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【読書感想】終戦記念日に際して

本日、8月15日終戦記念日ですね。
近年はいつどう戦争に突入しまうかわからないようなところがあるように思いますが、最近読んだ戦争と関連のある本を二冊ご紹介します。

一九八四年新訳版 ジョージ・オーエル/高橋和久 早川書房

はじめてのジョージ・オーウェルです。新訳版は読みやすかったです。国による徹底した監視や、思想統制が行われ、1984年以降も戦争が繰り返されているという設定です。
この小説の中では思想の統制のために新しい語法が使われていて、言葉が思想に与える影響を思い知らされます。存在している言葉によって自らで思考できる範囲は決まっていってしまうのではないでしょうか。主人公は新しい語法が使われる前の過去の記憶(あるいは古代からの人間の記憶)から統制された社会に違和感を持ち、抗おうとしていきます。ディストピアSFであるといえば結末が想像できるかとおもいます。(本編の後にこの新しい語法の解説が載っているので希望はあります)
今、自分が自由に使える言葉があるということ、その言葉自体を疑わなくてもいいということ(疑わなくていいのだろうか)、自分の考えを持てるということを陳腐な言い方になりますがもっと大切になければならないのではないかと思いました。
そして昨今はSNSの繁栄によりある種の監視社会になってきています。政府によるものではなく相互間であるとはいえ、「違う」と吊るし上げられ、つまはじきにされます。あるいは「違う」と崇め奉られます。言葉が自由に使えても、自分の考えを持ててもそれを自由に表明することにはかなりの勇気を必要とさせられる状況だなと思います。でもだからこそ、自分の思っていることをもっと表現していきたいなと思いました。社会全体の思想というのは社会によって個人に投影されたあとまた個人が社会に還元していきグルグルとまわっていっていると思うからです。(伝わらなさ)

街場の戦争論  内田樹 ミシマ社

オーウェルの後に読んだので、ああまだ世の中は思っていることをこうして文にして本にして売ることができるのだなあという風にとらえました。この政治批評に賛成できるか否かという点より、意見を表明できること、これくらい自分で考えたことをどんどん言ってもいいのだなあと思わされました。


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