Odor East

東京で編集者として20年働いて田舎に帰り、医療ソーシャルワーカーに転職して病院勤務。も…

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東京で編集者として20年働いて田舎に帰り、医療ソーシャルワーカーに転職して病院勤務。もうすぐ介護が必要になるだろう両親と暮らしながら、毎日病院では、人が老い、病み、衰え、死にゆくのをみおくる。「最期はどうなるのか」という自分の最大の疑問へのこたえをもらう日々。

最近の記事

通常出力30%

練習以上の力は出ない 「私は本当はもっとできるはずなのに、努力が足りない」といつも思っている気がする。でもどうなんだろう。昔、合唱をやっていたころ、先輩に「本番で普段やっていること以上の力は出ない」と言われた。たまにはそうじゃないこと(練習以上の演奏ができること)もあったけれど、でもやはり普段の練習の8割(よくて)くらいの力しかでない気がする。 基礎力のアップ 今、仕事をしていると、もちろんいつも全力なわけではない。最大出力の何割くらいの力で働いているか考えると、せいぜ

    • 一人の人が持つ世界

      一緒に過ごすのが楽しみな人 この人といる時間が好き、というのがあるなぁと思う。それはその人が作り出す世界が好きということなんだろう。コップに半分のジュースを見て、「あと半分しかない」と思う人と、「まだ半分ある」と思う人がいるように、同じ事態に遭遇しても感じ方は人それぞれ。その感じ方が一緒にいて心地いい人と会うのは楽しい。 一緒にいると辛くなる人 一緒にいると辛くなる人がいる。どこまでやっても「まだまだ!」と言って、一息つくひまも、ましてや自分をほめるひまもない。「そんな

      • 死ぬことが怖くなるなる本

        作りたい本 作りたい本がある。それは死ぬことが怖くなくなる本。ヨシタケシンスケさんの『このあとどうしちゃおう』の大人版のような。死に向かっていくことも少し楽しみになるような本。それは絵本みたいなのがいいのかな。 力が抜けた 東京で編集者をしていたころ、この『このあとどうしちゃおう』を読んで、「これでは足りないのではないか?」と思っていた。「もっと、死についての真実を知るべきではないのか? 知らせるべきではないのか?」なんて思っていた。でも今、病院で多くの死を実際に見て、

        • 年を重ねることのメリット

          同い年とひとまわり下の同僚 勤務先の病院の地域医療連携室には、私を含め三人の職員が在籍する。私は社会福祉士、ほかの二人は看護師。うち一人は幼稚園からの幼馴染(病院のHPにその名前を見つけた時驚いた)で同い年。もう一人はひとまわり下、40歳そこそこでバイタリティにあふれる人物だ。 バイタリティあふれる40代 看護師一筋にやってきた40代、なんというか油がのっている。のりにのっている。看護師としてのキャリアを着実に積み重ね、病院内のことも知り尽くしていて、どこに働きかければ

        通常出力30%

          教え方の上手下手

          日本語なのにわからない 編集者から医療ソーシャルワーカーへの転身。「横文字の仕事かっこよさそう」なんて甘い考えは、初日からぶっ飛んだ。みんな日本語をしゃべっているのに、さっぱり意味がわからないのだ。医者も看護師もリハスタッフも、何をいってるんだかわかりゃぁしない。生まれてこのかた50年あまり、大して医者にかからずに生きてきたから、病院の各科の違いもろくにわかっちゃいない。そんな自分をいきなり医療現場に放り込むスパルタな方針の私。 社会福祉士を育てたことがない うちは急性

          教え方の上手下手

          都会の子どもと田舎の親

          “瞬間最大風速”の元気 家に帰って気づいたのは、これまで盆や正月に目にしていた親は、子どもに元気な姿を見せようと、頑張っていたものだったのだということだ。元気だと思っていた親が、思ったよりも弱っていた。それまでの数日間の帰省で目にしていた姿は、子どもに心配かけないように弱ったと思われないように、“瞬間最大風速“の元気をみせていたものだったのだ。休みが終わり、子どもが都会に帰ると、ホッと一息ついていたことだろう。 本当は予想より老いていた それが毎日一緒に暮らすようになる

          都会の子どもと田舎の親

          子猫が天井から落ちてきた

          実家の天井裏から子猫の声 去年の7月の終わり、台所の天井から、生まれてまもない子猫の声が聞こえてきた。実家の古い家は、外から出入りできる穴があるらしく、昔から時々猫が入り込んでは子猫を産む。そのうち声が聞こえなくなるので、引っ越しているのだろうなと思い、あまり気にしていなかった。 足元から子猫の声 子猫の声が聞こえ始めてから数日たったある日の夜、風呂に入ろうとしたら、子猫の声が脱衣所の天井から聞こえてきた。「今日はこの辺りにいるのだな」と思って風呂に入った。そして風呂か

          子猫が天井から落ちてきた

          田舎に帰る前に考えたこと

          東京で編集者をしていた 20年くらい東京で編集者をしていた。新宿駅から歩いて30分くらいの渋谷区に住み、何をするにも便利な場所だった。でも田舎には年老いた両親がいて、いつかは帰らなくてはならなくなると思っていた。それを真剣に考えるタイミングがある日突然やってきました。 田舎に帰るのを決めたきっかけ ある時、新しい人事の発表があった。私の所属していた編集部の管理職は、部長と分野ごとにわかれたチームに課長が何人かいた。私のチームは顧客を一番多く抱える分野でもあったので、常に

          田舎に帰る前に考えたこと