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【目印を見つけるノート】1176. あのひととはぐれて南へ逃げる

今日は静かに過ごそうと思っています。

だいぶ前の話ですが、取材で沖縄へ行きました。那覇のパシフィック・ホテルを拠点にいくつかの場所へ行きました。
このホテルで朝食のときに会った方のことについては、以前書いたことがあります。
【目印を見つけるノート】449. おかえりなさい

嘉手納(かでな)をはじめ米軍基地周辺、アブチラガマ、チビチリガマ、平和の礎……
行程でいちばん距離が離れていたのは読谷村にある座喜味(ざきみ)城跡でした。
石造りの広大な城塞で、本当に圧倒的でした。当時は城塞に興味がなかったので、じっくり見ればよかったと今さらながら思っています。

他のぐすく(城)も一挙に見て回りたいです。

ちょうど今時分でしたので、県内の道路がたいへん渋滞していました。ですので恩納村の施設『琉球村』で昼食をいただいて、早めに糸満市摩文仁(いとまんしまぶに)の方へ向かいました。取材の相方が先行していたからです。

ん🤔恩納村の方が遠いのか。
遅れに遅れましたね。そもそも、距離が52.7kmある上の渋滞です。「明るいうちに着いてよかった」ぐらいのものです。

たどり着くと、
取材の相方は現地の方と草むらに座って話し込んでいました。まだ時間がかかるということでしたので、私はできたばかりの平和の礎をじっくり見たりしました。
そのときだったかな、前だったかな、ひめゆり平和祈念資料館も見学しました。
ご存じの方はご存じでしょうが、
沖縄戦というのは武力と武力との戦いとはとてもいえない、上陸した米軍に追われた多くが一般の人でした。
看護隊として務めたひめゆりの皆さんの壮絶な日々とその最期については多くの媒体で紹介されていますので、機会があったらぜひご覧いただきたいのですが、
私がそこで見つけたひとつの体験談がありました。

恋人か夫か、どちらかと確かに覚えていないのですが、
逃げる途中ではぐれてしまった二人の話がありました。
あのとき、皆さんは南に逃げていました。もちろん北のやんばるに逃げた方もいたでしょうが、南に向かう人が多かった。南の方が大きな町でしたから。
南へ、南へ、南へ。
女性は逃げながら、相手の消息を尋ね続けます。情報はぽつぽつと知ることができました。
「きのう、○○で見かけたよ。あなたのことを探していた」
女性はすぐに言われたところへ向かいますが、もう相手は去った後です。次に向かいそうなところへ向かいますが、見つかりません。その繰り返し。
南へ、南へ、南へ。

摩文仁の丘があります。
そこが南の果てのひとつでした。

耳目を覆いたくなるような事実は山ほどあります。多くの人々が自死に追い込まれたこと、味方のはずの軍も民間人を死まで追い詰めたこと、機銃掃射、火炎放射器、手榴弾、服毒、身元の分からないご遺骨がたくさんあること……当時の現場も見てから、さきの文を見たのです。詳細はうろ覚えで申し訳ないのですが、
お互いが、逃げまどいながら探しあっていたのに、
ついに生涯、会うことができなかった。
その悲しさがたいへん重く私の心に残りました。

皆さんに家族がいて、友達や恋人がいて知り合いがいて、それらが木っ端微塵に吹き飛んで、引き裂かれたのです。

沖縄の梅雨はその日に明けました。

現在もある、人間がする最大の蛮行について今日思うことは、大切なことなのではないかと思います。

ネーネーズ『てぃんさぐぬ花』

鳳仙花(てぃんさぐ)の花はよく色が出て染まるそうです。それに例えて親のいうことはよく聞きなさい。よく生きなさいと歌われています。
人は自分一人だけで在るのではない。親に育てられ、長じては助け合って生きるものだということです。

余談ですが、きのう、
来年度自治体の小学校で使う教科書をざっと見て来ました。主に文系科目ですが😅
今日的な事柄を多く取り上げていて、ウクライナの戦争の写真もありました。世界情勢や異常気象、SDGsについてもですね。社会・道徳の方面では献身的に社会に貢献した方々やNGOが多く登場されていて、納得もしたのですが、
大人になるとそのような話題は出なくなるものだとしみじみ思うのでした。
いつ頃からフェイドアウトするのでしょうか。大人になればなるほど、どんどん社会的ではなくなっているようにも受け取れる。それは自分も含めてです😖

一度ご覧になっていただくと、興味深く感じられるのではないかと思います。

ああ、田中正造さんを見なかったな……それはちょっと残念です。

それでは、お読み下さってありがとうございます。

尾方佐羽

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