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市職員の兼業・副業に係る許可基準の明確化に向けて

荻野泰男が今任期中に継続的に取り組んできたテーマの一つが、「市職員の兼業副業に係る許可基準の明確化」です。

このテーマについては、2019年9月定例会、2021年9月定例会そして2022年9月定例会の3回にわたり取り上げました。

そこで、それぞれの一般質問でのやり取りを紹介いたします。中継動画と会議録へのリンクも貼ってあります。

■ 令和元年(2019年)9月定例会 一般質問より

[◆荻野泰男]

  それでは次に、人材育成と働き方改革について、青木総務部長に質問いたします。
 働き方改革の一環として、政府が会社員の副業・兼業を推進する方針を打ち出している中、国家公務員ですとか地方自治体にも規制を緩和する動きが広がりつつあることから、今回この質問を取り上げることにいたしました。

 まず、地方公務員法第38条、こちら営利企業への従事等の制限の規定ですけれども、この条文と、所沢市には所沢市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則というのがありますけれども、この規則に基づいて、これまで職員の営利企業への従事等が許可された事例はあるのかお伺いいたします。

[◎青木総務部長]

 これまで職員の営利企業への従事等が許可された事例としましては、余り多くはございませんが、過去に財団法人の評議員として職務に当たった事例や、他市の教育委員会主催行事の補佐として従事した事例などがございます。直近におきましては、地域医療の連携強化を目的としまして、市民医療センターの医師が他の病院での診療に従事した例などがございます。

[◆荻野泰男]

 幾つか事例はあるということなんですけれども、地方公務員法第38条に基づきまして、原則として職員の副業・兼業は禁止されているわけですが、収入を得ても例外的にみずから営利企業を営むこと、これ、いわゆる自営ですね。こちらには該当しない場合も考えられます。

 次に例示いたしますが、、不動産賃貸、、農業、、株式等の投資、最近よくあると思うんですけれども、フリマアプリ等を活用した物品の販売、、講演・執筆などにつきまして、自営には該当しないとみさなれる範囲をそれぞれどのように考えているのか、また、一定の基準はあるのかお伺いいたします。

[◎青木総務部長]

 初めに、基準ということでございますが、職員の営利企業従事制限につきましては、法や市規則で定める以外の詳細な取扱基準は、特には今定めておりません。職員から相談のあった際には、人事院規則や国家公務員の許可基準、行政実例などに照らしまして、個々の案件につきまして判断しているところでございます。

 議員からお示しいただいた幾つかの活動につきまして、国の基準などに照らしまして、営利企業に該当しないとみさなれる範囲についてお答えさせていただきますと、まず、、不動産賃貸につきましては、人事院規則に定める当該不動産の規模、賃貸料収入の状況、当該不動産の管理状況などの要素から判断することとなりまして、例えば、職員が所有している土地を二、三台程度、月極で賃貸する、こういったケースなどは営利企業に該当しないとされております。

 次に、の農業につきましても、人事院規則では、大規模に経営され客観的に営利を主目的とするものを営利企業と取り扱うこととされておりますため、例えば、自家用の稲や野菜を生産する程度の農業の場合については、営利企業には該当しないとされております。

 次に、、株式等の投資につきましては、これは資産運用という性質のものでありますので、営利企業に該当しないということで、また、運用益は報酬に当たらないものとされております。

 次に、、フリマアプリなどを活用した物品の売買につきましては、私物の不用品を処分するという程度で行うことにつきましては、営利企業には該当しないとされております。

 次に、、講演・執筆につきましては、労働の対価としての報酬には当たらない。それが反復・継続的に行われるものでなければ営利企業には該当しないものとされております。

[◆荻野泰男]

 それでは、職員の方が自営には該当しないと認められる範囲で何らかの収入を得る場合に、市に対して報告や届け出等の手続は必要となるのか、また、市として実態を把握しているのかお伺いいたします。

[◎青木総務部長]

 営利企業の従事には該当しないと認められる範囲内におきましては、特に報告や届け出などの手続や許可は必要としないものでございますが、その内容が営利企業の従事に該当するかにつきましては、活動の規模や継続性などさまざまな要素が関わってまいりますことから、まずは人事担当課へ相談していただくことが望ましいものと考えております。

 また、実態の把握でございますが、市全体の調査などについては行っておりませんため、把握はしてございません。

[◆荻野泰男]

 ここから本題に入るんですけれども、それでは、職員の方が職務外に地域での活動等に参加することの効果や課題について、どのように考えているのかお伺いいたします。

[◎青木総務部長]

 まず、効果ということでございますが、職員が意欲的に地域活動に従事することにつきましては、職員のモチベーションを高めるほか、地域との連携強化、さまざまな行政課題への対応力が培われ、人材の多様化や組織の改革・改善を生み出すきっかけになるものと捉えております。

