があるのならそもそも賃貸契約をしてしまってもいいと思います。

⑥健康保険を購入
身分証(旧国内パスポート・現IDカード)の申請には3年間の健康保険の加入が必要になります。弁護士にお勧めの物を見つけてもらいましょう。言語ができない場合は自分ではやらない方が良いかと思います。

⑦身分証申請
役場でもできるそうなのですが、民間企業がその業務を代行していてそちらを使った方がスムーズにコトが進むのでそちらを利用します。この建物の三階にあります。案内通りにブースに移りその中で指紋をスキャンしたり、顔写真を取ったりして料金を払えば完了です。1週間ほどでカードがその事務所に届くので連絡がくれば受領しに行きます。この際に使う住所は1、2週間の滞在に使っている住所でも良い住所なので先ほど上に書いたAirBnbの住所となります。

⑧住所登録
実際に身分証を受け取ると次に実際の住所を登録しないといけないので、法人・個人ともまだ場所を確保できていない場合は住所を貸してくれるサービスを利用します。弁護士は大体そういうところと提携をしているはずなので住所がないと言えば案内してくれます。料金は法人・個人合わせて年400ドルくらいになると思います。住所が準備できれば区役所に行き個人用の住所を登録します。役場に赴く際は基本的には弁護士と共に行動してください。言語が通じなければ相手にされないと思います。住所登録が住めば数日後にSMSが来るので受領しに再度訪問すれば個人用の住所登録は完了です。

⑨公証人役場にて定款内容を変更
⑧までのプロセスが終われば晴れて内国人になれるので自分の法人のディレクターを弁護士から自分に変更することができるようになります。また法人の登録されている住所も弁護士事務所から自分の契約した住所に移すことができます。作業自体は用意された書類に何度かサインをするだけですぐ終わります。このプロセスが終わればウクライナ法人を正式に自分で保有し、自分をディレクターとして雇い自分に対して労働許可を出している状態になります。自分の会社として事業をやる限り制限はなくなります。ただ他の会社に務めることは労働許可の中に定義されていないので、そうしたい場合は別途その会社用に労働許可を取得する必要があります。

➓銀行口座開設
住所書類、法人関連書類、Taxナンバー、身分証、法人印鑑(印鑑は定款作成時にすでに必要なようなので弁護士がすでに作って持ってると思うのでそれを忘れずに譲渡してもらってください)を持って銀行にて法人・個人口座開設ができるようになります。別々に作ることも可能ですが、弁護士に同行してもらい同時に作ってしまう方がスムーズかと思います。銀行口座が開設できればアプリ・webサイト内からログインしてIBANコードを確認して日本から資本金を送金すればそれにて移住プロセスは完了します。ただ会計士がいない状態でお金のやりとりが発生してると法に違反したり、税務処理がわからず納税ができないと思うので、会計士に依頼していない場合は会計士を紹介してもらうか、自分で見つけて相談の上業務を行ってください。

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私はロックダウンの影響によりリヴィウに行くことができずキエフにかれこれ4ヶ月ほど滞在しています。不本意での滞在で外にも出れない期間が続きキエフに魅力を感じていなかったのですが、自然豊かで大きな公園が至る所にあったり、そこそこ美味しい和食や中華もポツポツと点在しているので最近は気に入っています。またキエフは首都なのでリヴィウよりは生活費は高いですが、会計士・弁護士・IT技術者・外国人経営者など他の都市よりも遥かに多いみたいので情報を集めやすく人脈も形成しやすいので他都市に思い入れがない場合はとりあえずキエフに住んでみるのも良いかと思います。

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ウクライナにお越しの際はぜひお声がけいただきたく思います。一緒にスラバウクライーニしましょう^^

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