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職場にまれにいる徳の高い人の特徴

生き馬の目を抜くビジネスの世界でも、まれに、ごくまれに、徳の高い御仁がいる。

そういう人は、一見すると目立たないけれど、いつも善い風を吹かれている、という感じがする。器が大きく、立ち寄るひとの渇きを癒す泉のようでもある。忙しく働く人には気づかない程度のルクスで後光がさしている。

徳の高い人は、真っ当に高い役職についていることもあれば、役職にもなくひっそりと存在していることもある。いずれにせよ、徳の高い人は敬い慕う人が大勢いて、周囲は明るく華やいでいる。

この人に嫌われたら人間としておしまいである、と感じさせる人。そういう人が徳の高い人だと思う。こういう人の見分け方を述べたいと思う。

具体的な所作を上げるとキリがないから、大別すると3つになった。それは「ことばと姿勢」「指先」そして「ノイズの排除」である。


徳の高い人の特徴①:ことばと姿勢

  • まず、話しているときの態度として、静かでゆったりと聞いている。相手の話をよく聞く。安心してもらうような所作をする。まくしたてない。

  • 言葉にしても、過度な専門用語を使わない。平明なことばを用いる。専門用語や横文字で煙に巻くようなことはしない。

  • 姿勢も、背筋が立っている。猫背ではない。歩いているときも「地に足がついている」。足腰が定まらないのは精神的に良くないと知っている。

  • まれに怒るときもある。ただしそれは自分が侮辱されたときではなく、身内が不正を受けたときだけである。そのときも、感情に振り回されない。

徳の高い人の特徴②:指先

  • 字が美しくととのっている。大きさや筆圧も安定している。

  • 食事のさいでも、箸使いが美しい。迷い箸をしない。もっといえば、食事の咀嚼もゆったりしている。

  • 指先に細やかな神経が行っているのは、思考にも良い影響を与えることを知っている。

  • 記録するという点では、ペンで文字を書くよりタイピングが早い。しかし、書くというまどろっこしい行為を通して、思考を整理している。

徳の高い人の特徴③:ノイズの排除

  • 身だしなみを整えている。生活の中で「気になる」という感覚はノイズである。一日、自分の身だしなみで気になる点が無いように注意している。

  • デスクの上が整理されている。今、自分が手掛けている資料や書類のみが置かれている。「作業中」「完了」が頭の中で整理できている。

  • メールの返信が早いかどうか。「了解」という返事が早い。自分がボールを持っていることを打ち返す意図ではなく、相手に対して早く了解した旨を伝えて安心してもらう、という配慮である。

  • (真に徳の高い人にとって、自分以外が気がかりにしていることも、自分の影響の範囲であれば、ノイズとして認識する。そして行動する)


このすべてにあてはまる人がいたら、たぶん徳の高い人だと思う。

徳の高い人がそばにいると、周囲の人にも良い影響をもたらしてくれる。
善い風に吹かれる人の近くにいると善いことがある。ぼくの実感でもある。

ストア派の哲学者で、古代ローマの政治家であるセネカの言葉を引用する。

まずは不正を受けないように努めよう。 われわれはよく耐える術を心得ていないのだから。ごく穏やかで気立てがよくて、神経質でも気難しくもない人とともに暮らすべきである。性格は日頃付き合う仲間から取り込まれる。ある種の身体の病気が触れた人に広まるように、心は己の悪疾をその人間に移す。

セネカ「怒りについて」

穏やかで気立てが良く、神経質でも気難しくもない人が高い役職にいる会社は、おそらく安泰である。もしこういう人が上司であるならば、貴方はとても幸せな会社員である。その人を神輿に載せて担ぐことをおススメする。


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