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その後悔、自分を苦しめすぎないように

いわた書店の一万円選書で送られてきた本を少しずつ読んでいる。

今回は、柳美里さんの『人生にはやらなくていいことがある』を読了。柳美里さんという作家は初めて知った。「やなぎ みさと」だと思っていたら、「ゆう みり」と読むそう。

新書は難しいイメージがあったけど、これはスラスラと読み進めることができて3時間ほどで読了。

『人生にはやらなくていいことがある』は、柳さんの人生論エッセイ。後悔、お金、家族、死の4つのテーマで構成されている。壮絶な生い立ち、複雑な恋愛関係から彼女が考えたことが語られている。

「『後悔先に立たず』とは、事が終わった後で悔やんでも仕方ないということです。でも敢えて、後悔を忘れることのないよう目の前に掲げれば、それは足元を照らす灯火になり得るのではないか、と思うのです。」

「はじめに」より

この本を読んで、私も「後悔」について考えてみた。

後悔は、嫉妬や怒りよりも嫌だな。後悔って、やった直後だけでなく何年も、もしくは一生付き合っていくことになるのがしんどいなと思う。

心に封印したいのに、ふとした瞬間に開封される。しかも「こうしとけばよかった」だけで終わらないから困る。後悔はパンドラの箱みたい。開けたらもう、ドロドロと色んな感情が溢れて来る。

後悔は吐き出してスッキリするのも難しい。私には謝りたい人が何人かいる。でも相手はもういないから、自分でずっとその後悔を抱えていかないといけない。

「もう過ぎたことだし」と自分の都合のいいように解釈しては、「でもやっぱり相手は私を許してはくれないよな」とか考えるのを何回も繰り返す。「たられば」なのだけど、後悔をどう浄化していいのか分からないからやっぱり考えてしまう。

今回読んだ本のタイトルにもなっている「やらなくていいこと」のひとつには、後悔も含まれるのかもしれない。後悔をなくすのは難しいとして、必要以上に後悔するのも心がもたないような気がする。人と関わっていくのも怖くなりそうだし、自分自身と向き合うのも嫌になりそうだ。

後悔について、必要以上に自分を苦しめなくていいような気がする。

それに、後悔も悪いことばかりじゃないと思う。何度も後悔と向き合っては、「こうしていこう」と行動できる。そうすると、自分が謝りたい相手に間接的な罪滅ぼしができるかもしれない。そんなのでは全然足りないと思うし、私の都合の良い解釈だとは思う。

はっきりした答えはいまだに出ないのだけど、もしまた同じことをしてしまったら、きちんと謝って、お互いの考えをすり合わせていくしかないと思う。

後悔は「こうしとけばよかった」ばかり考えると不幸になる。後悔を「どうやって今後に活かすべきか」を考え始めた時、ちゃんと後悔を受け入れられるのかもしれない。

自分の今後の行いや向き合い方で、パンドラの箱の中のものは希望にもなるし、絶望にもなる得るのかな。


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