見出し画像

駆け出しスタートアップに必要な機能とポジションの関係

スタートアップ予備軍やスタートアップ開始直後の人からスタートアップのポジションに関して相談される(というか愚痴られる)。
「COOが見つからない」
「CFOが機能しない」
「自分の研究成果を元に会社を作りたいけどCEOが見つからない」
などなど。

そういう時に考えていること、話すことをまとめてみた。スタートアップ予備軍やスタートアップ開始直後の人向け、て感じですな。

スタートアップのポジションとよくある愚痴

スタートアップのポジションにはCEO/CTO/COO/CFOなど色々ある。日本語で言うところの「最高(経営/技術/執行/財)責任者」というやつ。会社を一緒に立ち上げた仲間を得意分野や経歴をもとにこれらのポジションを振り分ける事が多い。

一方でこんな愚痴も聞く。

・CEOになったものの、資金調達のことばかりやっていて事業のことを考える暇がない
・会社のコアとなる技術を持つ大御所研究者にCEOを依頼したものの、評論家風コメントをするだけで経営にコミットしてくれない
・大手企業で要職についていた友人にCEOになってもらったものの、どうやらスタートアップの経営に関してよくわかってなかったみたいだ
・CTOがずっと工場でハードウェアのことばかり見ててソフトウェアの方を見てくれない
・資金調達を成功して以来、CFOがものすごく偉そうになってる

などなど。ポジションのミスマッチ以前にそいつの性格やスキル、人間関係の問題なんじゃねえか的なトラブルもあるけども、こういうポジションのミスマッチはよくあるみたい。

こんな感じでチーム作りに関するトラブルはよく耳にする。ただこうした問題はスタートアップに必要な機能を把握することで多少は防げるかもしれない。

スタートアップに最低限必要な6つの機能

画像2

見たまま。うまく軌道に乗ったチームを見ていると、スタートアップは最低でも「会社全体」「技術」「お金」の視点で「5年後」「今」、合計6つの領域を見る必要があるみたい。

この6つの領域で検討&判断&言語化&共有することで、ステークホルダー(ex:投資家やチームメンバー、協業先、顧客)と「会社の方向性や現在地点」について認識を合わせることができる。

それにより彼らをチームの味方として巻き込むことができ、資金調達やチームの充実、協業の成功、売上獲得につながる。なのでこの6つの領域について「検討&判断&言語化&共有」を担うポジションが必要になる。

各機能を担当する代表的なポジション

画像2

6つの領域のポジションについて、よく耳にする肩書を入れるとこうなる。技術、お金の「今」を見るC職の名前はよくわからないのでそれっぽい名前を入れた。

これらのポジションが最低限必要になるわけだが当然スタートアップ序盤はそもそも金も仲間も少ないので各ポジション別の人を立てるのはほぼ無理だろう。だから2,3人で各領域をカバーする必要がある。例えば、CTOが技術について5年後と今の両方を見る、とかCEOが会社全体と技術の5年後を見るとか。

で、各機能を受け持つ人は自らの役割を認識した上で役割を果たすべき。例えば、5年後を見据える人として就任したCEOが今の課題を解決することに奔走し、将来に向けてどのように事業を成長させ、資金調達やチーム拡大をするのかを検討できず破綻するパターンとか結構ある。

どのポジションであれ、本人に自分が受け持つべき機能について自覚がないとチームは機能不全に陥る。

チームを作る時はポジションの名前よりも、機能にこだわるべき

CEOが5年後の会社の姿を想像しないといけないのは必須。ただそれ以外のポジションは、チームメンバーの間でその役割がきちんと共有されていれば良い。CTOが5年後と今、両方の技術をカバーしても良いだろうし、COOが今の会社全体と目の前の資金繰りをカバーしても良いと思う。

スタートアップが初期段階のチーム作りで目指すべきは上に挙げた6領域を誰がカバーするのかがチーム内で共有することであり、ポジション名と機能の多少のズレは気にしなくていいと思う。

現代サッカーにおいてサイドバックの役割はチームごとに様々だし、チームによってはゴールキーパーがゴールマウスに張り付くだけでなく、ディフェンスの一部としてゲームの組み立てに貢献する、というのはよくある話。

要はチームの中で「自分はこういう役割でこういう動き方をします」ということを共有できていればポジション名と機能に多少のズレがあってもクリティカルな破綻は少なくなる。

ただ繰り返しになるけどCEOはポジション名通り、5年後の会社の姿について「検討&判断&言語化&共有」をしなければいけないだろう。

チームメンバーを加える時はどの機能を担当するかの認識を合わせる

当たり前なんだけど、チームメンバーを加える時はその人がどの機能を担当するかの認識を合わせるべき。

ポジションの役割や機能を明確にせぬまま、元々大手の事業責任者だったというだけで事業立ち上げ経験の無い人にCEO(COO)を任せたり、コア技術のノウハウを持つものの研究が忙しい大学の先生にCTOを任せて、後からトラブった話を聞くことがある。

どの領域をどういうタイムスパンで見てもらいたいのか、何に対して責任を持ってほしいのかを明確にした上でオファーすると果たすべき役割についての誤解は減るし、チームに加わった後も定期的な振り返りをしやすくなる。

そしてこれはC職だけの話ではない。エンジニアから広報、営業などなど、全ポジションに共通して言える話だと思ってる。

とは言ってもねー

いやいや、わかりますよ。こういうそれっぽいマトリクスを書いて仲間を振り分けたところで、その人が本当にそれに値するスキルを持っているかはわからないし、やる気出してくれるかは別問題だし。

でもね、このあたりのマトリクスを頭に浮かべながら自分がどういうチームを作りたいのか、仲間にどういう役割を果たしてほしいのかを言語化した上でチームに参加してもらったほうが、トラブルが起きた時の後腐れや人間関係の破綻のような最悪の事態は防げると思うんですよね。

なので「スタートアップはやってみなくちゃわかんねえことばかりだ」と言いつつも、特に人間関係に影響を及ぼしかねないこうしたトピックについては、多少の頭の整理が必要だと思うわけです。

「うるせえ、俺には俺のやり方がある!」という人は己の道を突き進むべき。外野からゴチャゴチャ言われないのが単騎で戦う楽しみの一つだし、人の意見に振り回されるのはダサい。とはいえ何かしら迷ったらこの記事を思い出すと考えを深めるためのものさしになるかもね。

ていう話をスタートアップ予備軍やスタートアップ開始直後の人に10回以上はした記憶があるのでまとめてみた。

皆さんからのサポートはもれなく焼酎代とkindle積み本代に変換され、そこでの気付きが新たな記事のネタになり皆さんを楽しませることでしょう。多分。