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神経回路の育ち方~頭の中の彫刻師は皆違う~

特別支援教育支援員として、いわゆる発達障害の子たちに関わる機会をもらっています。

巷でいわれることが「?」なことも多く色々書物を読んでいますが、

今のところ一番!というのがこちら↓

『沈黙の春』の警鐘から50年! ついに農薬、殺虫剤など環境化学物質の毒性メカニズムを解明した、脳神経科学者の最先端情報。発達障害の子ども、切れやすい子どもたちの問題の科学的真実。
 微細なシナプスから疫学まで、最新の脳を巡る科学を集積し、再構築された脳の「共発達」の様相は、発達障害の常識を逆転させ、さらに予防や、脳に沿った正しい療育すら明示する (Amazon商品紹介より)

かなりのボリュームですが、個人レベルでできることから、子供たちの頭の中で何が起きているのか、とても学びの多い本です。

その中で、

神経回路(シナプス)形成・維持の例えがありました。

とてもイメージしやすいなと思い、身体に関することをわかりやすく例えたい私ですので、残します(笑

※ざっくりいうと、シナプスとは、神経同士のつながりの部分です

大きな岩壁に彫刻師が「像」を彫ること


岩壁:大脳皮質に遺伝子(DNA)の設計図によって準備されたほぼ
 ランダムなシナプス形成で結ばれている神経回路網(原材)にあたる。

彫刻師のアイディア:外界からの刺激(感覚情報)
これにより、

神経細胞同士をつなげているシナプスが機能的に変化していく
→像として残り、余分なシナプスは削除される:削られていく。

脳は、見る・聞く・触れるなどを通して、色々なネットワークを作り、覚えていきます。彫刻家は1つの岩に1つの作品かもしれませんが、脳ではそれを無数に作っていくわけですね。

この場所は好きな場所!
この人はママ!
この表情は怒らせちゃったかも!
今は昼だから、元気に動こう!
これをたたくと音が鳴る!この音好き!
ご飯の時はご飯に集中!

みたいな。。。

注意散漫というのは、集中してほしいと周囲が思っているもの以外にもたくさん注意を向けてしまう状態もあり、それは彫刻師が削り切れてないということかもしれません。

自閉症・ADHD・LDにしろ、対人関係・注意・学習など機能をになっている神経回路は違うだけで、
病態はシナプス形成・機能維持の問題で、特定の回路「像」ができていない・あるいは働いていないことは共通。(太字は私によります)

なるほどです。

治療や療育としては、岩の残りの面を使って、新たに足りない「像」を彫りなおせばよい。
特に小児期は空いている岩面が広いだけでなく、成人期に比べ、
はるかに岩が柔らかい(シナプスの可塑性が高い)ので、
「像」を彫りやすく、足りない機能神経回路を新しく作りやすい。

ここが、言うは易しで具体的に〇〇をすればよくなる!と明確なものがなく、その確率が急がれます。

少なくとも、
①悪影響としての環境要因(農薬・デジタル機器・タバコなどなど)を極力避けることと

②彫刻師が気持ちよく仕事できるようにする(母親を中心として優しい母国語での言葉漬け、昼夜を光で明確に分ける、スキンシップを増やす、からだを思いっきり使える環境で遊ぶ)

は、どの本でも書かれており、特に義務教育あたりの中学生までは、我が子を思う気持ちのアクションとして、物品や塾以上に大切な印象を受けています。

ちょっとイメージしやすくなりましたか?
少しでも参考になれば、幸いです。

良いお年を!

※自閉症に関しては、遺伝子の突然変異の可能性が割とあり、どれだけ防ごうとしても防ぎようもないケースもあり、親御さんを咎めることは一切不要に思います。


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