What have I done?:Women's Studies専攻の授業を振り返る【イギリス大学院留学】

こんにちは。久しぶりの更新です。

先週から夏学期に入りました。^^

今学期は完全にdissertation(修論)にコミットする期間になり、通常の授業(セミナー)はもう前学期で終わってしまった為、遅くなりましたがこの機会に一度授業を振り返ってみようと思います!


Women's Studies専攻

ヨークの女性学専攻(Centre for Women's Studies)は私の学んでいるMA Women's Studiesと、MA Women's Studies (Humanities)、MA Women's Studies violence&conflict、GEMMA(1年ずつ違う国で学ぶ2年修士プログラム)の4種類のディグリーがあるのですが、授業は他ディグリーの学生と共通のものを受けることが殆どです。

一つのセミナーを20~30人くらいで受けるので、いつも活発にディスカッションが起こります。

学生のバックグラウンドはUK生がおそらく一番多く、それ以外にヨーロッパやラテンアメリカ、アフリカ、アジアなど世界各国から来た学生がいます。

ちなみに日本人は私のみで、修士で東アジア出身者は私ともう一人の台湾の子しかおらず、東アジアの人にはまだまだかなりマイナーな専攻のようです。😅 


コースで気に入ったところ

このコースの好きなところは、いろんな地域の人の話を聞けるところ、それぞれの意見が尊重されていて、ちょっと違うことを言ったりしても否定されるようなことがないところ、あとはやはり、自分がフェミニストであることを胸を張って堂々と表現でき、みんながそれに連帯してくれていると感じられるsafe spaceであるところです。

母国語ではない言語で、また修士レベルの学びで、セミナーのディスカッションに参加するのはだいぶ苦労するのですが、想像以上に効果的な形でセミナーが自分の理解の形成につながっていると感じます!

また、いろいろなテーマをtheoretical frameworkで考えることにフォーカスした学びなので、〇〇とは………である、とか、〇〇は………になり得る/含まれる、などの定義や概念が、自分のなかでしっかりと確立できるようになったことも、コースの学びで得られた大きなメリットの一つです。

女性学という社会科学的なフィールドをビギナーとして学び始めた私ですが、このようなtheoretical frameworkが身についたことは今後の学びで大きな強みになるかなと思っています。


モヤるところ…

コースの先生も学生も皆いい人で、全体的にコースで勉強した内容には満足もしているのですが、それでもちょっとこれはどうなんだろう…みたいにモヤモヤする思いを抱いたところもあります。

まず第一に、イギリスの学校であることと、専攻の特徴的にしょうがないかなとは思うのですが、コースのメンバーやカリキュラムの設定がだいぶ白人中心的だなと思います。

先生方はいろんな地域の出身の方がいるのですが全員白人で、コースメイトもやはりウエスタンの国の子が圧倒的に多いです。

それによって差別的な扱いを受けたことは全然ないのですが、私など非ウエスタンの国の学生が発言をしても、正直興味なさそうな子もいるし笑、興味を持って聞いてくれるけどイマイチ伝わっていないようなリアクションをされることがよくあります。:(

違う国の話だからあまり分かってもらえないのはしょうがないと理解しつつも、自分の考えが彼女らにメインストリームの議題のように扱われることはないんだな、っていうのが伝わってくると、自己肯定感や学びへのモチベーションが下がるような感覚でした。😅

それから、先生方はコースはダイバーシティを尊重する、というけれど、扱うテキストは8割くらいが欧米のテーマに関することだし、セミナーのディスカッションの質問設定も、完全に欧米のバックグラウンドの人しか想定していないような質問だったことも時折あり…😓

いろんなバックグラウンドの人が参加するコースである、という点が真にカリキュラムに反映されているか、というと、正直なところまだまだ発展途上で、非ウエスタンの学生にとっては議論に参加するのに少し壁があるように感じました。


学べば学ぶほど…

また、授業内外で日々いろいろなことを考えながら常に感じるのが、女性学/ジェンダー学を学べば学ぶほど、日本の性差別への意識・取り組みの周回遅れに絶望し、日常に性差別がはびこっている状況が嫌で嫌でたまらなくなってくるという、非常につらい感覚です。

