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「噛みあわない会話と、ある過去について」辻村深月

"感情移入"という現象について。
物語、小説であってもマンガであっても映画であっても。
主人公というか、一人称もしくはメイン視点のキャラクターに自分を重ねて共感する体験。
これが"感情移入"と解釈。
ビジュアルがないぶん、小説はその現象の強度?がある気がする。

作り手も"感情移入"を引き起こす為にマーケティングを活用しているのでは?
「アナと雪の女王」では恋愛よりも姉妹の絆が強め、これもバレンタインデーよりハロウィンの方か経済的効果が高い、恋愛より家族や友情を大事にする世界的?な風潮に寄り添ったのかも。
"感情移入"を上手く使う為に。

そういった戦略による影響か、何となく今までの体験から一人称もしくはメイン視点は人畜無害、もしくは善良な主人公という勝手な思い込みがちょっとある気がする。
それを裏切られたら??

ここまで長々と講釈を垂れ流したのは、本短編集がところどころ、寄り添ったメイン視点に裏切られさせてくれるからだ。
そしてそれがなんとも言えない読後感をたたき付けて来る。
メイン視点に寄り添って読み進め、途中からメイン視点のやばさに気づき戦慄、そして「あれ?自分もこういうところある」と気づかされる再びの戦慄。
これがすごい。。
物語にビンタされるのよ。

辻村深月は「かがみの孤城」しか読んだことなかったから、こんなえぐいの書くなんて!!って思った。
こっちが本領なんだね。
すごいなぁ。
その後に他作品のあらすじ洗っても、人の嫌なとこついてそうな話がいっぱいありそうだった。
なんだ大好物じゃん笑

自分は「パッとしない子」が一番キタね。

無邪気に人の陰口を言ったことのある人、他人に対して薄い憎悪を持ったことのある人、つまり全人類が読むべし。

ちなみに最近、辻村深月ガカっている。
最近見て泣いちゃった映画「ハケンアニメ」も辻村原作だし、本屋でも図書館でもよく名前が目につく。
今現在この作家がのりにのっているのと、自分との縁が深まっているのが理由かな。
これをハマると言うのだろう。




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