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マネジャーの最も大切な仕事 95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力 ビジネス書レビュー

本の概要

本書では、マネジメント理論における「明確な目標設定」や「メンバーの管理」に重きを置いた”ありきたりなテクニック”よりも、チームメンバーの仕事に対する内面的な心情や動機づけの重要性が強調されています。

また、インナーワークライフが不十分な環境の場合、業績の低下やモチベーションの喪失が起こりやすいとした上で、この心理的側面の管理が、マネジャー自身の職業的満足度にも影響を及ぼすことなどが紹介されています。

感想

本書を読み終えた後、私は「行動を起こそう」という強い意欲に駆られました。これは、一冊のビジネス書が持つべき最大の魅力と言えるでしょう。私が特に注目したのは、インナーワークライフの概念です。従業員の内面的な動機づけや感情が、実際の業績にどれほど大きな影響を与えるかという点です。

調査と分析に基づく著者の主張は、一見すると自明のように思えますが、実は深い洞察に満ちています。本書では、この概念を豊富なデータと具体的な例によって裏付けており、読者に対して強い説得力を持っています。

ただし、日本語訳版にはいくつかの難点も見受けられました。特に、インナーワークライフや触媒ファクター、栄養ファクターなどの専門用語が、その意味を直感的に理解しにくい点が挙げられます。しかし、これがかえって読者にとっては良い刺激となり、深く内容を吟味する機会を提供しています。

書籍の末尾には、マネージャーが参考にすべき具体的なチェックリストが提示されており、実務において直接活用できる情報が豊富に含まれています。これは、一般的なマネージャー研修では得られない、価値ある知見と言えます。

実践への応用

私自身、本書に記載されている内容を100%実践することは難しいと感じていますが、チーム運営においてこれらの理念を取り入れることの重要性は十分に理解しています。特に、「小さな勝利」の積み重ねと「小さな敗北」の回避が、チームの士気に与える影響は大きいと考えています。

これらのコンセプトは、ビジネスのみならず、子育てや日常生活においても応用可能です。管理職だけでなく、部下を育てる立場にある人々にも読んでほしい一冊です。

まとめ

「マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」は、単にマネージャー向けの書籍としてだけではなく、広くビジネスマンに推奨したい作品です。ただし、内容の密度が高く、長大な部分もあるため、メモを取りながら読むことをお勧めします。

この書籍は、マネジメントの新たな視点を提供し、ビジネスにおける「小さな進捗」の重要性を科学的データに基づいて明確にしています。一見、当たり前のように思えることも、深く掘り下げられた分析によって新たな光を浴びています。読了後には、何か新たな行動を起こしたくなる、そんな力を持つ一冊です。


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