リプロダクティブライツに関しても、夫婦別姓に関しても、女性議員のクォータ制に関しても、一体なぜないのか???を説明するほうが難しいし、ほかの国の友達に話すと本当に情けなくなります。

それでも一度気づいてしまった以上、目をそらさずにはいられないので、勉強し続け、改善に貢献するしかないなと思うのですが、長期的に声を上げ続ける忍耐強さや、他人から何を言われても自分の信念を持ち、バックラッシュをはねのけられるようなパワーが求められる世界だなと、これまでに声をあげてきたアクティビストの方や学者の方に尊敬の念を抱きながら、常々思います。😅


What does feminism mean to me?

What does feminism mean to you? (あなたにとってフェミニズムとは何ですか?)という質問は、コースの最初の集まりでみんなと初めて顔を合わせてグループになって話したときにテーマになった質問です。

その時はあんまり自分の中でのテーマみたいなものがなく、辞書の定義のようなことしか言えなかったのですが笑笑、今では自分の中ではっきりとしたテーマができた気がします!

私にとってのフェミニズムのテーマは "self-liberation" です!

これはコースの学びだけでなくイギリスに来てからいろいろな人に会う中で生まれた考えです。

今まで日本や他のアジアの地域で生活してきた間、無意識のうちにいろいろな形で性規範にとらわれていたり、性差別/セクシズムを経験してきたなと、このコースで勉強しながら、またイギリスで生活しながら感じるようになりました。

例えば、女だから家事ができていないとダメだとかお嫁にいけないと言われ、こちらの意思を無視してその価値観に沿ってしつけられたりジャッジされたりしたこと、また自然と家庭内でケアの役割を担う存在と位置付けられていたこと、

異性からの不快な視線、また時には言動を感じるのを避けたくて、着たい服を時には我慢していたこと、

したくないときでも”しないといけない”というプレッシャーから化粧をしていたこと、

性暴力加害者の目線に寄り添った理不尽な形での校則のスカート丈の指導や、脚を閉じろという教育etc.、

こういう過去の経験の一つ一つが、性規範やセクシズムにとらわれていた結果であることが、コースでの勉強や日常生活の中でハイライトされ、

またこういった抑圧から解放された、あるいは反対を示す振る舞いや装いをしている友達に出逢った今では、self-liberationを求めてこうした性規範にレジスタンスを示す生き方を実践しはじめています。

生まれたときから染みついた習慣や価値観はなかなか直すことが難しいのですが、化粧をせずにダル着で街に行ったり笑、体型や他人の目を気にせず好きな服を選んだり、話し方やふるまいを社会的に女性に期待されるようなものと逆の感じにしてみたり等、いろんな形でレジスタンスしています笑

それでもまだまだ性規範やセクシズムから解放された、とは正直思えないですが、自己肯定感はあがったような気がします。w

今まで日本/香港でジェンダーについて勉強していたときは、社会のこういう課題を解決したい!という目標は考えたことがあっても、自分自身(の生き方)にフェミニズムを反映することができていませんでしたが、ヨークに留学に来てからこのようなマインドを持つようになった今、女性学を学ぶ学生として、また人として大きく成長できた気がします。


まとめ:learnerからknowledge producerへ

ここまで学んできたこと、自分自身の生き方で変わってきたことなどから、自分が女性/ジェンダー学を学ぶ側からknowledge production側にシフトしてきている感覚があります。

もちろん、これからもずっと学び続けるし、ソーシャルメディアで自分の思ったことを共有したり、他の人の言ったことに賛同を示すのも (collective) knowledge production になるので、その意味ではもともとやっていたことではあるのですが、今までより一層、自分のなかでの考えやコンセプトが明確になり、またそれを表明することへの抵抗がなくなったと感じます。

今後もいつかphD取得を目指す者として、learner & knowledge producerであり続けたいと思います✊


Doja :)

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