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そのサッカーを疑え!

スポーツライター杉山茂樹が月4回程度発行する有料記事
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#森保ジャパン

想定外の不振に苦しむ日本代表。ポスト森保。探す人もいなければ、新監督候補もいない?

想定外の不振に苦しむ日本代表。ポスト森保。探す人もいなければ、新監督候補もいない?

 日本がアジアカップのグループリーグで敗れたのは、初めて本大会に出場した1988年以来、36年ぶりの出来事だ。1-2でイラクに敗れた第2戦はまさしく事件に相当した。

 4-2で勝利した1戦目のベトナム戦、3-1で勝利した3戦目のインドネシア戦ともに相手の健闘を讃える必要はあるが、日本のデキは3戦連続して低調だった。重要なのはバランスで「アジアは甘くない」と言って、苦戦を外的要因に求めすぎるのはよ

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森保Jより問題なのはJリーグのレベルダウン。日本サッカーは空洞化を起こしている

森保Jより問題なのはJリーグのレベルダウン。日本サッカーは空洞化を起こしている

 Jリーグは7節を終了した段階でヴィッセル神戸が首位の座に就いている。昨季は最終順位こそ13位だったが、一時は降格圏内である17位まで順位を下げていた。そこから大きくジャンプアップした状態にある。

 対照的な姿を描いているのが昨季の準優勝チーム、川崎フロンターレだ。2017年以降の6シーズンで4度優勝を飾った圧倒的強者ながら、現在の順位は13位。これもまた珍しい話である。海外のリーグではまず起き

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コロンビア戦の終盤。中盤をダイヤモンド型に移行した森保采配に抱く根本的な疑問

コロンビア戦の終盤。中盤をダイヤモンド型に移行した森保采配に抱く根本的な疑問

 洗練されたサッカーとは言い難い粗野な戦いぶりを披露しながら敗れたコロンビア戦。後半16分、ラファエル・サントス・ボレのバイシクルシュートで1-2と逆転されると、森保一監督は後半33分、守田英正に代え浅野拓磨を投入した。同時に布陣を4-2-3-1から中盤ダイヤモンド型の4-4-2に変化させる戦術的交代である。

 森保監督は変更のあらましを書いたメモをピッチに入る浅野を通じ、ゲームキャプテンの遠藤

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サイドバックにMF的な役割を課すサッカーがウルグアイ戦で不発に終わった理由

サイドバックにMF的な役割を課すサッカーがウルグアイ戦で不発に終わった理由

「サイドバックをいかに有効活用するか。第2期森保ジャパンの重要なテーマ」であるとは、3月15日発行のブログマガジンのタイトルだが、24日のウルグアイ戦では日本のベンチもそれに呼応するかのように、両SB(左・伊藤洋輝、右・菅原由勢)に従来とは異なる中盤的な役割を課していた。

 ジョゼップ・グアルディオラがバイエルン監督の時代に、右SBフィリップ・ラームをマイボールに転じるや大外ではなく、守備的MF

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日本代表メンバー発表会見で改めて露呈した森保監督の隠しきれない本質

日本代表メンバー発表会見で改めて露呈した森保監督の隠しきれない本質

 森保監督に限らず日本人監督の多くは哲学を語ろうとしない。哲学を持ち合わせていないのか。語りたくないだけなのか。サッカー監督に必要な要素だとの認識がないのか。理由は定かではないが、この点こそが外国人監督との1番の違いであると、これまで何度か述べてきた。

 言い換えるならば、それは色だ。他の監督と自分自身は大きく何が違うかという話である。それさえも曖昧にしたがる。「臨機応変」とは2018年7月、日

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日本の3バックはなぜ森保式が大半を占めるのか

日本の3バックはなぜ森保式が大半を占めるのか

 カタールW杯。その多くの時間を5バックと言いたくなる3バックで戦った森保ジャパン。その影響力はどれほどかと開幕したJリーグに目を凝らした。2節続けて5バックになりやすい3バックを採用したチームは18チーム中6チーム(広島、名古屋、鳥栖、札幌、福岡、湘南)。1試合の京都を加えれば計7チームで、全体の3分の1強を占めた。前シーズンは柏、降格した磐田もこの中に含まれていた。2分の1に迫る勢いがあった。

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甲府、森保、三浦カズ、権田……意見が分かれるテーマを探せ

甲府、森保、三浦カズ、権田……意見が分かれるテーマを探せ

 J1リーグの覇者(横浜F・マリノス)と天皇杯の覇者(ヴァンフォーレ甲府)が対戦した富士フイルムスーパー杯。天皇杯の覇者として昨季のJ2で18位だったチーム(甲府)がこの舞台に立つことは、今回で30回を数える歴史の中でも初めてで、ちょっとした事件に相当する。

 そもそも甲府が天皇杯を制したことが事件なのだが、準々決勝(対アビスパ福岡)、準決勝(対鹿島アントラーズ)、決勝(対サンフレッチェ広島)と

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ブライトン三笘薫と“相棒”エストゥピニャンに見るウイングとSBの理想的な関係