 一方、課題といたしましては、勤務時間以外での活動時間がふえることによります心身の疲労が職務遂行上の能率低下をきたすおそれ、関係者との利害関係が生じることにより職務の公正を妨げるおそれなどが想定されますことから、慎重に対応しなければならない部分もあるかと考えております。

[◆荻野泰男]

 それでは、職員の方が地域活動等に従事する際に報酬等が発生する可能性があると思うんですけれども、そういったものを受け取ることについて、現行のルールや運用はどのようになっているのかお伺いいたします。

[◎青木総務部長]

 職員が地域活動に従事する際に報酬などを受け取ることにつきましては、市としては、統一的なルールは現在定めていないために、原則として報酬を受け取ることについては認めていないところでございます。

 なお、地域活動に係る交通費など実費弁償程度につきましては、受け取ることは認めているところでございます。

[◆荻野泰男]

 ここで他市の事例を紹介させていただきます。
 例えば、兵庫県神戸市ですとか奈良県生駒市におきましては、本業に支障をきたさないというのが大前提でありますけれども、職員の方が職務外に報酬を得て地域活動等に従事する際の基準を定めております。

 神戸市のほうでも、職員の方がそういった活動に参加すれば、視野が広がって能力の向上も期待できるというようなお話もされているようでございますし、生駒市でも、職員が地域の実態を間近に見ることで、課題を吸い上げ、施策に反映できるようになってほしいとか、生駒市の小紫市長も、公務員も稼ぐ経験、お金をやりとりする経験を積んだほうがといいというようなお話もされております。

 そこで、本市においても、そういった取り組みを参考にされて基準の明確化について検討すべきであると考えますが、市の見解をお伺いいたします。

[◎青木総務部長]

 議員御案内の兵庫県神戸市や奈良県生駒市におきましては、職員の兼業の許可に関しまして先進的に取り組んでおられるということでございます。市の職員がみずからの知識経験などを生かしまして、市民の立場で地域におけます課題解決に積極的に取り組むことを促進することが、議員御案内のとおり、人材の育成や組織力の向上につながる、そういった考え方から地域活動に従事する際の兼業の許可基準を策定しまして、報酬を得て一定の地域活動に参加することを可能としているものでございます。

 また、国におきましても、成長戦略の一環といたしまして、多様で柔軟なワークスタイルを促進することを目的に、一般職の国家公務員が公益的活動などを行うための兼業に関しまして、その円滑な制度運用を図るために、本年3月、許可基準の明確化について定めたところでございます。

 本市におきましては、現在、所沢市地域がつながる元気な自治会等応援条例をもとに、職員の地域活動への主体的な関わりと地域貢献への意識向上を図ることを目的に、職員有志によります自治会・町内会応援団の結成を後押しし、多くの職員が報酬を得ずに地域活動に従事している状況でございます。地域活動を通じまして、より幅広い視野と知見を持った職員の育成のために、公益的活動のための兼業のあり方について、先進市の状況や国の基準なども参考に研究してまいりたいと考えております。

[荻野泰男]

 今後研究していきたいということなので、またいずれ取り上げていきたいと思います。

■ 令和3年(2021年)9月定例会 一般質問より

[◆荻野泰男]

 続きまして、多様で柔軟な働き方と題しまして、3つのテーマについて質問いたします。まず①につきましては、職員の兼業・副業ということなんですけれども、令和元年9月定例会でも取り上げたところです。

 まず、青木総務部長に質問いたします。
 その後、総務省から令和2年、昨年ですけれども、1月10日付けで、各都道府県宛てに発出されました「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する調査(勤務条件等に関する附帯調査)の結果等について」と題する通知が発出されましたけれども、この通知の主な内容について簡潔に御説明をお願いいたします。

[◎青木総務部長]

 総務省からの通知の主な内容でございますが、民間労働政策におきまして、兼業や副業が促進されております中、地方公務員の社会貢献活動等を含む任命権者の兼業許可に関し、各自治体の調査結果及び先進自治体の事例を示すとともに、許可基準の設定、公表、運用についての留意事項につきまして、技術的助言として通知されたものでございます。

総務省通知①
総務省通知②

[◆荻野泰男]

 この通知の前提となった調査というのが、今ちょっと触れられていましたけれども、「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査」ということで、これは平成31年4月1日時点のものなんですけれども、この調査において、職員の兼業に係る許可基準を設定している市区町村数と、その全体に占める割合と、そのうちこの基準を対内的、対外的に周知している市町村数と、その全体に占める割合について確認させてください。

[◎青木総務部長]

 許可基準の設定を行っている市区町村数は、政令市を除きまして646団体でございまして、市区町村全体の37.5%となっております。そのうち当該基準を対内外に周知している市区町村数は313団体ございまして、市区町村全体の18.2%、また、基準を設定している市区町村の中におきましては48.5%となっております。

[◆荻野泰男]

 基準と言っても、国の基準に合わせたものが結構多いのかなという感じがしますので、どうなのかなというところはあるんですけれども、意外と37%ぐらいの自治体は既に設定されているんですね。

