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“いつか”じゃなくて今なんだよ

はじめての一人暮らしは、地方転勤がきっかけだった。
家具や家電を揃えることになって、親に手伝ってもらいながら、あまり悩まずに良さそうな商品、あまり高くない商品を選んでいった。
実際に赴任して必要になった自転車や自動車なども、あまり吟味せずに安めのもの、ダサ過ぎないものを買った。

半ば投げやりな選び方だったような記憶もあって、その理由は任期が3〜5年だったということも影響している。
「“いつか“ 家を買ったら、ちゃんと揃える」
「“いつか” 結婚したら、こだわって買い物をしよう」
という意識からだった。

その後の転勤をしていた間も、僕は欲しいものがあっても買わなかったり、あえて安いものを選んだりしていた。

今にして振り返ってみると、僕は “いつか” という意識から、目の前のことを蔑ろにし過ぎだったなあと思う。
高いものを買えばよかったとかいう話ではなくて、その時の自分が欲していたものを、遠ざけていたように思う。

そしてそれは、その時の自分を大切にできていなかったのではないか、と思うのだ。


この話に限らず、僕は具体的ではない “いつか” のために、今の自分を大切にできていないときがある。
夢でも目標でもない、ふわふわした “いつか” 。

“いつか” わかってくれる人が現れたら。
“いつか” 部下が成長してくれたら。
“いつか” 手元にもっとお金が入ったら。
“いつか” この辛さがなくなったら。

それらの期限のない “いつか” は、現状の問題を特定している訳ではないし、必要な努力がなんなのかも分かっていない。
勝手な期待、根拠のない未来である。

そういう漠然とした思いに気を取られて、ボーッとしてしまったり、目の前で起きていることを見逃したりしてしまうことが僕にはある気がしている。
必要な努力ができずに、必要な努力が何なのかわからずに、漫然とした未来に向けて生きてしまうようなことが。



自分が生きられるのは、今この瞬間だけだ。
まずは今の自分を満足させるために、生きてみるべきなんじゃないか。

わかってもらえないなら、今できることはなにか。
思うようなものを自分が持っていないと感じたとして、今の自分が持っているものは何か。

来るかわからない未来を憂いたり、ふわふわと夢見たりしている間に、大切な今が手をすり抜けていってしまっている気がしてならない。


今の自分が欲しいものはなんだろう。
今の自分が感じたいことはなんだろう。
今の自分はどんな風になりたいんだろう。


今の自分にもっと目を向けることができたら、僕の人生はまた少し動き出すのかもしれない。


夢の中へ / 井上陽水


<太・プロフィール> Twitterアカウント:@futoshi_oli
▽東京生まれ東京育ち。
▽小学校から高校まで公立育ち、サッカーをしながら平凡に過ごす。
▽文学好きの両親の影響で小説を読み漁り、大学時代はライブハウスや映画館で多くの時間を過ごす。
▽新卒で地方勤務、ベンチャー企業への転職失敗などを経て、会社員を続ける。
▽週末に横浜F・マリノスの試合を観に行くことが生きがい。

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