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続・世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)と「インフレ」という禁断症状の苦しみ。

 2022.10.5. 世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。|損切丸|note からの続編。

 マーケットが藻掻いている。前編では英ポンドの異変MPC(英中銀金融政策決定会合)で決定していた国債▼800億ポンド売却≓▼12兆円「資金吸収」 → 緊急買入≓+20兆円「過剰流動性」投入への急旋回で、英国債をはじめとした国債金利の急低下、株価の急反発が起きた。

 実はその半年以上前、2022.2.”バズーカ” の後始末 ー 「10年日本国債@0.25%無制限買取オペ」の深層。|損切丸|note ~ 2022.6.続・ ”バズーカ” の後始末 ー マーケットは国債先物、スワップ等多方面から「総攻撃」。|損切丸|note で日銀が「国債無制限買取オペ」を発動して大量の「過剰流動性」を供給。世界的な株価の反発を主導した。

 あまり公にはなっていないが、日銀は 2021.6.30.「お先に!」 ー 着々と進む日銀による「ステルス・テーパリング」。|損切丸|note からこっそり保有国債残高の削減に取り組んでいたが、黒田総裁の独断で1年間の苦労が "水の泡" になってしまった。「テーパリング」(Tapering)は元々医学用語で「薬抜き」の意味があるが、マーケットが "中毒" から抜け出そうとする度、激しい「禁断症状」に見舞われている

  ”痛み” の典型が2022年のナスダックやビットコインなどの急落であり、今なら激しい「インフレ」と金利上昇による借入負担増になる。その結果としてシリコンバレー銀行やシグニチャーバンクの破綻があり、今度はFRBが想定外の「ドル資金供給」に追い込まれた

 だが本丸は「インフレ」FRBの政策金利は@5%が見えてきて随分上がったように感じるかもしれないが、物価上昇は収まっておらず10年米国債の「実質金利」はまだ@▼2%以下日本(除.CPIへの影響=GOTO▼0.2%+エネルギー支援▼1%)や欧州でも@▼4%以下がほとんど。とても「インフレ」を抑え込める状況にないはっきりプラス金利はブラジルだけだ。

 銀行破綻によるクレジットクランチ(信用収縮)が起きてる現状では「利上げ」休止はやむを得ない措置だが、その分「インフレ」への対応は遅れる「過剰流動性」という "ドラッグ" が再投与され気分が良くなった株や商品、暗号資産市場ははしゃいでいるが、その後の「薬抜き」の苦痛=「インフレ」は増す事になる。はっきり言って状況はあまり芳しくない。

 状況は日本も同じ。いや、寝た切り状態(デフレ)が長かった分むしろ「薬抜き」の困難さでは上回る。ここにきて財務省主導と想定されるが「フラット35」の金利を低くするなど円金利の低下を促している。どうしても金利を上げたくないのだろう。昨年末の「YCC金利引上げ」の阿吽の呼吸で慌てて長期国債を売った生保等が慌てて買い戻し円金利が急低下。また "水の泡" になりそうな気配だ。

 ただ状況が大きく変わっているのが「円安」と「インフレ」ドル円はまた@132円台までぶり返しているし「人手不足」は深刻化十分「賃上げ」出来ない企業、店舗は淘汰の波にさらされ待ったなしの状況だ。確実に日本社会の変化は進み、今度は政府・財務省の希望通りにはいかないだろう。

 もっとも政府・当局は 3京円もの「大借金」のツケは一体誰が払うのか?。ー 急浮上した銀行の「信用問題」。|損切丸|note の立場であり、銀行にしろ企業にしろ個人にしろ、ある程度「生け贄」 ≓ デフォルト(破産、倒産)が出るのは止むを得ないと言う立場。徴求方法が「インフレ税」になるか「金利コスト」になるか「増税」(含.社会保険料)になるかの違いだけだ。国の状況によって「取り立て」の方法は変わってくるが、借金額が膨大なだけにそれらの組み合わせになる。

 有利な立場にいるはずの「お金持ち」は、「インフレ税」から逃げ回る「お金」。ー 取られるのは「金利」か「値段」か。|損切丸|note であれやこれやと策を弄するが、それもなかなか厳しい状況。株でも国債でも原油でも暗号資産でも売買いのタイミングを誤れば大金を失うことになる。まさに "Kill Struggle" (殺し合い)。誰かを穴に落とさないと生き残れないようなサバイバルが続く。投資価値をきちんと見分ける事が肝要だ。

 筆者も色々な "危機" を見てきたが、3京円もの借金で「過剰流動性」がここまで膨張した相場は見たことがない。どんな「禁断症状」がいつまで続くのか。今後も様々な形で「生け贄」 ≓ デフォルトが出るだろうし、その都度慎重に判断していくより対処方がない。

 市場流動性の低いビットコインやWTI(NY原油先物)、あるいはJGBの右往左往を見ているとその思いを強くする。2023年相場では「損切丸」の頭の中ではサイレンが鳴りっぱなし。中途半端な入り方をすれば即座にマーケットに切られるだろう。今暫く ”危険地帯” が続く。

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