見出し画像

無印女装

無印良品に行くと店員に間違えられる。
最近こそ減ったが、大学生から20代半ばくらいまではよく店内で見知らぬオッサンやオバサンから声をかけられ、双方気まずくなったものだ。

普段白やベージュのブラウスや、動きやすいけどこぎれいなガウチョパンツやクロップドパンツなどを履いていたからだろう。さらに黒髪だったので、落ち着いて見えてしまうせいもあったのかもしれない。
実際学生時代は、無印でこそバイトをしていなかったものの、割と無印の服を着て自分のバイト先へ行っていた。もしかしたらそれくらい着慣れていたせいか、店員として溶け込みやすかったのかもしれない。

洗いざらしにしてもいいし、流行り廃りもないので長い間切ることができる。強調する部分が特段ないので、他のブランドとも合わせやすい。すべてにおいて無難なおさまりがあるのが無印だと思う。

普通に雑貨屋見てるだけで話しかけられる

女装するときも無印を取り入れるときがある。
パンツルックが好きだし、夏場は風通しの良いリネンのシャツが大変重宝する。
しかし、女装界隈ではあまりいい反応がない。
「せっかくだからもっとかわいい服を着ればいいのに」
「地味すぎる」
と言うのだ。

確かに一般的なレディースファッションブランドと比較すると、埋没しすぎるところはある。
しかし毎回毎回着飾ってパーティーやイベントに行くわけでもないし、新宿の飲み屋に行くのにそんなに毎回おしゃれをする必要があるのだろうか。
寧ろ汗をかくし、多少動きやすい方が小回りが利きやすいではないかと思う。Tシャツにショートパンツよりもこぎれいにまとまるし、デニムと合わせればぐんと大人っぽさも出て引き締まるというもんだ。別にオール無印でなくても、差し色のように部分的に取り入れたっていいのだ。
遊び慣れたギャルのようでもなく、華やかなグラマラスな感じでもない、けれど涼し気な女装を演出できていいではないか。
むしろ酒が入ってしまったらそんなことを気にする者がどれくらいいるだろうかという話でもあるが。
無印だからおしゃれをおざなりにしている、というのは少し乱暴な意見ではないかと思うのだ。

かわいいけど安物で記事がペラペラな服を買うよりも、どこでも無難に着ることができる服を一着や二着ほど持っていてもよいのではないのかなと思う。

ここまで書くと、なんだか無印良品の回し者のような気がしてきたが、そういうわけではない。

ただ、女装=かわいい(綺麗)=華やかというイメージが女装自身にもあるようで、御贔屓ブランドなどが固まっているような疑念が頭をもたげているのだ。

「いいじゃん、かわい子は何着てもかわいいんだから」
という回答もありそうだが、それは赤点レベルのなのでもう一度文脈を読み取る力を身につけて読み直してほしいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?