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「きつねのはなし」森見登美彦

きつねのはなしといっても、キタキツネの生態は。。とかエキノコックスがどう。。とか、油揚げののった料理の話ではございません。
妖怪・もののけ・神秘の存在であるきつねがまつわる短編集。
著者が京都出身なのか京都が舞台の作品が多く、この作品も同様。

この人が書く京都って、神様・もののけといった存在と、モラトリアムな学生が同居している、現代だけどどっかずれているような土地として描かれており、すごい魅力的。
他作品でアニメ化もされてる「四畳半神話大系」とかも、独特の空気感があり好き。

「きつねのはなし」では京都というだけでなく、何篇かに共通した人物・設定が出てくるので、つながっているような、別の話のような、要素は一緒だがまったく違う姿をみせる、まるで万華鏡のような味わいがあった。

スティーブンキングの作品「にニードフルシングス」っていう話がある。
謎の骨董屋が町(この作者はだいたいいっつも架空都市キャッスルロック)に来る、町の人々それぞれがのどから手が出るほど欲しい商品がおいてあるのだが、売ってあげる代わりにちょっとしたいたずらをすることを客に要求するる。
そのいたずらが町全体をぎくしゃくさせ、混沌とした状況へ、という話。
これは短編ではないけれど、人外のものが人の世界に降りてきて、さまざまな人々を狂わせていくという感じが似てた。
こういう悪魔のような存在が人を惑わせる話が好き。すごく好き
笑うセールスマンの喪黒福蔵とか。
そういう話を知っている人がいたら教えて欲しい。あんまないよねぇ。

こういう悪魔たちが同じ世界にいたらどうなるんだろう、と空想しながら眠るのが、寝れない夜の対処法の1つ。

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