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メアリーvsサハラ|エッセイ

この世には、
唱えてはいけない言葉が存在する。

お風呂場で唱えると霊がくる、
20歳まで覚えていると不幸になるなど
種類はさまざまだ。

私は昨晩、
「0時だけどプロテインのみま~~す!
 夜中トイレに起きるだろうけど、
 のみま~す!!」
と母に宣誓し、
700mlのプロテインをがぶ飲みした。

一緒の部屋で寝るわけでもないので、
母は困った表情を見せながら
「ご勝手に」と返してきた。


そんなこんなで皆寝静まり、
さは家に静寂が訪れた。

かと思われたが、
丑三つ時に案の定動き出す者がいた。
妖怪プロテインこと私だ。

暗闇は怖いので
そろっとトイレに向かい、
急いで用を足した。

しかし、
そそくさと洗面台で手を洗っていると、
目の前の鏡が気になってしまった。

夜中×暗がり×鏡なんて幽霊さんこちらです!
とでも言わんばかりの心霊スポットである。

気にしないように、気にしないように…
と必死で意識を逸らそうとしたが、
その考えとは裏腹に
脳内に一つの言葉が浮かんでしまった。


「ブラッディ・メアリー」


ブラッディ・メアリーとは
海外の降霊術の一つで、
夜中に鏡に向かって3回呼びかけると
ブラッディ・メアリーが
鏡に現れるというものだ。

私は、
 しまった。
 心の中ではあるが1回唱えてしまった…。
 あと2回唱えてしまったらアウトなので、
 もうほぼ後が無い。。
と、夜中に1人でプチパニックを起こした。

とはいえ手は洗い続けたいので、
寝ぼけながら咄嗟に別の言葉で相殺した。

さはちゃん、さはちゃん、さはちゃん…。

そうして私はベッドに戻った。

なぜ自身の名前を唱えたのかは
本当にわからないが、
別の謎の名前を唱えるより、
最善の選択だったのではないか。
と自分を褒め称えながら眠りについた。

しかし、すぐにとてつもない恐怖が
襲ってきた。

もし、さはちゃんで
メアリーがきたらどうしよう。
自分の名前なのに降霊術が
成功してしまったらどうしよう。
このまま一生呪いの言葉を
背負って生きていかなければ
ならないのだろうか......。


日曜ということもあり一日中寝ていた私は、
深夜にもかかわらず頭が冴え
アホな不安に苛まれた。
大型連休でもないのに深夜に脳が働くという
負のゾーンへの突入である。

その後、浅い睡眠を繰り返し
“寝不足”としか言いようのない状態で
起床した。

普段、寝不足になることがないので、
出勤してから、「眠そうですね。」
なんて声をかけられたらどうしよう。

「ブラッディ・メアリーじゃなくて、
 さはちゃんでも降霊術成功するのかな。
 なんて思ったら寝れなくって。」
などと言わなくては
ならないのかなと思うと
起きてからも恐怖に苛まれた。

恐るべし、ブラッディ・メアリーの底力。

さはら
1997年9月生まれ
ハーフ
座右の銘は晴耕雨読
万年フリーター

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