当初の予定では、私自身が経験した韓国芸能界の実情を思い知った出来事を書く予定だったのだが、”安全確認” が取り切れなかったので、ひとまず先に「なぜこうなるのか」の部分に注目してみたいと思う。

今から約10年前、私が韓国の芸能関係者（TV＆音楽）へ行った聞き取り取材の録音データと、文字起こししたテキストファイルを発掘したので、それをまとめ直して公開する。
韓国芸能界がこうなってしまう、そしていつまでも改善できない理由は、こうした背景にあるのだ。

韓国芸能関係者へのインタビュー

※このインタビューは今から約10年前のものです。今とは多少状況が違う可能性がある事を予めご了承ください。

ー 韓国の芸能界の特徴について教えてください
「仕事の内容は、根本的には日本と変わりません。歌があったりお芝居があったり。ただ、そうした芸事に対する価値観とか、社会的な地位は違うと思う」

ー と言いますと？
「韓国では、そのような芸事は幼稚なものと考えられてしまいます」

ー 文化として評価されていないという事でしょうか？
「それもありますし、日本でも子供向け番組を見るのは、基本的に子供だけでしょう。大人になってそういう番組を見ているとバカにされる。韓国では、いわば芸能界全体がそういう目で見られているところがあります。あくまで子供が楽しむものだと」

ー 芸能界やTV番組自体が高尚なものとは見られていないのですね
「そうです、だから芸能人などは日本に比べると地位が低く、軽んじられるところがあります」

ー それが差別的というか、東方神起の奴隷契約のようなものに繋がっているのでしょうか？
「それはあると思います。芸能人風情が生意気だとか、この程度の扱いで充分だとか」

韓国芸能界と諜報機関

ー 東方神起の場合は金の配分で揉めたイメージがありますが、韓国の芸能界ではこうした揉め事は日常茶飯事なのでしょうか？
「東方神起の場合について言うと、彼らはいくら音楽で成功しようとも思ったような金が入らず、ギャラのベースも上がらず、権利も何も持たされていないため自分達だけでは何も出来ない、しかもそんな契約が10年以上も続くという状況でした。ところが、彼らは日本をはじめ外国でも大活躍していた。それで ”外の世界の当たり前” を知ってしまったんです。だから事務所を訴えたという側面があると思います」

ー では、外の世界を知らない芸能人は、そんな奴隷契約のままで我慢してしまうのですか？
「そういう人間もいるでしょうが、多くはより条件のいい場所に移籍したり、タニマチやスポンサーを見付けて独立したりするでしょうね。だから10年以上の長期契約を結びたがるんです。他人に金のなる木を渡したくないから、その人の芸能人としての旬を独占して、使い潰そうとするんです」