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日本は「倭(和)の国」? ー 迫る "臨界点" と「インフレ」が後押しする「構造変革」。

 「あぁ、ここもか...」

 筆者の近所の床屋さんの前に土嚢を積んだトラックが止まっていると思ったら、どうやら閉店らしい。おそらく20年以上営業していたが、継ぐ人がいない長屋の様になっているお店の並びも先日片付けをしていたので、地主がまとめて売るのだろう。バブル時代なら「地上げ」と呼ばれそうである。

 政府・自治体による「協力金」で何とか生き長らえてきたが、3年に渡る「コロナ危機」を経て力尽きるお店が増えている。駅前の大規模再開発では大量のお店が一時閉店を余儀なくされているが、これを機に20~40年もの長きに渡り営業してきたお店の閉店が相次ぐこの3年、苦しみ抜いて諦めたところもあろう。後継者問題もある。

 今まで30年動かなかった事態を強力に後押ししたのが「インフレ」だ。「値下げ」で何とか凌げた「デフレ」と違い、容赦無く "強制退去" 。飲食店が代表的だが( ↓ 主要都市の飲食店舗数。2位ソウルを倍近く引き離しての断トツ1位の東京)、中小・零細企業の多さが生産性の低さに結び付いているといわれたきた「和の国」日本

 そもそもこれが成り立っていた主因は「奇跡の戦後復興」=高度成長期(1955~1973。19年間平均+10%の経済成長)。これが「バブル期」(1986年12月~1991年2月までの51ヶ月間)を境に暗転。その後「失われた30年」=平成デフレに突入することになった。

 結果論になってしまうが、もっと早く構造改革に手を付けるチャンスがなかった訳ではない。そもそも「バブル」の精算をきちんと済ませていれば、あれほど過酷な「デフレ」突入はなかったし、その後もドットコム・バブル(1990年代末期~2000年代初期)、リーマンショック(2008)、東北大震災(2011)と ”危機” が起きる度に兆円単位の莫大な財政支出を行ったが、ほとんどが「現状維持」に浪費されてきた。

 その一部でも構造改革に割り振られていたら...。その様子を「外銀」という "外の立場" から見てきた日本人の「損切丸」は随分歯痒い想いもしてきた。これを阻んだのが団塊8百万人を中心とする「人口動態」であり「シルバー民主主義」。何しろ60代以上の票が圧倒的多数の状況では政治家はなびくしか無い。アメリカの急激な "Crush & Build" もどうかとは思うが、30年も放置してきたのは大いなるサボタージュ(怠慢)と言わざるえない。

 これを端的に現すものがある。そう、日本国債(JGB)の金利だ 

 1990年代初めには@5~7%もあった10年JGBの金利は2000年以降@1%以下に低迷。従事していた筆者にも随分フラストレーションが溜まった(苦笑)。それがようやく変わろうとしている

 一気に@5%まで戻るとまでは想定しないが、時代が折り返したのは間違いない。今度こそ「本物」「固定金利」か「変動金利」か。ー 「銀行」の立場から考えて見る。|損切丸|note でお悩みの方も多いだろうが、ここは大局観を保ちたい。何しろ20年、30年は長い。ご自分が60歳、70歳になる頃の未来を見通すわけだから、目先1~2年のコストに固執していると後悔する羽目に「デフレ」に沈んだ「昭和世代」の真逆になる

 ベビーブーマーの現役引退に伴う▼億人単位の「人口動態」変化と「人手不足」は世界的現象であり、日米欧3極で一気に起きているFRBも苦しんでいるが、これは "容易ならざる敵" 。グローバリゼーションによるディス・インフレを謳歌してきた時代は@0.5~1.5%程度が「金利の底」だったが、これからは@2.5~3.5%程度に「底上げ」されたと考えるべき。低成長の日本でも(YCCが無ければ)@0.5~1.5%が妥当な線だろう。

 ”歴史は繰り返す”

 8,000万人から1億人ほどが死亡したと推計される「ペスト」の流行(1347~1353年)でヨーロッパ全人口の約3分の1が死滅労働力の急減からその後の「農業革命」、そして「産業革命」(1750~1840)の導火線になった。今回の「コロナ危機」(2019~2023?)は医学の進歩でそれほどの死者は出なかったものの「現状維持」をぶち壊す威力は十分世界的な「人口動態」の変化が「インフレ」と「構造変化」を後押しする

 特に30年間も "サボってきた" 日本には劇薬となっており、身近なところも含め淘汰の波が押し寄せる。「早い!安い!うまい!」は日本のお家芸だが、あれは激しい「インフレ」を伴う「高度成長期」がもたらした副産物。これからは「安い!」だけが売りの店は廃れ、厳しい「競争時代」に突入する。だがこれは欧米では既に常識。もっと「人」と「お金」を大事にする社会に変わるのは日本にとって悪くない。だから 日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸|note

 ある学者が「集団自決」なる言葉を用いて炎上気味になっているが「損切丸」では 遂に始まった ”切り捨て” の時代と ”返ってきた円安” 。|損切丸|note という言い方にしている。ポイントは何を切り捨てるか

 「介護保険料が上がった」「電気代が高い」

 80代の筆者の母から続々と悲鳴が上がるが、年金「固定給」の彼らにすれば当然。結局「湯沸かし器が壊れた」「雨漏りがする」等々まとまった「お金」のツケは我々介護する側に廻ってくる。収入や蓄えのある家計はまだしも、余裕のない家計はおそらく "火の車" 、つまり "切り捨てられる" 

 ”最大多数の最大幸福” を目指すべき国」がまず為すべき事は「国」自体が切り捨てられる「通貨安」を止めること「円安」を止めないと「日本」が世界から "切り捨てられる" それでも余裕があれば「お金」を配ったりすればいい(限られた仲間内だけで甘い汁をチューチュー吸う余裕などないはず)。この順序を間違えると "最大不幸” に陥ってしまう。この国は既に "臨界点" 。あまり時間は残されていない。

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