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中空に投げられたボール: 夏目漱石 『永日小品』

短編で構成された夏目漱石の小品。日常の様々な風景が描かれている。

空中に放り投げたボールが、そのまま落ちずに止まってしまったような奇妙な違和感に見舞われる。日常であるように見えてそれは日常風でしかない。

文章を使っての実験は可能だ。けれどその仮説や前提や結論は、小説であるが故に非明示的だ。私の声が聞こえるか? いま、そう囁やいたのか?

最近の小説はとてもわかりやすい。すべすべして、つるりとして、とても綺麗だ。そんな現代の小説と比べてはいけない。ざらついていて、投げやりで、毒があり、乾いた哀しみがある。

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