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日本が「リセッション」入り? - 「相場」が売買するのは「将来」

 2023.4Q 実質GDP(年率)▼0.4%  予想+1.1% 前期 ▼3.3% ← ▼2.9%
 名目GDP 591兆4,820億円≓4.2兆ドル +5.7% < ドイツ4.456兆ドル
 *1991年以来の高い伸び

 「リセッション」(景気後退)の定義= "ある国の実質国内総生産が2四半期以上連続して減少" 

 欧米ではこう定義されている。日本が「リセッション」入り?

 どうも「違和感」がある

 「リセッション」として筆者が強烈に覚えているのは、香港から帰国後の1995~1998年、まさに「金融危機」の待っただ中「山一証券破綻」「北海道拓殖銀行破綻」(共に1997)と史上初の大手金融機関破綻が続き日本人に与えたショックは尋常ではなかった。今でも忘れられないのは金曜の夜なのに人もまばらでネオンが消えていた「真っ暗な銀座」

 あれに比べれば今「リセッション」の雰囲気は微塵もない。外国人観光客が増えた事もあり、都内の繁華街や観光地はどこもごった返している

 GDPの内訳を見るとやはり6割を占める「個人消費」(▼0.2%)の不振が大きい。名目賃金がなかなか上がらない中「実質賃金」の減少が響いた先進国の中では ”置いてけぼり” で1人負けの状態 ↓

 だが今回は様相が違う足を引っ張っているのは「コロナ対策」の「ゼロゼロ融資」で延命した企業・店舗の倒産、統廃合( ↑ 標題グラフ)で、いわば ”生みの苦しみ” 。これで雇用の受け皿がなければ「デフレ」へ逆戻りだが今は空前の「人手不足」「団塊」▼8百万人の抜けた穴は大きく、システム投資だけで補えるものではない。実際飲食・観光・建設等を中心に「人手不足倒産」も相次いでおり ↓ 日本経済のリフォームが続く

 データを確認すると景気のいい時期、e.g., 「バブル期」1980年代、でも倒産件数は1~2万件で、2023年は増えたと言っても8,000件を超えた程度負債総額も2兆円程度「金融危機」で20兆円を超えた事と比較すれば心配には及ぶまい。「新陳代謝」という意味ではむしろ "健全" 

 つまりあるべき「変化」が日本に訪れている。それを端的に現しているのが「日経平均」 ↓ 企業の倒産 ≓「淘汰」は必ずしも株価にマイナスではない。アメリカがその典型である

 「コロナ危機」で@16,000円台まで急落した「日経平均」も気が付けば名目値は倍以上利に聡い海外投資家やファンドが理由もなく買うはずもなく、しっかりとした根拠に基づいているはず。政府が言うような「投機」ではなさそうだ(ドル円は牽制するが株価には言わない。苦笑)

 「円安」による "水増し効果" を差し引けば「ドル建日経平均」では2021年につけた@281ドルを上回っていない ↓ それでも上向きには違いなく、逆に@150円台で@280ドルまで上がるとすれば@42,000円になる

 単純にCPIが+3%で推移するなら「日経平均」は年間+1,000円以上値上がりする。そうしないと物価上昇による目減りがカバー出来ないからだ。これは「金利」も同様で、銀行にゼロ金利で預けっぱなしなら10年間で▼30%も「損」する。「インフレ」とはそう言うこと。アメリカやヨーロッパではそれが金融の常識で、やっと日本も仲間入りしようとしている

 20年以上に渡る「デフレ」や「就職氷河期」を経て「失業」に対する恐怖感が抜けないのは理解できる。だがここで ”勇気” を持って「お給料」等より良い会社への転職が進めばようやくこの国も「順回転」になる。「バブルの崩壊」ばかりが叫ばれる「投資」も同じ

 考えようによっては他国から ”置いてけぼり” を喰っている分、日本には「変化」の余地が大きい。海外投資家が賭けているのはその部分で「人手不足」「インフレ」の状況からその確率が高いと踏んでいる

 「株価なんて経済実態を反映していない」

 こういう言説をよく目にするが、これは少しはき違えている。なぜなら「相場」は「過去」や「現在」ではなく「将来」を売買しているから。「日経平均」を買うということは、半年後、あるいは1年、2年後の日本(あるいは日本企業)の「将来価値」を買う事。それは「お給料」とも当然関係してくるし「金利」や「物価」の先行きを示すことにもなる

 振り返って見た時に株価の動きが現況を予見していた、という事はよくある。マーケットでは「投機」もあるが、ファンド等ほとんどはその道の "プロ" 。彼らによる「多数決」は当る確率も高い。最終的には「生活の場」にも繋がってくる。そう言う目で「相場」を見ると興味が湧くかもしれない

 ブロックチェーンについて明るくはないが、今のビットコイン(BTC)の暴れっぷりを見ていると頭に浮かんでくる言葉は「リセッション」よりも「スタグフレーション」。最高値を更新し続ける米S&P「日経平均」もそうだが、元・専門家としてはどうしても「金利急騰」という 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) がする

 仮に「スタグフレーション」に陥ると「理論値」とか「将来価値」とかは吹っ飛び、あらゆるものが叩き売られるFRBやECBによる「利下げ」が早過ぎたり日銀の「利上げ」が遅れればその懸念は高まる今の相場に漠然とした ”危うさ” を感じている「お金持ち」は多そう。100億円以上の資産を有するなら間違いなく@4%台のドル建短期MMFに軸足を移す。そうならないよう祈りつつも、毎日注意深く市場動向を見守っている


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