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問題「発見力」大全 (イシューデザイン#1)

こんにちは。OGIです。
ますます大切になる問題「発見」力を高める上で有効なアプローチを、様々な分野から拾い上げ再編集する試みの第一弾です。
(原則、実際に自分で現場で試して有効だったものだけ取り上げてます。)

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今回は問題「発見」(イシューデザイン)の4つのアプローチの1つ目、#1『「現状」を感じ尽くす』です。

(#0 の問題「発見力」大全の全体像(4つのアプローチ)はこちらをご覧ください。)

このアプローチは、『映像研には手を出すな』(個性バラバラの3人の女子高生がアニメを作っていく話)のキャラでいうと、「水崎ツバメ」かなあ。

彼女は有名な俳優と女優の娘で、抜群の観察力でひとやものの動きや特徴を捉え、それをアニメのキャラの描写でも表現できるキャラです。

そんな彼女の『他の人に見えていない解像度と視点と好奇心での圧倒的な「観察眼」とそれを描写できる「表現力」』は、今回のアプローチに大事な力。


「理想」と「現状」が意外とわかっていない

さて、『「現状」を感じ尽くす』は、問題「発見」(イシューデザイン)のための4つのアプローチの一つです。

それを理解するために大事なのは、問題は「理想と現状のギャップ」だという前提。
#0でもご説明したように、そのように問題の定義をシンプルに捉えた上でお話ししていきます。

問題 = 理想 - 現状

孤独なお年寄りが多いのが問題だ!」という発言をテレビのコメンテーターがしたとして、それにテレビの前で「うんうん、ごもっとも。」とうなずく人は、下記の「理想」(あるべき姿)と「現状」を無意識に想定しています。だから理想と現状のギャップが問題だと感じるのです。

A)現状:「一人で暮らしているお年寄りが多い」
B)理想:「一人ではなく、誰かと暮らすのが幸せに決まっている」

これは、下記のような多くの営みの原点になる『「誰の、どんな課題」を私たちは解決しようとしているのか』を見つけたり、見直したりする、大事な問いの精度を大きく左右します。

・新規事業開発や商品開発
・既存ブランドのリニューアル方針や問題解決(売上UPなど)
 (ポジショニングやプロモーションの見直し)
・社内の人事制度や育成プログラム作り
・まちづくりやNPOのサービス設計

上記の孤独なお年寄りの例は比較的シンプルですが、世の中には、意外と「理想」や「現状」が、曖昧だったり、わからなかったり、間違っていたりして、解決すべき問題を知らない、言葉にできていってことがものとても多いのではないでしょうか。

※ちなみに、孤独なお年寄りの例は、下記のようなことを気になる方もいらっしゃるかもしれません。
これらは、問題「発見」(イシューデザイン)にとっても重要な視点だと思いますが、4つのアプローチの一つである#4「そもそも論で「ピント」を合わせる」でまとめる予定なので、そちらをご覧ください!
今回は一旦忘れてください(笑))

誰にとっての問題?
(本当にお年寄り本人の問題?それとも世話する子どもたち?ケアする自治体?が困るだけ?などなど)
なぜそれが問題?
(そのギャップの何が問題?本当に問題なの?どのくらい、なぜ問題?)
いつの問題?
(喫緊の今の問題?それともノスタルジーで過去の話で解決済?あるいは遠い先の不安のことを言っている?)
隠れた前提
(孤独ってなに?一人だと孤独なの?それって悪いこと?全員が同じ意見?などなど)

#1『「現状」を感じ尽くす』の概観

今回のテーマは、#1『「現状」を感じ尽くす』で、「理想」は常識や感覚でなんとなくわかっているけど、「現状」をよりよく知ったり、明確にしたり、捉え直すことで、問題を発見するアプローチやヒントになる取り組みの概要をまとめたいと思います。

1)観察とフィールドワーク
 (エスノグラフィ/対話型芸術鑑賞/ヒューマンウォッチング)
2)デプスインタビュー
 (インサイト/投影法/ラダリング/デザイン思考と共感)
3)WEB行動
 (ビッグデータとAI(機械学習)/検索ワードとSERPs/トラッキング)
4)分析思考とロジカルシンキング
 (分けて比べる/原因と問題/帰納法と演繹法/フレームワーク)


1)観察とフィールドワーク

 「現状?そんなもん全てわかってますよ!

