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世界は「過剰流動性」中毒Ⅲ ー  それでも彷徨い続ける「お金」

 世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。|損切丸 (note.com)
 
続・世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)と「インフレ」という禁断症状の苦しみ。|損切丸 (note.com) からの続編。

 PCE価格指数 ↓ など物価指標の落ち着きもありFRBは「金融引締め」から舵を切るようだ。来年には米大統領選も控える。

10月PCE個人消費支出価格指数(年率)+3.0% 予想+2.8% 前月+3.4%

 「インフレ税」により「借金」が目減りしたのは確かだが、ばらまかれた300兆ドル(≓4.2京円)もの「借金」はどれ程回収出来ただろうか。全額回収はほぼ不可能ではある。

 この2年間、米国債の暴落に引きずられるようにナスダックやビットコイン(BTC)も急落。多くの投資家が「お金」を失った。出血が酷すぎてドクター(中央銀行)も手術を一時取り止めここで「輸血」を再開。すると見る見る青ざめた顔色は血色が良くなり活動的になる(≓リスク資産の回復)。

 LTCM破綻(1998)、リーマンショック(2008)以降世界は「過剰流動性」中毒「テーパリング」(薬抜き)はもはや不可能であり、このままいくしかないのだろう。それにしても大量の輸血を必要とした「コロナ危機」=100年に一度のパンデミックは余計だった

 彷徨う「お金」は至る所で暴れ出している

 NYダウナスダックBTC原油などのコモディティ(商品市場)、etc., etc. *大暴れしているドル円もその一部と見ていい。「お金」を欲しているマーケットは枚挙に暇がない。そしてそこに群がる投資銀行業界。正直ウンザリだが「大借金」はこのまま背負っていくしかないのか..。

 *上下の振り回しにマーケットもトレーダーも大分慣れて来ている感じ。例えばアジアと欧州の間に踏み上げを狙った取引が集中していたが「手口」がバレてしまえば持ち上げた所を迎え撃てばいい。こうして裏の裏、更に裏の裏の裏を取ってみんな儲けようとするので当初のように振り回しが出来なくなる。こうやって取引パターンが変化していく。今日の勝者は明日の敗者。チャートはその「心理曲線」のようなものと筆者が理解している。

 1つ気掛かりなのがECBがFRBに先んじて「利下げ」に動き出しそうな事。市場は来年3~4月には始まると予想しており、2024年には計4回、▼1.00%の「利下げ」を既に織り込んでいる。まあヨーロッパの方がアメリカより景気が悪いし、元々ECBが「ユーロ安」指向なのであり得る話ではある。だから今日(11/30)のNY時間ではユーロ円はドル円ほど上がらない

 ここで問題になるのがせっかく醸成された「ドル売り」の流れが途切れてしまうこと。その影響でせっかく戻りかけた「円」も元の木阿弥。もっともドル円が上がらないと政府・日銀に「利上げ」のプレッシャーがかからないので、一概にどちらがいいとは言えない。

 財務省は何だかんだと難癖をつけて「利上げ」≓「預金税減税」を阻止しようとするだろうが、(参照) 日銀・財務省の本音は「円安」維持? ー 「利上げ」≓「預金税減税」|損切丸 (note.com) 、日本だけが政策金利とCPIが大きく乖離、e.g., 政策金利ーCPI=日本▼3.90%、アメリカ+2.15%、ドイツ+0.80%( ↑ 標題グラフ)。遅かれ早かれ修正を迫られるだろう。あとは自主的に動くかマーケットに追い込まれるかの違いだけだ。

 しかしここで中央銀行が ”蛇口を緩める” という事は市場に出回る「お金」の量は変わらない、もしくは増える事を意味する。それは即ち 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) にもう一度薪をくべる事であり、燃えるのは株か、原油などコモディティか、はたまたBTCなどの暗号資産か、あるいかインド経済か。いずれにしろ「バブル&クラッシュ」が繰り返される。ずっとそれを見てきた「損切丸」としては溜息が出るのみ。

 筆者個人としては 「過剰流動性」の震源地「日本」。 ー ばらまかれた「円」の行方。|損切丸 (note.com) 今の状況を創り出した張本人は日銀と考えている。特に「異次元緩和」「XXバズーカ」に続く「国債無制限指値オペ」は完全に ”蛇足”

 だからアメリカ主導の「株価至上資本主義」にトドメを指すのは「日銀による金融政策正常化」と見ている。世界中にばらまかれた500兆円近い「お金」のインパクトは計り知れない。ただ世界恐慌(1929)やブラックマンデー(1987)を引き起こした張本人の様な誹りは避けたい。その事を自覚しているが故の「利上げ」に対する慎重さかもしれない。「中立金利」の観点からは@3%まで「利上げ」が必要になるがハードルは相当高い。

 東欧や中東で「戦争」が勃発し、最悪「第三次世界大戦」まで考えなければいけない微妙な時期。日本人としてはイライラするが、ここは「大局観」を持ってじっくり構えていくしかない。 "無理は通っても無理" (筆者の座右の銘)。何年かかるかわからないが、マーケットはあるべき値に必ず戻ってくる。但し "然るべき手" を打てば、の話ではある。そうしないとトルコのように市場から暴力的な「金利引き上げ」を強いられる事になる。

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