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マンションの同級生〜前編〜|エッセイ


同じマンションに同級生が何人かいた。
今となっては皆、社会人となり実家を出ている人が大半なのだが、
私と、もう1人だけ実家に残っている人がいる。

が、残念ながらこの人は全く親しくない。
もはや犬猿の仲とも言えないほどだ。

小学生の頃の通学は、通学班というものがあり、
うちのマンションのエントランスに集まって、
集団で通学する決まりだった。
当時、子供が多かったので、何個か通学班が存在した。

小学生6年生になると、班長か副班長をやらなくてはならず、私はジャンケンに勝利し、
副班長の座を勝ち取った。
そして、この問題の男の一家は地区会かなんかに
参加しないのか、
6年生になっても役職は当たり前のように免除され、私の班の班員として収まっていた。

友達が班長で旗を持ち先頭を歩き、
間に1年生〜5年生、例の男、
そして副班長である私が1番後ろを歩く、という形だ。

厄介なことに、この男は集合時間になってもエントランスに現れない、毎日必ず10分は遅刻しやがっていた。
ある日、もう遅刻してしまう!!という時間まで
来なかったので、インターフォンをならし、
「これ以上は待てないので先に行きます」
と告げた。
返事はなかったが、普段からそういう感じなので
ちゃんと伝えたしということで先に出発した。

あんな奴のために遅刻してたまるか!!
と早足で歩き、
学校の門に着き、校長先生に
「おはようございます」と挨拶した瞬間、
ものすごい勢いで何かが突き進んでくるのが横目に見えた。

もはやスローモーションに見えた。
遅刻のあの男である。

「なんで先行くんだぁぁぁあ!!!!」
と泣き叫びながら、私の尻に頭突きしてきたのだ。

痛いし、訳がわからなすぎる。
すぐ我に帰り、
「待っても待っても来ないから先行くって言ったじゃん!!てか痛いんだけど!?!?謝れよ!!
なんでお前が泣いてんだよ!キモいんだけど!」
と捲し立てた。
後にも先にも、人に面と向かってキモいと言ったのはこの時だけだ。

キモいは良くないが、今考えても我ながら正論だ。
私の怒り声になど聞く耳を持たず、
彼はそのままの勢いで
「ふざけんなぁぁ!!」と怒鳴りつけ、昇降口に消えていった。
それ以来、一言も口は聞いてない。
元々、話したこともなかったけど。

今マンションに残った同い年は、そんな彼と、私だけ…。

後編につづく。


おしみ
1998年3月生まれ、AB型
甘いものは、しょっぱいものを美味しく食べるために食べます。
極楽に生きたい!


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