5年前、ある新サービスの計画を練っていたときに、「現状把握が足りないね」みたいな話になり、そのチームの一人の小林くん(偽名)が、想定ターゲットの日本人30代男性を年収、居住エリアなど偏らないように1000名にアンケートとった結果を手に持って、ドヤ顔で本気で言っていた言葉です。

(そのとき、「アンケートはとっても大事だけど、それで全てわかったって違うんじゃない?」的な議論になり、後日小林くんが「俺が間違ってました」とこっそりメールしてきた彼の素直さが今も忘れられません。)

アンケートやインタビューで「聞いて」出てきたことが
・「現状」として正しいとは限らない
・「現状」のすべてとは限らない

ことは、多くの方がご存知かと思います。

「現状」として正しいとは限らないのは、回答する人が、考えるのが面倒だったり、見栄を張ったり、相手に配慮したりして、本音を言わないこともあるし、そもそも気づいていないこともあるから。
(ここの部分は、後ほど「2)デプスインタビュー」でも書きます)

「現状」のすべてとは限らないのは、すべての論点を聞くなんてできないし、言葉や思考に現れない「行動」でしかわからないことも多いからです。

そこで、「観察」というアプローチがとても有効です。

ところが我々は、小学校で朝顔の観察しただけで、「観察」をわかった気になって、簡単ですでにもうできていると思っている人が多い気がします。
でも実際はとても有効であり、とても難しく、ほとんどの場合、できているつもりなんじゃないかと有名なマーケターに話たら賛同してもらえました。

じゃあ、どうすれば「観察」できるようになるか。

まず、「対話型芸術鑑賞(VTS)」が入りやすくておすすめです。
タイトルや作者を伏せた絵画などを複数人で観察し、感想や解釈ではなく、「状況(事実)の説明」のみを口頭で一人一人行うワークです(やり方には人によって多少違いがあります)。

これをやると、(意見とかではなく)ただの「状況(事実?)の説明」なのに人によって結構バラバラな説明になるんです。

着眼点も、説明の主語や話題の中心も、状況設定もバラバラ
 (→事実って、(淡白で無味乾燥で自明ではものではなく)多様で揺らぎがあることに気づけて、自分の観察の着眼点や視点を増やすきっかけになる)
描写の解像度と範囲もバラバラ
 (→気づけていないところ、曖昧にしか表現できていないところがあるこ  とに気づけて、自分の観察の解像度と表現力を伸ばすきっかけになる)

次に、「エスノグラフィ(参与観察)」がオススメです。
これは、観察したい人となるべく同じ状況に身を起き、なるべく同じ気持ちになって同じ行動をして、現状をより高い解像度と広い視点で理解するアプローチです。

もともと人類学のアプローチで、そこから暴走族に参加して彼ら彼女らの行動と組織を捉える社会学のフィールドワークから、家電メーカーのマーケターが、一般家庭にお邪魔して、洗濯機を使う様子を眺めて新しい洗濯機をデザインしたりなど、幅広い分野で様々な流儀で実施されています。
私も実施して事業プランの立案に利用することもあり、有効です。

このアプローチの魅力は、インタビュー部屋やパソコンの前では実現できない、コンテキスト(文脈)に沿った観察ができることです。

コンテキストに沿うことで①観察者はよりリアルに把握できるだけでなく、②観察される人も、インタビュー部屋やパソコンの前で答えるよりリアルな気持ちになり、リアルな行動や発言に近づくからです。

ある有名なインタビューで、トラックの運転手さんにインタビュー室で普段運転中にやっていることや気になっていることを質問したり実演してもらうパターンと、実際にトラックを運転するのに隣の助手席に同乗して、同じ揺れを感じ、同じ風景を見ながら観察したり会話するパターンで得られるものは全く違ったという話もあります。

Face to Faceで対面での会話より、Side by Sideで横にいて、同じ風景を見ながら空間を共にする方が、違う関係性が作れて、違う気づきを得られることもあるんです。

そのほかにも、「ヒューマンウォッチング」、「デッサンによる観察力磨き」、「カメラを持って、お題を決めて街を歩き廻る」、「内省による自己対話」、「ロールプレイングによる演劇技法」など、私自身もアレンジしたり試して、問題発見や他者理解に役に立ったことがあるアプローチは他にもありますが、長くなるのでまたの機会に。

