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夏のカルピス

 歳を取るごとに、夏の暑さに耐えられなくなってきている気がする。今年は特に酷暑だとか、災害級の暑さだとかテレビで見て知ると、余計暑すぎて何もできないような気分になる。
 暑すぎて学校の水泳ができなくなったとか、スポーツレクリエーションの開催が延期になったとか、私が学生の頃は聞いたこともなかったような事が起こってきている。毎年同じように夏休みを過ごし、お正月を迎え、という「当たり前」と思っていた生活は、今の子供には想像できないのかもしれない。コロナ禍で、非日常を経験し、何十年に一度の大雨とか、台風、暑さを味わう。こんなことは今年だけかと思うと、また次の年も異常気象と思わざるを得ないこと起こる。
 小学生の頃の夏休みは、何もない、自由で平和な時間を存分に過ごせていた気がする。夏といえば、氷よりもカルピスが楽しみだった。お中元だったのか、ビンのカルピスの頂き物があった。ビンを包んでいた薄い紙は白色で青の水玉模様で、かわいかった。中のビンは茶色だったので、包装紙が破れてくると可愛くなくなった気がした。濃い方が美味しく感じられたので、母親が近くにいないときは、水を少なめに入れていた。大きいビンに入っていたのに、なくなっていくのが早いと言われたが、美味しかったのだから仕方ない。いまはペットボトルでも飲めるが、あのビンからカルピスを入れて飲む味が忘れられない。夏休みの思い出でもある。
 コンビニでアイスコーヒーを買う。ガムシロップを入れ、混ぜない。混ざり切ってないのでシロップが固まっている部分を飲むと、とたんに濃い味になる。その時、子供の頃飲んだカルピスの味を思い出す。夏は暑いほど、甘いものも濃いものを求めたくなるのかもしれない。

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