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小田々農園の求人の条件3/家族農業の光と影

小田々農園が農業EXPOと農業就職・転職LIVEに出店するにあたって、
どのような労働条件を提案できるかをメモしておこうと思います。

農業を始めたいあるいは田舎で暮らしたい人たちが何を望むかは多種多様です。

ここで、家族農業の光と影について触れておきたいと考えます。


まず、最近の農業のあるべき論の論調が
「家族農業の推進とか、家族農業を増やす方が、あるべき農業の方向性」
とでも言うように取り上げられているように感じます。

結論から言うと、「家族農業」を目標や目的にすると、様々な社会問題を未解決のまま「家族農業」に閉じ込めてしまいます。

その「家族農業」から生み出される農産物が市場で適切な価格に評価されなかった場合、低賃金長時間労働を生むことにつながります。
「家族農業」の美しい美名の裏に潜む階層的奴隷構造の隠蔽とでも言いましょうか。

低賃金長時間労働のしわ寄せは、家族に女性や子供がいた場合、彼らへの労働の強制になります。

「家族農業」の推進が誰にとって有利かというと、多分「家族農業の当事者以外」が有利になると考えます。
「家族農業の当事者以外」とは
農産物を安く買いたたける、あるいは量を扱うだけできちんとマージンの入る流通業者、農産物加工業者(最大の物は農協)、
儲からない農家の当面の運転資金や設備投資の資金を貸し付ける金融機関(最大の物は農協)、
安い農産物を更に過剰生産させる資材を提供する肥料農薬メーカー、農業資材、農機具メーカーおよび商社(最大の物は農協)

国や国連の言う「家族農業のモデル」は


農業に適した土地を少なくとも数世代前から持っており。
農作物の知識・技術・道具もあり、
生産した農産物を再生産可能な価格で販売できる
その利益配分が家族全員のライフイベントにきちんと確保されている
家族に不和が無く、家族全員の個性が評価され、
個々の家族はいかなる強要も無い状態で仕事と家事と趣味に関われる。

そんな、笑顔が絶えない
10万戸に1戸も無いような「家族農業のモデル」

実例としては渋沢栄一の実家のような「家族農業のモデル」

小田々農園

があるように思います。

以下は農水省ホームページの概要です。

国連「家族農業の10年」(2019-2028)
2017年の国連総会において、2019年~2028年を国連「家族農業の10年」として定め、加盟国及び関係機関等に対し、食料安全保障確保と貧困・飢餓撲滅のため家族農業の推進を求めています。
概要
国連「家族農業の10年」は、世界の食料安全保障確保と貧困撲滅に大きな役割を果たしている家族農業について、2019年-28年を国連「家族農業の10年」と定め、各国が家族農業に係る施策を進め、国際機関はその計画の策定・展開を先導することを求めています。

「世界の食料安全保障と栄養の現状」(SOFI2021)によれば、世界の飢餓人口は7.2~8.1憶人と推計されており、また、極端な貧困層の8割近くが農村地域で暮らし、農業に従事しています。このため、農村地域の開発と持続可能な農業に対する資源の投入や、小規模農家、特に女性農業者への支援が、とりわけ農民の生活を改善し、すべての形態の貧困を終わらせる鍵となっています。

農水省

上の引用で、
まず触れたいのが、

A 世界の飢餓人口は7.2~8.1憶人
B 極端な貧困層の8割近くが農村地域に
AとBの並列表記は読み手のミスリードを生みます。

Aについては歴史の長きにわたって、
「搾取されない自給自足が保てる農村」では、
よほどの災害や戦争内乱が無い限り
飢餓にはなりません。

Bは極端な貧困の定義がドル換算の現金収入で評価されています。
さらに、農村地域にいることと彼らが農業で暮らしていることが同義ではありません。

次に

C 農村地域の開発
D 持続可能な農業に対する資源の投入

この考え方は、多くの場合農村が現金に依存せざるを得ない状態を作ります。

E 小規模農家への支援、
F 特に女性農業者への支援が、

この「支援」が何を意味するかです。

もし資金の貸し付けによる金銭社会への強要なら
要らぬお世話です。

この「支援」が
自給率の向上や
農業技術の習得や
余剰農産物の販売技術の獲得
に向かえば

G とりわけ農民の生活を改善

するでしょう。
そうなら、


H すべての形態の貧困を終わらせる鍵

になるかもしれません。

次回 女性の農業参入へのガラスの天井


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