 それで、前回私が質問した際に、職員の兼業だとか副業の許可の先進事例として、兵庫県神戸市奈良県生駒市を紹介させていただいたんですけれども、昨年2月6日に庁内の事務改善委員会の主催で、奈良県生駒市の小紫雅史市長の講演会が行われているようなんですけれども、このときの参加状況と、またこの講演の中で、職員の兼業、副業ですとか、この後取り上げます民間人材の活用等についての言及もあったのかどうか、併せてお伺いします。

[◎青木総務部長]

 奈良県生駒市長の講演会につきましては、平日の時間外であります午後5時半過ぎから開催されまして、100名程度の職員が参加いたしました。また、講演では、職員の兼業や副業につきましては、まず街に出て、地域で汗をかいてくれる市民を見つける協創力、それから、ゼロから1を生み出す始動力の育成を目的に、地域貢献活動としての副業を解禁したこと、また、解禁後にはNPOやスポーツコーチとして地域に出て副業を継続している職員がいることなどにつきまして御紹介いただいたところでございます。

[◆荻野泰男]

 次は中村副市長にお尋ねしたいんですが、私この質問を通告しましたら、その通告書を見たある大学の関係者の方からちょっと御連絡が実はありまして、ある所沢市の職員の方に非常勤の講師をお願いしたところ、市のルール上、謝金を支払うことができなかったというようなことがあったそうです。

 同様に、埼玉県の職員の方にお願いしたときは払うことができたというようなこともお聞きしました。また一方で、これはある市の職員の方の事例なんですけれども、特にその方は市に報告等はなく、大学で講師を引き受けて謝金を受け取ったことがあるというようなことも伺いました。やっぱりある程度統一したルールが必要なんだなということを私今回改めて感じました。

 2年前の9月のときは、青木総務部長から「広域的活動のための兼業の在り方について、先進市の状況や国の基準なども参考に研究してまいりたい」という答弁だったんですけれども、先ほども紹介した総務省からの通知も踏まえて、やはり職員の兼業・副業に係る許可基準の設定について、今こそ前向きに検討すべきであると考えますが、市の御見解を中村副市長にお伺いします。

[◎中村副市長]

 職員が地域活動や社会貢献活動等に参加することは、より幅広い視野と知見を得ることになりまして、人材育成につながるものと認識しているところでございます。これまでも自治会応援活動として、夏祭りのボランティアにも多数の職員が取り組んでまいりました。現在ではコロナ禍におきまして、職員が社会貢献活動を積極的に行うことが難しい状況でございますけれども、こうした中におきましても、報酬を得ずに地域活動やボランティア活動等に継続して取り組んでいる職員も少なからずいるというふうに思っているところでございます。

 議員御案内の兼業の許可基準の設定につきましては、こうした本職員の状況も踏まえつつ、また、私といたしましても統一的なルールというのは必要だというふうに思っておりますので、兼業の内容であるとか、その効果も含めまして、制度設計をどうしたらよいのか、しっかりと議論してまいりたいというふうに考えております。

[◆荻野泰男]

 やはりこういった基準がないと、市と教育機関との連携の障壁になってもいけませんので、ぜひ前向きに検討をお願いいたします。

■ 令和4年(2022年)9月定例会 一般質問より

[◆荻野泰男]

 続きまして、市職員の兼業・副業についてです。
 このテーマについては、令和元年9月定例会、ちょうど1年前ですね、昨年9月定例会においても取り上げました。その際に、中村副市長から、「兼業の許可基準の設定については、私としても統一的なルールというものは必要だというふうに思っているので、兼業の内容ですとか、その効果も含め、制度設計をどうしたらよいのか、しっかりと議論してまいりたい」という答弁がありましたが、1年たちました。その後何かしらの議論は行ったんでしょうか。

[◎中村副市長]

 これまでも議員から御質問いただいておりますとおり、議員の営利企業への従事等に係る許可につきましては、従来からの自営業等に該当するもののほか、近年におきましては、より積極的な活用手法といたしまして、職員が地域団体やNPO法人等に参画し、地域貢献活動を行うなど、地域における課題解決に積極的に取り組むことを後押しする目的で活用する事例が出ております。

 許可基準の設定に当たりましては、この積極的な活用部分を中心に、地域課題の解決や産学官連携への貢献に資するような形で、どのような制度設計にすべきか、具体的には対象活動の範囲であるとか、対象職員の要件、また、許容できる報酬の範囲はどのくらいかといったところを現在具体的な議論を進めているところでございます。

[◆荻野泰男]

 まだ議論している最中ということなんですけれども、1年前も申し上げましたけれども、職員の方が同じように大学で講師をしたのに、謝礼を受け取った事例と受け取らなかった事例とか、そういったことも起きているんですね。だから、やっぱりそういったルールづくりというのは本当に必要だと思いますので、また来年どこかで聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。


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