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No.1083 あ、冗句!

今日、全日制高校の学期の区分は、昔ながらの3学期制の学校が約7割強、2学期制の高校が3割弱だそうです。私立高校は、2学期制の割合がもう少し多くなるかと思われます。
 
さて、50年以上も前の高校は、ほとんどが3学規制だったと思いますが、私の高校3年の2学期末考査の時の思い出話を少し聞いてやってください。ちょうど今頃のことです。
 
その時の日本史の教科担任は、尊愛(尊敬し敬愛)する後藤宗俊先生でした。先生の授業は、教科書と手作り教材プリントを使って授業を進めます。淡々とした授業ですが、たまにウィットに富んだジョークで生徒を笑わせます。大学入試直前の授業の時には、
「日本史の受験者は、このプリントで復習しておけば絶対に大丈夫だ。」
と言ってくれ、私たちはお守り代わりのようにして厚みのあるプリントのファイルを持ち、勇んで受験に向かいました。
 
2学期末考査の「日本史」の試験中に、後藤先生が各クラスを見回ってきました。机間巡視したのち、出口で生徒たちに向かって、
「本日の試験をもって、君たちへの年賀状に代えさせていただきます。」
と言い、ニヤッと笑って出て行かれました。
 
瞬時に、試験監督の先生と生徒の含み笑いが起きました。私も、おかしくてたまりませんでした。こんなところまで、先生は私たちの心を掴みました。大いなるハート泥棒です。
 
それから9年後、私は、3学期制の私立の高校教師となりました。
「良いことは、真似るにしくはなし。」
と、後藤先生に倣い、その利用の幅を広げました。
1学期末考査では、「暑中見舞いに代えさせていただきます。」
2学期末考査では、「年賀状に代えさせていただきます。」
3学期末考査では、「進級祝いに代えさせていただきます。」
 
「またか!」と鼻白む生徒の冷たい視線に屈することなく、非常勤講師となってからも続ける、すこぶる付きの厚顔さは、ちょっとやそっとでは人後に落ちません。

「It's a joke!」(冗句)。 いつか真似してくれる教え子がいてくれたらと。