194.三題噺「幸せ、ハプニング、一挙両得」

 修学旅行三日目。今日は集団観光だ。

 バスに乗って観光スポットへ行くと、大勢の人で賑わっていた。

 その一因となっているのが、撮影に来た芸能人らしい。
 みんなはこんな偶然があるんだ、とはしゃいで野次馬の一人になっていた。

「芸能人って綺麗な人が多いよなあ……」

 僕ら一般人より人に見られる機会が多いから色々気を付けてるのかな。

「……綺麗なお姉さんが好きなの?」

 隣にいた同クラさんが話しかけてきた。

「まぁ……。うん」

 僕も男の子だ。素直に頷いた。

 しかし同クラさんは納得いかないのか、むぅとほっぺを膨らませて僕を睨んできた。

 怖くはない。むしろ可愛い。

 でも、僕、何か怒らせることしちゃっただろうか。

「同クラさんもなれそうだよね。芸能人」

「……え!?、そ、そんなことないよ!」

 急にあたふたしだす同クラさん。
 感情の振れ幅がすごい。

「き、君はまったく……そういうところが卑怯なんだよ……。いっつも私を困らせる」

 同クラさんは胸に手を添え、何かを呟いた。

 そんな僕たちにハプニングが訪れる。

「あれ……? みんながいない?」

 キョロキョロとあたりを見回すもみんなはいない。
 集団行動なのに置いてけぼりをくらってしまったようだ。

 焦る僕。
 しかし同クラさんは顎に手を当てて思考中。
 とても落ち着いている。

 これからを悩んでいると突然、すみませんと見知らぬ大人の男性に声をかけられた。

 話を聞いてみるとエキストラとして撮影に参加してみないかということだった。

「ど、どうしよっか?」

 同クラさんは僕の返事を聞く前から焦っている。

「面白そうだし、貴重な体験だから参加してみようか」

 詳しくはわからないけどシーンに合わせて立ってたり歩いていればいいんだと思う。

 ……そう思っていたのに、どうしてこうなった。

 僕たちはカップルっぽい感じにして欲しいと頼まれた。

「同クラさん、くっつきすぎじゃない?」

 手を繋ぐだけでいいかと思っていたら、同クラさんは腕に抱きついて、離さないと言わんばかりにピッタリと密着している。

「もっと本格的に、ちゅーとかしちゃう?」

「か、揶揄わないでよ」

 同クラさんはちょっぴり不満そうにしたものの、すぐに顔を緩ませた。

 撮影はすぐに終わり、急遽参加したお礼に芸能人と握手させてもらった。

「えへへ、芸能人と握手できたし、カップル体験できたし、一挙両得しちゃった」

 同クラさんは幸せそうにはにかむのだった。




作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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