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「アルスラーン戦記」田中芳樹

「田中芳樹の最高傑作は?」と聞かれたらなんと答えるだろう。
俺はこう答えるだろう、「どのジャンルで?」と。
なにせ複数のジャンルで傑作を出しているのだから、指定していただかないと。。
SF、中国歴史物、伝奇、オカルト、ファンタジーなどなど。

SFであれば「銀河英雄伝説」、伝奇であれば「創竜伝」だ。
そしてファンタジーであれば「アルスラーン戦記」に違いない。
あっ!!でも「マヴァール年代記」もいいなぁ。

アルスラーン戦記の魅力は山ほどあるので、1つ1つ共有しよう。

1.軍師もの
アルスラーン戦記は、なんといっても軍師ものとして傑作なのだ。
田中芳樹作品で、名軍師による戦術が飛び交うシーンは大興奮もの、例えば「銀河英雄伝説」における自由惑星同盟のヤン・ウェンリーと帝国のラインハルト伯の戦術合戦は最高だ。
そんな実績のある作者が、中世の中東によく似た世界を舞台に繰り広げる戦術もの!!
これが面白くないわけがない。

2.主人公の魅力
田中芳樹作品における主人公は、清廉潔白、正しく優しい人物が多い。
本作も同様に主人公の少年、アルスラーン王子は心優しく、民の為に何が出来るかと悩むような素晴らしい人格者なのだ。
部下の皆が成長を見守り、高潔な魂に心動かされるという人物。
主人公にどうしても肩入れしてしまうのだよ。

3.登場人物たちの魅力
1で記載した通り、軍師ものとしても傑作で、もちろん軍師のキャラもいい。
他にも剣の達人や弓の達人、美男美女など、どこかコミカルだが主人公のアルスラーン王子の元に集う高潔な英雄達。
彼らの魅力もすさまじい。
名短編集を読んだ時、これら1つ1つ長編にすればいいのに、って思うことがあるが、このキャラクター達もみんな別の小説で主役が張れそうな人たちばかり!!
うーんもったいない。

4.ファンタジー
軍と軍との戦術のぶつかりあい、軍記もの・英雄物語と思いきや、人外の魔物・魔王が登場する。
そこはしっかりとファンタジーしているのだ。

あらすじを少し。
国王である父には疎まれ、王妃である母には冷遇されるが、それでもすねることなく真っ直ぐに生きようとする主人公、アルスラーン王子。
その王子の初陣となる戦、将軍1人の裏切りによりにより大敗を期す。
そして国は占領されてしまう。
亡国の王子となった主人公、そんな彼に寄り添うのが、父に「国」でも「王」でもなく「王子」を守れと指示された無敵の将軍、そして彼の友人である軍師なのだ。
そして彼らは国を取り戻すために奮闘する。
その中で、魔王勢力も暗躍するという大河ファンタジー。

最初数えるほどしかいない仲間たちだったが、徐々に王子の人柄に惹かれ有能な臣下が集まっていく。
そして、徐々に軍勢となっていく様子が何度読み返してもたまらない。

ちなみに、だいぶ新作が出ない時期があって、高校の時にアルスラーン戦記第1作「王都炎上」を読み始めて、第10作の「妖雲群行」を読んだのが大学生時代だったはず。
それからだいぶたって、第11作が出た。
そして現在は第16作までが刊行されている。
自分は実は第10作で止まってしまっているのだ。

1作目から読み直そうと思っている。
やはりいつまでたっても色あせることない傑作だから、2回3回ではもったいないからだ。

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電子書籍じゃないほうがいいね。
ノベルス版の表紙がいいんだよね。

ちなみに、「銀の匙」の作者が漫画化している。
好きな小説と好きな漫画家のコラボレーション、最高だね。

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