画像1

パリと、パリ風レストランにて

大村あつし
00:00 | 00:00
作詞、作曲、歌、コーラス、演奏、録音:大村あつし

20代の頃、次のような小説を書きました。

----------
大手総合商社に勤務するエリートサラリーマンが、都内にあるパリ風のレストランで一人、ブラックコーヒーを飲んでいたら、ずけずけとブロンド美女が前に座り、カフェオレを頼み、角砂糖を何個も入れて、
「セックスとコーヒーは甘いに限るわね」
と流暢な英語で語りかけてくるのですが、よくよく聞くと彼女はパリジェンヌ。
2人は、当然のように一夜を共にします。

まだ、携帯電話のなかった時代、その後互いに連絡を取ることもなく、しかし、男は1年間、パリに赴任することになります。
そこで、くだんのブロンド美女とばったりと再会。
今度は、パリのカフェテラスでコーヒーを飲み、当たり前のように2人は肌を重ねます。

やがては、男は女のアパートで同棲を始めますが、いよいよ帰国の日が。
男は、「あの店で待ってる」と日時を告げて帰国します。

そして迎えた当日。
男は、ゲン担ぎに「甘いカフェオレ」を飲みながら彼女との再会に心を躍らせますが、肉体だけの関係のはかなさを身をもって知ることになります。
----------

元々、僕が生まれる前くらいの「フォークソング」を作曲していたのですが、「切ない恋愛ソング」にしようと思っても、まったく歌詞が浮かばずに、ふと、この短編小説が当てはまらないかと作詞をしたら、偶然にも当てはまった曲。

パリが舞台なので、どうしてもアコーディオンの音を入れたかったのですが、もちろんアコーディオンなんて持っていませんし、弾くこともできないので、シンセサイザーで自分で音を作ったのですが、見事に失敗しました(汗)

今でも、本物のアコーディオンで録音し直したいと思っている曲です。
また、カセットテープの音の劣化が激しく(汗)
公開するのを躊躇していたのですが、個人的に大好きな曲なのでアップすることにしました(*^^*)

----------
パリと、パリ風レストランにて

パリの香りする洒落たレストラン
一人静かに甘いカフェオレ
だけれど 必ず 君は必ず現れると
時計に視線落としてみても
ドアの開く音に視線上げても
重たいのは灰皿だけじゃない

枯れ葉舞い落ちるパリのレストラン
君の前には甘いカフェオレ
僕のコーヒーそっと覗いて
にがそうに顔しかめてみせて
タバコの煙に膨れてみせて
すぐに無邪気な笑顔をみせて
お願い 君のすべてを見せて

同じ時と場所を君と分かち合える週末が
待ち遠しく短く感じずにいられない

君の寝息と朝の木漏れ日
別の電車に消えてく君が
夜には再び甘い吐息でやさしく僕を包んでくれる
こんな二人の新しい日々が
永遠のものではないことを
僕らは静かにわかってた

パリでの思い出詰めた
カバンだけを連れて旅立つ僕の君への言葉
「二度目の秋は、僕の愛する国で迎えようかい」

パリの香りする洒落たレストラン
一人静かに甘いカフェオレ
だけれど 必ず 君は必ず現れると
時計に視線落としてみても
賑やかなのは灰皿ばかり

最後の火を消して

枯れ葉舞い落ちる街の中に消える
----------

記事はすべて無料でお読みいただけます。いただいたお志は、他のnoteユーザーのサポート、もしくは有料コンテンツの購入費に充てさせていただきます。