見出し画像

ラストメッセージ“不死身の特攻兵"佐々木友次伍長 (ドキュメンタリー テレビ朝日)

9回“特攻出撃"を命じられ、9回とも生還した兵士がいた!佐々木友次伍長…彼はなぜ生還できたのか?死の半年前、病床で語った「ラストメッセージ」の全容を初公開する。(番組公式HPより引用)

以前「不死身の特攻兵 / 鴻上尚史・著」を読み、戦時中の不条理と、それに負けなかった佐々木友次さんの生き方に感銘を受けた。

今回ドキュメンタリーとして、最晩年の佐々木氏が語る姿を見る事ができて本当に良かった。"良かった"という言い方は相応しくないかもしれないが、あのメチャクチャな状況を生き抜いた御当人は本当に神がかっているように思う。

本でも番組でも紹介されていたが、佐々木氏のお父様も日露戦争での過酷な状況から生還している。「人間は容易なことでは死ぬものではない」と伝えられたそうだが、特攻兵という激烈な立場からよくぞ生きて帰れたものだと、奇跡にしか思えない。

しかも、佐々木の上官は彼を死なせる為に飛行命令を出し続けた。戦死した事になっているのだから、お前は生きていてはいけないのだ、と。何という理不尽さ。9回出撃して全て生還、くどいようだが最早人間と呼べないくらいの運の強さである。

この番組で佐々木友治氏以上に、印象に残った人物がいた。それは佐々木氏が心から尊敬していた陸軍飛行学校の教官・岩本益臣氏である。新婚の妻を置いて行かねばならない辛さと、自分が死んだ同じ日に妻が流産する悲劇。卓越した飛行技術を持ちながら、戦争ではなく上司に呼ばれた宴会に向かう途中で撃墜されて生命を落とした。こんな無念はないだろう。

佐々木氏が9回も出撃しながら生還し、92歳の天寿を全うしたのは、岩本氏への想いと岩本氏の念が彼を守ったように思えてしかたない。

戦争の悲劇と共に生き続けたその人を知り、思い、後の世代へ語り続けること。戦争を直に知らない私たちがしなければならない事だと、心底思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?