まずは上記がある程度できるだけでも、「現状」を感じ尽くす」ことによる問題「発見」(イシューデザイン)力は上がると思います。

<参考図書>
(アフィリエイトプログラムは使っていません。)
・『私の中の自由な美術―鑑賞教育で育む力
・『商人家族のエスノグラフィー―零細小売商における顧客関係と家族従業
・『フィールドワークの技法―問いを育てる、仮説をきたえる
・『デザイン思考が世界を変える
・『ビジネスマンのための「行動観察」入門


2)デプスインタビュー

アンケートやインタビューで「聞いて」出てきたことが
・「現状」として正しいとは限らない
・「現状」のすべてとは限らない

ことは多くの方がご存知かと思います。

先ほど、1)観察とフィールドワークで、「聞く」の限界と「行動」観察の有益さをお話ししましたが、「聞く」方法でも「聞く」の限界突破は可能です。

それがデプスインタビュー(デプスダイアログ)です。

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氷山の一角って言葉は、「海で氷山を見て、でっかい!と思ったら、海の下の我々から見えない部分にもっとでっかい部分があるぜ」っていう意味で、見た目より大きなものが見えないところに潜んでいるって意味でよく使われますね。(単純計算で氷山の体積の10.7%しか見えないらしいです。)

よく言われるように、私たちの意識している感情や思考や行動は、全体のほんの一部だけ。本人すらも気づいていない感情や欲求があり、その中でも、その潜在的琴線に触れると行動が変化する隠しスイッチのようなものをインサイトと呼びます。

そのインサイトを探り出す対話手法をデプスインタビューと言います。(単純に深掘りするインタビューをデプスって呼ぶことが残念ながら多いですけど、本来は違うらしい。諸説あるけど。)

これを語り出すとめっちゃ長くなるんですが(まあ他のアプローチもそうだけど)、ここでは実際のデプスの手法でメジャーどころを軽く紹介するにとどめます。(大事なのは手法ではなくスタンスとか、いろいろありますが、まずはイメージを持ってもらうために紹介します。)

これも実際に試して、ある程度うまくいったものだけ紹介します(このnoteの基本スタンス)

まず、「投影法」というもの。
直接的に質問しても答えにくい、あるいは思い浮かばない問いかけを、別の人や表現に自分を「投影」して答えてもらうことで、潜在的な気持ち(インサイト)をあぶり出すアプローチです。

比喩法/擬人化法
 あるものに抱いている印象を、例えで表現させて本音であぶり出す。
 (「日本酒」と「焼酎」をそれぞれ人に例えるとどんな人だと思う?性別や年齢、趣味、口癖、住んでいる場所、職業などは?イラストにするとどんな感じ?)
第三者技法
 自分以外の第三者として語ってもらうことで、脱ポジショントーク。
 (「カップ焼きそば」が大好きな人ってどんな人だと思う?)
文章完成法
 (「ハーゲンダッツが食べたくなるのは●●な時だ。」という文章を完成させる)
コラージュテスト
 (100種類くらいの雑誌の切り抜きや写真を用意して、あるテーマのものをそれらの組み合わせで表現してもらう)
などなど

実際やってみても、どれも意外とインタビューでは聞けないことを聞けたりして対話が深まったり発見がありました。ちょっとコツが必要ですが。

あとは、「ラダリング法」「カスタマージャーニーを書きながらの対話」、「デザイン思考での「共感」」など色々ありますし、投影法自体も他にも応用が聞きますが、上記あたりが取っ掛かりとしては入りやすいと思います。

デプスがガチでやろうと思うと、本当に熟練が必要で難易度高いですが(私もほんとまだまだですが)、まずやってみるだけでも、コツさえつかめば(プロには敵わなくても)発見はあるので、オススメです。

<参考図書>
(アフィリエイトプログラムは使っていません。)
・『インサイト
・『「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための インサイト実践トレーニング
・『マーケティング・インタビュー―問題解決のヒントを「聞き出す」技術
・『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚


