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お箸トレーニング

私が3歳になると、教育に力を入れたい母親は、今までにも増して色々な事をやらせるようになりました。

そのひとつが、「お箸」です。

子供が使うお箸に、エジソンのトレーニング箸というものがあります。
普通のお箸が少しアレンジされていて、1本には輪っかが2個、もう片方には輪っか1個と弓型のサポーターがついている、小さいサイズのお箸。

3頃からお箸を持たせる家は少なくありません。
幼稚園でもお箸を使うところはあるので、まぁ普通の流れでそうなったのでしょうかね。

けれど・・・
このお箸が登場して以来、私の食事の時間は地獄と化しました。

いちいち細かくは覚えていませんが、
・お箸を上手に持てなくて、ご飯そっちのけで何度もやらされたこと
・お箸の輪っかに無理矢理指を詰め込むので、痛くて力が入らなかったこと
・こぼして顔面を平手打ちされたこと
・泣いているとより一層強く殴られたこと
・涙や鼻水がひどくなると、ティッシュでぶたれたこと
・時には椅子がひっくり返る程殴ったり蹴られたりしたこと
・食べ物を口に詰めこまれたこと
・むせると殴られたこと
は、覚えています。

3歳くらいの子を座らせる椅子は、椅子から落ちないように左右に手すりがついているものがたくさんあります。
テーブル席用の足長の椅子であれば、細いベルトがついていたりもしますよね。
私もまさにその椅子だったのですが、それはまるで拘束されているようで逃げ場がなく、本当に怖い椅子でした。

物事の良し悪しすらまだ分からない3歳の子供に、いきなり完璧にご飯を食べろと言ったところでできるわけがないだろうに・・・

悲しかったな~
というか、こわかった。

それでも、ぐっと耐えるしかありませんでした。
何を食べたかなんて、まるで記憶にありません。


「3歳までは、子供の脳に良いとされるあらゆることをさせた」
「その後もずっとお金をかけた」
「あんたは幸せ者だ」
と言われ続けて育ちました。

見方を変えれば、そういう面もあると思います。
でも、それは私がかろうじて生きてこの世にいるからであり、大人になってまで壮絶な辛さがつきまとったことを、無かったことにはできません。

母親が自分にしてもらえなかった辛い過去からの劣等感を、娘である私に押し付けただけのエゴだし、「あんたは幸せ者だ」これは歪んだ嫉妬です。これは教育ではなく不適切なコントロールです。

スプーンをまだ上からにぎることしかできないなら、お箸のトレーニングはより難しくなります。
スプーンを下から持てるようになってからだって、子供にとってお箸はとても使いにくいものです。
椅子から転がり落ちるほど殴ったら、できるものもできなくなりますよね。

子供は、育つ家庭で親から与えられる「安心感」や「充実感」を感じることが大事なんです。
まだ幼稚園に入るか入らないかくらいの子なら、いやがっても投げつけても、それはいけないよと言いながら、辛抱強く教えるしかないのでは?
少しできたら褒めてあげて、美味しいご飯を食べながら、一緒にお箸を持って楽しい時間を過ごすことができれば、楽しみながら知らない間にできるようになるのではないのかな?
子供はできなくて当たり前と思っていた方が、できた時に感動して褒めてあげられやすい気がします。

不当な扱いを受けながら、それでも頑張ってできるようになったちっこい私を、目一杯褒めてあげることにします。

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