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No.126 愛読書カード

その時、「私」は「自分」になった。

くもをさがす 西 加奈子

ずっと気になっていた西加奈子さんのくもをさがす。たまたま母が読んでいて、借りてきた。

一晩であっという間に読み終わる。懐かしいバンクーバーの景色が目の前に浮かび、そこで働く人たちや、社会のシステムも、想像できた。比べると、日本って本当にいろんなことが「ちゃんとしている」。これって凄いことなんだなぁと改めて思う。

定時になれば、仕事が残っていようが、お客さんが困っていようが帰るし、自分の担当外のことだったら、できない、わからないってはっきり断られたりすることも普通。日本の生活に慣れていると、びっくりはするけれど、どちらが良い悪いではなくて、ただ違うということ。どちらにも良い面もそうでない面もある。

私にとって、大事なことがたくさん詰まっている本だった。手元に置いておきたいシリーズに加わった、久しぶりの1冊だ。このシリーズは、眠れない夜とか、ちょっと元気づけてもらいたい夜に開くことが多い。次の日、すぐに買いに行った。

図書館で借りてきたり、人から借りたりすることが最近はほとんどで、その中で本当に欲しい本だけを買う。

読み終わって、愛読書カードが挟まっていることに気が付き、すぐにペンを執る。人生で愛読書カードを書いたのは2回目だ。ありがとうを伝えたくなる本だった。

自分が思っていることって、何かの形で表現しなければ絶対に伝わらないもの。相手が家族だろうが友達だろうが、会社の人だろうが。とにかく伝えることを大事にしている。

先日、1年ちょっと続けていたラジオ番組の最終回だった。何人かの友達が、聴いた感想を送ってくれて、HPにコメントしてくれる友達もいた。その時間に合わせてくれたことはもちろん、気持ちを伝えてくれる、ということが、とってもありがたくて、嬉しかった。

生きていると、色んな事が起こるし、色んな気持ちになるし、自分でも驚くような感情を感じることもある。自分がわからなくなることもある。

でも、やっぱり私は「自分」に戻ってきたい。私は「私」でいることを選択し続けたい。



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