3)WEB行動

人の行動を、自然な形で、大量に、比較的安価に把握することで、人々の「現状」を把握する方法があります。WEB上での行動把握です。

個人情報の取り扱いへの規制(cookie規制、GDPRなど)はあるものの、インターネットは本質的に様々な行動がデータ化されやすく、ユーザーの意思や価値に寄り添い、プラスに活用する限り、今後も一定のルール内でデータはとられるでしょう(アリババのセサミクレジット(芝麻信用)というサービスはユーザーが進んで個人情報を捧げる工夫で成功している例です)

ある人が、何日の何時に、どのWEBサイトのどの辺りをどのくらいの時間、どんなデバイス(PCかスマホかなど)から見て、どんな行動して、というデータが複数のWEBサイトを横断して把握できれば、人々の「現状」が色々と立体的に見えてくるのは想像に難くないでしょう。
それが(WEB以外の)リアル店舗の来店や購入情報などとも結び付けられたりするわけですから、尚更、問題発見(イシューデザイン)のための必須科目の一つとなります。

ただし、WEB上での行動把握は、「What(行動の一部)はわかるけどWhy(なぜその行動を、どんな気持ちでしたのか)はわからない」という究極の限界があります。(相関関係と因果関係が見分けがつかない問題もここに端を発します。)

なので、WEB行動だけで現状把握したつもりになるのは危険で、1)エスノグラフィなどの観察や、2)デプスなどで補ったりする必要があります。

また、AI(機械学習)などで、WEB行動をリアルタイムで人間の解釈を挟まずそのまま活かすサービス(購買行動に基づく商品レコメンドなど)を設計する際にはそういった限界に自覚的になって設計すべきでしょう。

とはいえ、魅力も多いWEB行動把握は(限界に気をつけた上で)問題発見(イシューデザイン)に活用することは有意義です。

自分たちの運営するWEBサイトの行動把握は、皆さんもご存知のGoogleAnalyticsなどの分析ツールである程度把握できますし、ヒートマップ(WEBページのどの辺りに注目していたかなどがわかる)など発展版の分析ツール、自社以外のWEBサイトの情報を得られるサービスもたくさんあります。(この辺はすでに解説ページも多いですし、知っている方も多いのでここでは深掘りしません)

あと、身近なのに意外と活用されていない現状把握方法が、検索ワードとSERPsによる人間理解です。

「あー、Googleとかで、例えば「マスク 在庫」とかが検索された量がわかるやつでしょ?」って感じで検索ボリュームをGoogleキーワードプランナーや無料のGoogleTrendsUbersuggestなどで調べている方は多いかもしれませんし、私もとても大事だと思います。

ただ、その検索ワードどんなコンテキスト(どんな気分で、通勤電車や子守り中などどんなシチュエーションでどんな時間帯に)で、どんな意図(何が知りたい、何を解決したい)でGoogleでの検索に使っているかまでを仮説立てたり、検証したりしている人はWEBマーケター界隈に限られる印象があります。

そしてSERPs(検索ワードを入れて検索した時に表示される検索結果リスト)も合わせてユーザー理解につなげて活用している方も意外と多くないかもしれません。

SERPs(検索結果)に並ぶWEBページは、Googleさんが超複雑なルールで決めていて厳密な説明は無理ですが、思想としては、「そのキーワードで検索した人が、短いキーワードでは表現しきれない、検索の意図(知りたいこと、解決したい課題)に一番沿ったWEBページを見せてあげたい。そうすればGoogleを今後も使ってくれるはず。」というものに基づいて膨大なデータ(信頼性、オリジナリティ、CTR、滞在時間、クリックバックなど)を活用してSERPs(検索結果)の掲載順位を決めています。

なので、SEOの専門的なことを色々端折っていうと、「(あるキーワードの)SERPs(検索結果)を見れば、そのキーワードで検索した人が本当に知りたかったことはなんなのかの詳細がある程度わかる」可能性が高いのです。

なので、検索ワードがどのくらい検索されているかのニーズの量だけでなく、その検索ワードでユーザーが何を求めていたかの詳細をSERPsで把握するというセットで、ユーザーの現状理解が進みます。
(その他にも関連語でのグルーピングとかキーワード間の比較など色々ありますが、長くなるので端折ります。)

