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相場に "行き過ぎ" なんてものはない。ー マーケットは "リアル" の積み重ね。

  ”財務相「行き過ぎた動き、適切に対応」 急激な円安受け”

 ドル円が@144円を超えて慌てたのだろうが、毎回こういう発言を見ると溜息が出る。相変わらず市場には "ショッカー" のような悪党が蠢いて悪さをしているという「昭和的発想」。まあ70歳のお爺ちゃんだから介入でどうにかなったドル円しか知らないのだろうが、AI等取引が高度化している現在誰かが意図的に相場をつり上げることは不可能ドル円のような主要市場なら尚更だ。何ならご自分でFXでポジションを持って見るといい。

 相場に "行き過ぎ" なんてものはない全ては "リアル" の積み重ね

  ”マーケットの正直者” 金利市場はその中でも最も操作しにくいマーケットの1つで、得に国が絡む国債市場はその筆頭だ。ドル円が@144円を突破するきっかけになったのが5月米新築住宅販売の急伸 ↓ であり、これこそ "リアル" の代表例。アメリカの需要の強さにはほとほと感服する:

 5月米新築販売  +76.3万戸 予想 +67.5万戸 前月 +68万戸

 これで年内にFRBの政策金利が@5.5%に達する事はほぼ確実になり「ひょっとすると@5.75~6.00%まで上がるのでは」という気配も生まれてきた。これではマイナス金利政策を続ける「円」が踏み止まれるはずがない

 それでも政府・財務省・日銀は金融緩和政策をギリギリまで続けるだろう。鍵になるのは1,100兆円にも及ぶ「預金者」の行動になる。大手企業の中には余剰資金を自社株の買い戻しに振向ける動きが出ており、これも有効な「インフレ」対策ではある。何しろ「お金」は持ち続けるだけで目減りしていくのだから。個人でも同じ理由で「お金持ち」主導で株や不動産購入に動いており、あとは小市民にも動きが広がるかどうか。日経平均もタワマンも「価格が高すぎる」と嘆いている間はまだまだ十分買えていない証拠だ。

 米国債もJGB(日本国債)も共に銀行が主要プレーヤーだが "リアル" に抗う動きを続けている。どちらも価格下落(金利上昇)が致命傷になる。

 蘇る「逆イールド」「ベアフラット」。ー 今度こそ「本物」?|損切丸 (note.com) 以降、株価下落阻止のために2年近く「偽りの逆イールド」を続けてきたウォール街だが、政策金利が@5%に至りようやく諦めたようだ。シリコンバレー銀行(SVB)の破綻等紆余曲折はあったが、株価も底堅さを増し無理をする必要がなくなった。 ”リセッション” を声高に叫ぶレポートがめっきり減ったのがその証。ここからやり直しだろう。

 未だ無理に無理を重ねているのは邦銀勢。何と言っても親分・日銀が600兆円近いJGB爆弾を抱えている "リアル" が重い2020年9月時点で平均利回りが@0.21%程度、償還期間が8年程度  だったが、これも劇的に改善しているとは考え難い。1度+0.25%「利上げ」すれば毎日損が出る脆弱なポートフォリオであり、+1%「利上げ」すれば年間▼5兆円、8年なら▼40兆円も損が出る勘定だ。消費税@10%の年間税収が+22兆円というから、その大きさが覗える ≓ 消費税なら@2.5%分に相当。

 だがこれは政府・財務省・日銀の事情に他ならず、マーケットは銀行のように忖度はしてくれない。はっきり言って止め時を誤った失策であり、特に「国債無制限買取オペ」で傷口を広げてしまった。その失敗を覆い隠すために意図的に「インフレ」「円安」を煽り「インフレ税」という形で国民に重税を課しているといってもいいだろう。

 「日本だけ金利を上げないのだから円安は当然」
 「貿易赤字も円安を加速させている」
 「財務省の都合で金利を低く維持したのが見え見え」

 4年前に「損切丸」を始めた頃には見られなかった言説がネットで湧いてくるのが救いではある。そう言う点では株やFXなどで積極的にリスクを取っているZ世代を中心とした若年層の金融リテラシーは相当上がっている「投資」で上手く行っている人達も増えているのだろう。

 あとはこの国の政治の "風" を変えられるかどうか?

 相変わらず「シルバーデモクラシー」で選挙では多勢に無勢だが、このままではシルバー層も若年層に見捨てられ ”姥捨て山” 行き。さすがに気が付いてきたのか、政策提言でもZ世代の意見を取り入れる機会が増えてきた。いくら我慢強い日本国民でももう限界。

 とにかく相場とかマーケットで「行き過ぎ」とか「バブル」とか言うのは止めたらどうかその価格で売買いが成立しているのだから "リアル" =現実以外の何者でもない。誰かのせいにして現状をきちんと受け止めないうちはその先には踏み出せない。「昭和」の悪癖から脱する時が来ている。

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