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足るを知れと神に叱られた救急車の日

先週のこと。
息子が突然、顔面蒼白になり救急車で運ばれた。私はちょうど家にいて、すぐ園にかけつけたけれど救急車のほうが先だった。

唇まで白く、目は虚ろ。でも意識はある。担架に乗せられ、簡単な聞き取りを受ける。私は気が動転してしまって、救急隊員に落ちついてと言われてもポーチから保険証と乳幼児医療証をなかなか取り出せなかった。

膝に抱えた息子の靴が転がる。救急車に乗っているということを現実として頭が理解できない。

けれど救急センターに着き、先生に診察してもらううちに、息子の顔に血の気が戻った。しゃべりはじめ、徐々ににやにやとする。

レントゲンを撮ると、腹部に靄があって「便秘かもしれません」と言われた。

なんだよ…と安堵して涙が出る。1日に2.3回は排便するのに便秘ってなんだよ、唇真っ白だったのに便秘ってなんだよ…先生が差し出してくれたティッシュで目をぬぐいながら、息子の頭を撫でる。

一応浣腸してもらい、お礼を言い、会計を済ませて母にメールする。車が無いので、お迎えをお願いしたのだ。ああ、良かった、お腹すいたねと売店を目指したところで、息子が床にうずくまった。

「おなかいたい、あしもいたい、あるけない」
さっきまで元気だったから、甘えてるのか?と思いながら抱っこでトイレへ連れて行く。

それでも便座に座るや否や、顔がみるみる青白くなり、そのまま気絶するみたいに寝始めた。あまりに怖くて、そのまま抱き抱えて受付に戻る。すぐに先生が来てくれて救急に戻ったが、呼びかけてもほとんど反応がないため検査入院になった。

処置を待っている間ずっと、なにもいらないと思った。もう仕事もいらないしお金もいらない、家族だけ元気でいてくれたらいい。

足りてたのにいつまでも性懲りなく欲張るから、バチがあたったのか。どこかで優先順位を間違えたのか。神様は何を伝えようとしているのか。私は息子をちゃんと育てられていないんじゃないか、とか。

結局、いろいろと検査したけれど結果は異常なし。点滴を入れる痛みで意識が戻ってめちゃくちゃ元気になった。 先生曰く、お腹が痛くて、自律神経の乱れで脳まで酸素がいかなくなって顔面蒼白になるのでは?ということだった。

でもそんなんで失神してたら怖くてしょうがない。本当に便秘なら分かるけど、息子は1日に2~3回は排便するので、いまいちピンとこない。思うことはたくさんあって、怖くて、ぐちゃぐちゃなままだ。

それでも、翌日のお昼には経過観察で退院した。

家についてから息子と向かい合い、「今日はお昼寝しよう」と言うと「えー なんで」と言う。「体を大事にするためだよ」と言い、「ママが世界でいちばん大切なもの、知ってるでしょ?」と聞いた。

息子はにんまりして、「うーんと、おあげ!!」
え、おあげ?
まさかのおあげ。きつねうどんのおあげ、たしかに大切に食べるけど。
「うそだよ、しってるよ。ねねとぼくでしょ!」そう言ってぎゅーっと抱きついてきた。

そのまま、うつふせの私の背中に乗り、たれぱんだのように寝る体勢になる。「まま、おもい?」「…ううん、かわいいです」

とりあえず、このあたたかい子に触れていられる幸せを「足りて」いるのだと噛み締めていたい。贅沢して優先順位を間違えてしまわないように、これを書いておく。

手を伸ばして触れられることは当たり前じゃない。足るを知れ、足るに気づけ。

#日記 #子育て #育児 #知足

※追記 ナースあさみさんがご自身の体験談・医療従事者としての経験談を交えてお手紙noteを書いてくださいました。うんこにまつわる悩みをお持ちの方はぜひ。私はとても救われました。


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