第2話(改定版)「瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の…」 ~『GATTACA(ガタカ)』徹底考察~
遅くなって、すみません…
渋滞に巻き込まれちゃって…
いいんだよ。うちの事務所は暇だからね。
定時に出勤しても、特にやることはないんだし。
お前が言うな。仕事とって来いや。
では映画『GATTACA(ガタカ)』の話を続けようか。
第1話を未読の人はコチラからどうぞ。
「むかし映画は観たけど、詳しいこと忘れちゃったな」という人は、Wikipediaページで「あらすじ」や「登場人物」をチェックするといい。
さて、冒頭で2つの格言が提示されたあとは、イーサン・ホーク演じる主人公ヴィンセント・アントン・フリーマンが「朝の儀式」を行うシーンが描かれる。
両親のセックスによって生まれた「不適正者」であるヴィンセントは、憧れの宇宙開発局GATTACA(ガタカ)で働くために、毎朝、遺伝子操作で生まれた「適正者」であるジェローム・ユージン・モロー(演ジュード・ロウ)に「偽装」しなければならない。
爪を切り、抜けそうな毛を落とし、髭を完璧に剃り、皮膚を徹底的にこすって垢を落し、全身から「自分」を消し去するんだ。
そしてジェローム・ユージーンのDNAで身をまとうんだね。
あのシーンは興味深かったわ。
最初は何が起こってるのかわからないんだけど、美しい映像のおかげで映画に釘付けになってしまうの…
まず画面には、切られた「爪」のアップが映し出される。
スローモーションでゆっくりと落下してくるんだよね。
あんなにアップだと、最初は爪だとは気付かなかったな。
落ちた時の音も物々しかったし。
確かに。
そして次は、巨大な「毛髪」が落ちて来る。
まるで細い木の枝やケーブルのようだったね…
最後は「垢」と「剃られたヒゲ」が落ちて来た。
こちらは、まるで降り積もる雪のように…
実際の映像を見たほうが早いわ。めっちゃカッコええシーンやで。
DNAを構成する4つの塩基であり、映画のタイトル『GATTACA』を構成するアルファベットでもある「GACT」の文字が、クレジットの名前と一緒に象徴的に浮かび上がってくるんや。
超クール!
ところで「GACT」って何だっけ?
Guanine(グアニン)、Adenine(アデニン)、Cytosine(シトシン)、Thymine(チミン)よ。
このシーンは本当に芸術的だよね。
そしてこの導入部だけでも、とんでもない情報量が内包されている。
とんでもない情報量?
どこに?
「爪・毛髪・垢」は…
<続きはコチラ!>
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?