ブライトン三笘薫と“相棒”エストゥピニャンに見るウイングとSBの理想的な関係

 エクアドル代表の左SBペルビス・エストゥピニャンが左からフワリと送った山なりのボールを、ハーフバウンドで浮かすようにトラップした三笘薫は、次のタッチでリフティング。そして3タッチ目でリバプールゴールを揺るがした。

 FAカップ4回戦、ブライトン対リバプール。後半47分に三笘が決めたこの逆転弾を見て想起したのは、2018年のアジアチャンピオンズリーグ準決勝第2戦、水原三星対鹿島アントラーズ戦で、

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三笘のスーパーゴールとデルピエーロゾーンが生まれた背景。布陣が選手を作る

三笘のスーパーゴールとデルピエーロゾーンが生まれた背景。布陣が選手を作る

 レスター戦の前半27分。左のタッチライン際に開いた三笘薫は、ピッチの中央でパスワークに絡んだ左SB(サイドバック)ペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)からパスを受けた。と同時に、相手の右SBティモシー・カスターニュ(ベルギー代表)と対峙することになった。

 この2人はその5分前にも1対1を演じていた。三笘が内に切れ込むと見せかけて縦方向に切り返すと、ベルギー代表の右SBはたまらず置いて

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W杯に臨む森保Jが、中継ぎを惜しげもなくつぎ込む日本シリーズから学ぶこと

W杯に臨む森保Jが、中継ぎを惜しげもなくつぎ込む日本シリーズから学ぶこと

 前回のロシアW杯で、グループリーグの3試合と決勝トーナメント1回戦の計4試合を戦った日本。初戦のコロンビア戦と2戦目のセネガル戦の間隔だけが中4日で、残る2試合は中3日での戦いだった。それが今回のカタールW杯では、少なくともグループリーグの3試合はすべて中3日で行われる。

 西野監督はその1戦目と2戦目を同じスタメンで戦い、3戦目(ポーランド戦)はスタメンを大改造して臨むことになった。1戦目と

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苦戦のメカニズムとは。最近の2大番狂わせ、横浜FM対磐田、広島対甲府から森保Jが学ぶこと

苦戦のメカニズムとは。最近の2大番狂わせ、横浜FM対磐田、広島対甲府から森保Jが学ぶこと

 サンフレッチェ広島がヴァンフォーレ甲府に延長PKで敗れた天皇杯決勝。そして、首位を行く横浜F・マリノスが最下位のジュビロ磐田に0-1で敗れたJリーグ32節の一戦と、ここ最近、国内では大きな番狂わせが相次いで発生した。

 サッカーは結果に運が3割影響を及ぼすと言われるが、広島と横浜FMは運に恵まれなかったと言うより、攻めあぐんだ印象が勝る。惜しいチャンスはそれなりにあったが、いわゆる決定的なチャ

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ブラジル戦、韓国戦が森保監督是か非か論を再燃させる可能性

ブラジル戦、韓国戦が森保監督是か非か論を再燃させる可能性

 6月にパラグアイ、ガーナ、ブラジル、チリorチュニジアと4試合を戦う森保ジャパン。7月には東アジア選手権(香港、中国、韓国)も控えている。今回のカタールW杯はご承知のように、通常の6月ではなく11月に開幕する。本番までまだ半年ある。

 前回、ハリルホジッチ解任を受けて西野朗ジャパンが誕生したのは2018年4月。ロシアW杯本大会の2ヶ月前だった。ハリルホジッチに批判的な声は多数を占めていたが、そ

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サイドアタッカーが両サイド各2人いない森保J。日本代表はなぜ毎回、同じ症状を露呈させるのか

サイドアタッカーが両サイド各2人いない森保J。日本代表はなぜ毎回、同じ症状を露呈させるのか

 2018年ロシアW杯。日本はどこが優れていたか。筆者が特筆したくなるのは左サイドにおけるサイドバック(SB)とウイングの関係になる。長友佑都と乾貴士。両者がよいコンビネーションを発揮したことが、ベスト16入りの原動力になっていた。サイドバック(SB)とウイングの理想的な関係を見るようだった。

 一方、その4年前、長友佑都が香川真司と組んで臨んだ2014年ブラジルW杯は、逆にその左SBとウイング

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結果的に3−4−2−1的な4−2−3−1に陥った森保ジャパン

結果的に3−4−2−1的な4−2−3−1に陥った森保ジャパン

 0-1でサウジアラビアに敗れ、解任すべしの声が高まる中でも、森保一監督は「方向性は間違っていない」と、強気を装った。しかし「方向性」とひとことで言っても、意味は広範囲にわたる。漠然とした具体性に欠ける言葉にしか聞こえない。そこで強気を張られても、議論は噛み合わない。独りよがりの台詞に聞こえてしまう。

 森保監督がよく口にする「臨機応変」しかり。具体的なイメージが湧いてこない、分かる人にしかわか

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