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そのサッカーを疑え!

スポーツライター杉山茂樹が月4回程度発行する有料記事
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#3バック

日本の3バックはなぜ森保式が大半を占めるのか

日本の3バックはなぜ森保式が大半を占めるのか

 カタールW杯。その多くの時間を5バックと言いたくなる3バックで戦った森保ジャパン。その影響力はどれほどかと開幕したJリーグに目を凝らした。2節続けて5バックになりやすい3バックを採用したチームは18チーム中6チーム(広島、名古屋、鳥栖、札幌、福岡、湘南)。1試合の京都を加えれば計7チームで、全体の3分の1強を占めた。前シーズンは柏、降格した磐田もこの中に含まれていた。2分の1に迫る勢いがあった。

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これぞガラパゴス。なぜJリーグに攻撃的な3バックは存在しないのか

これぞガラパゴス。なぜJリーグに攻撃的な3バックは存在しないのか

 日本サッカーは2000年代に入ると3バックを敷くチームが急増した。2002年日韓共催W杯に臨んだ時の代表監督、フィリップ・トルシエが、フラット3なるシステムを採用したことと、それは深い関係にある。

 多くの指導者がこの影響を受けることになった。3バックを敷くチームは、Jリーグでは一気に半分以上にまで増加。大学、高校、中学、少年サッカーの現場にまで波及した。国内の津々浦々まで浸透することになった

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鳥栖と大分。それぞれの3バックの相違点

鳥栖と大分。それぞれの3バックの相違点

 首位を快調に走る川崎フロンターレ。そのサッカーから漂う雰囲気が、2、3シーズン前までと、だいぶ変わっていることに改めて気付かされる。かつては、マイボール時に重心を置いた、パスを繋いで相手を翻弄するパスサッカーだった。そのスタイルを保ちながら、相手ボール時の対応を格段に厳しくしたのが、現在の姿だ。

 ボールを奪われるや、相手のボール保持者に間髪入れず襲いかかる。可能な限り早く奪取しようとする。攻

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ザック式と森保式。クラモフスキー監督が披露した5-4-1を見て想起した2種類の3バック

ザック式と森保式。クラモフスキー監督が披露した5-4-1を見て想起した2種類の3バック

 先日、清水エスパルス対ジュビロ磐田の練習試合(無観客試合)の模様がDAZNで生中継された。

 行われた試合は「45分マッチ」が4本で、中継されたのは最初の2本。1試合分に相当した。スコアは3-2。先行する磐田を終盤、清水が逆転するという展開だった。

 清水にとって今季一番の話題は、新監督に横浜F・マリノスでコーチを務めていたピーター・クラモフスキーを迎えたことだ。アンジェ・ポステコグルー監督

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日本サッカーに必要なのは守備的ではない攻撃的な3バック。その定義とは

日本サッカーに必要なのは守備的ではない攻撃的な3バック。その定義とは

 森保監督が次の代表戦で使用する布陣は3バックか、4バックか。見どころのひとつだと思う。4バックに戻すのではないかと漠然と予想するが、根本的な問題として、よく分からないことは、森保監督が何を基準に3バックか4バックかを選択しているか、だ。森保監督にとって3バックと4バックを隔てる境界線は何なのか。

 さらに、これまで4-2-3-1と4-4-2の2種類を使用してきた4バックに対し、3バックはなぜ3

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森保式3バックはハリルホジッチ的サッカーの方が適していると言いたくなる理由

森保式3バックはハリルホジッチ的サッカーの方が適していると言いたくなる理由

 森保監督は来る10日から始まるE1サッカー選手権の代表メンバー発表会見で「3バック、4バックどちらでも戦えるようにシミュレーションしています」と述べた。雑な言い回しだと思った。

 この日に限った話ではない。布陣を語る時、具体的な表記ではなく森保監督は「3バック」、「4バック」と言う。これまで森保監督が披露した4バックは4-4-2と4-2-3-1で、3バックは3-4-2-1だ。しかし4バックと一

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3バックか4バックか。数字で判断してはいけない。コンセプトを見分ける方法とは

3バックか4バックか。数字で判断してはいけない。コンセプトを見分ける方法とは

 4バックと3バック。それぞれには様々な種類がある。現在使われている布陣の中で種類が多いのは4バックだ。3バックとのシェア率を比較すれば、だいたい4バック8割、3バック2割。それぞれは多数派対少数派の関係にある。したがって3バックのチームは、それをあえて採用していることになるので、こちらはなぜそれなのかという興味を覚える。

 とはいえ、サッカーのスタイルを見るうえで4バックか3バックかを一番の物

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日本サッカーの不思議。日本国内の3バックは、なぜその多くが守備的なのか?

日本サッカーの不思議。日本国内の3バックは、なぜその多くが守備的なのか?

 現在、開催中のコパアメリカで森保ジャパンは4バック(4-2-3-1)を採用している。だが、そのメンバー23人の集団は、4バックの両サイドバック(SB)を各2人(計4人)含んでいない。3バック(3-4-2-1)で臨む意志が伝わってくる構成だ。3バックの使用を急遽、断念した様子が見て取れる。

 母体となるU-22はご承知の通り、当初から一貫して3-4-2-1を採用してきた。森保一監督がサンフレッチ

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