見出し画像

私の生き様(小説『仮面の告白 第二章』より)

私は、皆があっと驚くような馬鹿げたことしてみたかっただけなのだ。

世間が、どんなに頭をひねっても、理解することが出来ないことをしてみたかっただけなのだ。

様々な推測が、その時代の変わりようと共に違った解釈を生み出す。

そのたびに私は、祭り上げられる。

存在に関しては、永遠に記憶に留められるであろう。

私の死は、すべて織り込み済みであった。

私は、生まれた時からずっと、綿密なシナリオを描いてきた。

それを忠実に演じているだけなのだ。

そして、第一作は罵声と共に閉じられた。

幕が閉じられて時間が経つと、怒声がどよめきに変わってきた。

やがてそれは、歓声に変わる時が来るだろう。

あともう少しだ。

そう、あともう少しで第二作目が、クライマックスを迎えようとしている。

私が、構想を練った第二作目が出来上がれば、皆が驚きの声を上げるだろう。

第一作の私の評価が見直されるはずだ。

私の生き様の少しは垣間見えるはずだ。

しかし、それで終わりということではない。

第三部が、残されている。

それが幕を閉じるときに、私という人間が、分かるだろう。

よりドラマチックにするために、第二作の内容を披露しておこう。

              つづく

サポート宜しくお願いします。