また、TwitterやYahoo!知恵袋などのSNSの分析もユーザー理解や顧客理解、人間理解にとても有意義です。この辺りはまた別の機会に詳細を書ければと思いますが、「関連キーワードでコンテンツやグループを検索して眺めてみる」という基本行動だけでも雰囲気はわかるのでまずはそこから始めるのもオススメです。


4)分析思考とロジカルシンキング

いよいよ、問題「発見」(イシューデザイン)の4つのアプローチの1つ目、#1『「現状」を感じ尽くす』も最後の項目になってきました。もう文字数やばいので、省略しつつ。

最近、アート思考やら、インサイトやらで、「もう古い」「もうコモディティだ」「すぐにAIに代替される」と、一時期の輝きを失ったように見えるロジカルシンキングや分析思考は、(多くの限界を抱えながらも)いまだに有益だと思いますし、他のアプローチと組み合わせることでよりパワフルな問題発見(イシューデザイン)のアプローチになると思います。

ロジカルシンキング界隈で、今回のテーマの現状の把握みたいな話をすると、「分析」っていう(使うだけで知的な響きがして、だからこそ無思考に多用されて手垢がついた)言葉がよく使われます。

「戦略」やら「経営」やらと同じように、「分析」という言葉は意味が曖昧なまま使われることが多いですが、オーソドックスな定義は

分けて比べる

ことです。

例えば、「トヨタの分析をせよ」って言われて何します?

(そもそも、分析の目的なんだよとか、自分はどんな立場の設定なんだっていう大事な前提はあるものの)そのまま「トヨタってどうなんだろう?」とは悩まないですよね?

分析の目的や、分析に使える時間を踏まえて、(無意識にかもしれませんが)トヨタを時系列(創立から現在、そして未来の各段階)、商品別(カテゴリーや車種や単価)、リソース別(従業員、お金、資産、ノウハウなど)、業績別などなど色んな視点で「分け」ますよね

それを「どんな切り口で分けるか、分けた結果を何と比べるか」、という単純なようでいてめっちゃ深淵な設計によって分析の精度、ひいては現状把握や問題発見、問題解決の精度や生産性に雲泥の差があります。

フィールドワークなどでの観察ですらも、漠然と対象を眺めるのではなく、「発言」「表情」「移動」「持ち物」「手の動き」「目線」など着眼点として対象を分解して眺めることで解像度が高まります。

そして眺めてどう感じるかが「比べる」なのです。ある観察対象者の「表情」をどう捉えるかは「過去のその人の表情」と比べたり、「感謝が思う悲しい表情」と比べたり、何かと比べて、どう捉えるかを決めるわけです。

それが分析の「分けて、比べる」、その結果、何かを見出すことです。

もちろん、統合思考といって、なんでもかんでも細分化していって個々の理解だけじゃ見落とすものがあるって面もありますし、フレームワークという既存の分析の分ける方法に頼りすぎると硬直的な考え方しかできなくなりかねません。

しかし、統合思考もそのまま全体を眺めるだけでなく、分解しては再統合を繰り返して見えてくるものですし、フレームワークも思考の補助線の一つ程度にすれば有益です。

かのデカルト(400年くらい前に生まれた有名な哲学者)も「困難は分解せよ」と言って、私もテンパった時の一つの指針にしてます(笑)。

ロジカルシンキングの基本であり応用である分析思考は、現状把握や問題発見にも有益なアプローチで、他のアプローチと使い分けたり、組み合わせてご活用されることをお勧めします。

実施方法
テーマが壮大なので、かなり端折りつつ説明しましたが、実際の問題発見アプローチの実施などに興味があれば、Facebookメッセンジャーなどでご連絡ください。


次回は、問題「発見」(イシューデザイン)のアプローチの2つ目、#2『「理想」を描きまくる』です!

出てくるキーワードは、「アート思考」「スペキュラティブデザイン」「シナリオプランニング」「SFとアニメ」などなど。

お楽しみに!

(注釈)前提として、問題発見(イシューデザイン)のためのアプローチとして言及する方法は、デフォルメ(単純化)して扱っています。
問題発見と問題解決は螺旋階段のようにつながり行ったり来たりですし、アート思考やデプスインタビュー(デプスダイアローグ)などのこれから触れる手法や思想も完全に分離は出来ないものです。
そして、人によって定義が結構違う(笑)。

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